SEOはもう古い? 海外の先進的メディアが実践する“SEO”から“FBO”へ
2016/08/02
これまで、メディア企業が自社サイトやサービスにお客さんを誘導する際に、まず最初に対策することとしてSEOがありました。しかし、ここ数年で集客方法も徐々に変わってきており、分散型メディアに代表されるような、各ソーシャルメディアを主な集客メディアとして捉えるようになってきています。
そしてメディア企業の中ではその考え方がより強まり、今では”SEO”ではなく”FBO”(Face Book Optimization=Facebook最適化)を念頭にコンテンツを制作・配信するところが増えてきています。
そこで今回はFBOという考え方が出てきた経緯やすでに対応している企業の事例をご紹介します。
- 目次
- FacebookはもはやGoogleを超えた
- 検索しなくなった?ユーザーの環境変化
- ニュースを読むのはソーシャルメディアで
- Facebookのアルゴリズムに対応するメディア企業
- まとめ
FacebookはもはやGoogleを超えた
これまで日本において、各世代のユーザーが登録するソーシャルメディアが出てくることはなく、かつてのmixiや先日サービス終了を発表した前略プロフィールなど、若者向けのものはありました。そうした流れの中でFacebookは、全世代のユーザーが自分の名刺代わりにアカウント持つようになった初めてのソーシャルメディアではないかと思われます。
その多くのユーザーアカウントを持つFacebookの送客パワーは凄まじく、近年ではインターネットのインフラとして君臨するGoogleを既に超えつつあります。
上記は、オンラインメディア向け解析ツール「Parse.ly」が約400のオンラインメディアのユーザー流入元を解析したグラフとなっており、2014年の年末頃に送客数でGoogleと同等のパワーを持ち始め、2015年7月にはFacebookがGoogleを完全に上回るようになりました。
検索しなくなった?ユーザーの環境変化
こうした潮流の変化の要因について、ユーザー環境の変化が大きいと考えられます。これまで、何かを知ろうとする時のユーザー行動として、
- 検索エンジンで調べたいキーワードの入力する
- 検索キーワードを含むサイトが表示される
- 検索結果から自分のニーズにあったサイトを探す
- 自分のニーズを満たすサイトを閲覧する
という流れがありました。メディアがそういった動きをするユーザーを囲うことを考えた場合、必然的に自社サイトの窓口となりうる検索結果の上位に表示されるための検索エンジン対策(SEO)をする必要があったのです。
しかし、近年ではWeb上にコンテンツが溢れかえりすぎたことや趣味趣向が細分化されたことから、情報を選別するためコスト(手間・時間)が多く発生するようになってしまいました。そして、その状況に対応するように出てきたのが、一昨年世間を賑わしたキュレーションメディアでした。しかし実情は、情報をまとめて(キュレーションして)おらず、SEO目的で雑多な情報を盛り込んだメディアというのも少なくありませんでした。
そうした中で、近年増えつつあるのがユーザー分析を元にレコメンド機能を備えたメディアになります。彼らはユーザーに対して、
- 様々な趣味趣向を持つ人たちに対して様々な方法で自社サービスへ集客する
- ユーザーアカウントを取得してもらい、行動データを分析する
- 行動データに元に最適だと思われるコンテンツをレコメンドする
- 実際の行動を分析し、さらに改善する
という方法を取ることで、ユーザー環境の変化に対応することに成功しました。そしてその象徴的な例が、様々なユーザーアカウントを保有し、分析しているFacebookです。ユーザーが能動的に自身の求める情報にたどり着くことが難しくなった昨今、Facebookはユーザーが受動的に自身の求める情報を届けてくれるメディアとなり、Googleを超えるに至ったのです。
ニュースを読むのはソーシャルメディアで
さらにここで一つ面白いデータがあります。
アメリカ合衆国や世界における人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンク「Pew Research」の最新の調査結果によると、アメリカ人の62%がソーシャルメディアでニュースを読んでいるそうです。
参照:http://www.journalism.org/2016/05/26/news-use-across-social-media-platforms-2016/
そしてFacebookユーザーの2/3が、Facebook上でニュースを読んでいる……というものになります。
趣味趣向を持った人向けのコンテンツのみならず、ある種、人にとって普遍的なコンテンツでありマスメディアの主軸コンテンツであるニュースすらも、いちソーシャルメディアであるFacebookが握るようになりました。そのためメディア企業としては、Facebookで自社コンテンツを閲覧してもらうためより一層、Facebookに歩み寄り、Facebookへの最適化をする必要があるのです。
Facebookのアルゴリズムに対応するメディア企業
Facebookはこの数ヶ月で2度、アルゴリズムに変更を加えました。一つ目が「ユーザーがモバイルブラウザからFacebookの記事を読んだり、ニュースフィードからクリックされたInstant Articleを読んだりする時間を予測する」アップデートで、二つ目が「友人や家族の情報を優先的に表示する」アップデートです。
海外が報じるFacebookのアルゴリズムを調整する意図とは、Facebookが送客・集客メディアとして大きなパワーを持つようになり、さらなるエンゲージを生むために、現在存在する有象無象のコンテンツによりユーザーがFacebook自体を見なくなるのを防ぐためです。
そのため、コンテンツを配信するメディア企業はFBOを意識して、インスタント記事に対応するだけでなく、ページ滞在時間が長くなるようなオリジナルの読ませる記事やFacebookに直接アップロードされるオリジナル動画の制作・配信など、対策を取っています。
その最たる例として、最近取り上げられているのがバイラルサイト「リトル・シングス(LittleThings)」になります。
同メディアの動画コンテンツは、立ち上げて2年半余りで月間2億8500ビュー、ユニークユーザーは5000万も獲得するまでに成長しました。彼らが運営するメディアのトラフィックの3/4はFacebookからのものになっており、FBOを体現する企業になります。
そのリトル・シングスを運営する会社のCEOは、「Facebookがインスタント記事を利用したコンテンツ配信を望むならそうするし、ライブ動画を望めば、そうするだけ」と考えており、Facebookのアルゴリズムに徹底的に従うという。
他にもアメリカのニュース専門放送局「Fox News」は、NowThisやハフィントンポストといった新興メディアのインタラクション(いいね!やコメント)数をおさえて、2016年の上半期で最も多い約1億2000万もの反応を獲得しました。
FOXニュースもリトル・シングスと同じく、Facebookが何か大きな変化をした際に対応してきており、Facebookライブ動画の活用においては早々に着手しています。同メディアに勤めるベテランは「もっとも重要な評価指標のひとつはエンゲージされるということだ」と語り、コンテンツの形は問わず(気分が上がるコンテンツや、信仰にもとづいたコンテンツなども配信している)、各ソーシャルメディアの配信形式にしっかりと寄せることの重要性を述べています。
まとめ
海外メディア企業の集客がSEO重視からFBO重視になってきており、この流れは今後企業アカウントにも広がっていくと予測されます。
また能動的に検索する行動も、検索エンジンではなくソーシャルメディア上で検索する傾向が強くなっています。(参照:若者はTwitterやInstagramで「検索」している)
チャネルとして検索エンジンの価値が一気に下がることは無いと思いますが、間違いなくソーシャルメディア(特にFacebook)のチャネルの重要性は高まっています。Facebookをユーザーとの接点として活用するためには、Facebookへの理解と企業側の歩み寄りが必要になってくるため、そうした流れは今後どんどん加速していくのではないでしょうか。
参照
http://www.journalism.org/2016/05/26/news-use-across-social-media-platforms-2016/
http://www.businessinsider.com/facebook-v-google-referral-traffic-2015-8?&platform=bi-androidapp
http://digiday.jp/publishers/digiday-podcast-little-things/
http://digiday.jp/platforms/winter-arrives-winners-losers-facebooks-news-feed-change/
http://digiday.jp/publishers/fox-news-became-engaged-news-site-facebook/
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部