SNSアカウント運用を成功に導く新メソッド“4C”を解説【Twitter、Instagram、TikTok、YouTube等全媒体共通】
2022/04/20
企業、公的機関のSNSアカウントは、どのように運用すれば成功するのでしょうか。
これからSNSアカウントを立ち上げる、あるいはSNSアカウントを改善させるために日々努力していらっしゃる方々に向け、ガイアックスの長年にわたるSNSマーケティング経験の中で編み出されたメソッド「4C(※1)」を紹介いたします。
※1:マーケティングのフレームワークで4Pの対概念である4C(Customer Value, Cost, Convenience, Communication)とは違い、ガイアックスオリジナルのメソッドになります。
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1. SNSで重要なのはフォロワー数ではなく”ネットワーク”
4Cの説明に入る前に、まず理解すべき前提についてお話しします。企業や公的機関のSNSアカウントは、特にフォロワーを集めることが重視されがちです。フォロワーがたくさんいれば、多くの人に情報が届けられるからでしょう。
ただし、SNSはそんなに単純なものではありません。というのも、SNSはテレビや新聞と本質的に違い、一方通行のメディアではないからです。
テレビなら視聴者数、新聞なら購読数と、一方通行のメディアはたしかにどれだけオーディエンス(=フォロワー)がついているかは死活問題です。多ければ多いほど良いでしょう(※1)。
しかし、SNSは違います。例えフォロワーが少数でも、フォロワーがよい”ネットワーク”を持っていれば、それを通じて情報は有効に伝播します。フォロワーが多数であっても、そのフォロワーが不活発だったり、つながりの質が悪いと情報は拡散してくれません。それどころか、せっかく集めたフォロワーにすらほとんど届かないことも起こりえます(例えば、プレゼントキャンペーンや広告などで実際に何十万も、何百万もフォロワーを集めたのに、リーチやインプレッションはその数十分の一しかないという経験をしているマーケティングや広報担当者の方もいらっしゃるでしょう)。
フォロワーを多く抱えているだけの見かけ倒しのアカウントもあれば、フォロワーは小粒だけれども、マーケティングや広報に大活躍しているアカウント(※2)もあります。
※1:一方通行のメディアも単純に数だけで言及されることは減っています。例えば「コア視聴者層」という概念がよく用いられますが、質が問われるようになっています。それはより商品のターゲット層であると同時に、テレビを観ないターゲット層へ情報を伝播させるための「火種」の役割になりえるためです。つまり、視聴者の先にターゲットにつながる“ネットワーク”が意識されているのです。
※2:小粒と申しましたが、優れたネットワーキングを行ったアカウントは、長い目でみれば市場規模のターゲット数に見合った有効なフォロワー数がきちんとついてくるものではあります。
さて問題はその“ネットワーク”とは何かですが、SNSにおける”ネットワーク”には、大きく分けて以下のふたつがあります。
- クラスタ:コンテンツに対する興味関心のネットワーク
- コミュニティ:相互コミュニケーションの記憶を共有する人格的なネットワーク
上記をひとつずつ解説しますが、すでにご存じの方は次の第2章と3章を読み飛ばし、「4.4Cとは何か」まで進んでください。
2.クラスタとは何か
クラスタとは、特定の興味関心を共有したつながりです。趣味嗜好、主義主張のように、その人々が親しみ、好み、あるいは憎んだり嫌ったりしているものなどを一定の傾きを緩やかに共有しています。
共有と言っても意図的なものではなく、いつの間にか自然につながってしまっていることが特徴です。クラスタは古英語ではブドウの房という意味だったそうですが、その名の通り、ブドウの粒のように似たもの同士が固まっているイメージです。そして、それは粒同士が意識することなく勝手にまとまり、また簡単にバラけたりします。
関心のあるものが同じなので、検索行動や、フォローしているアカウント、使っているハッシュタグなどが自然にかぶり、いつの間にかお互いが参照し合う関係になっているということです。しかし、積極的に仲間として交流するわけでもないので、興味関心の範囲外ではつながっておらず、特に絆があるわけでもありません。
その分自由で、クラスタは個々の成員の気分によって、くっついたり離れたりが自由なネットワークでもあります。
3. コミュニティとは何か
もうひとつのコミュニティはクラスタと対照的に、それぞれの成員が絆を感じています。また、必ずしも興味関心を共有しているわけではありません。まったく違う趣味嗜好でもコミュニティは形成可能です。
コミュニティで重要なのは、コミュニケーションの履歴です。コミュニティとは、日本語で共同体のことですが、その最小単位である家族のことを思い浮かべていただければ分かりやすいでしょう。
家族は、必ずしも興味関心や好みが同じだとは限りません。例えば趣味の友だちなら、むしろ家族の外にいることが自然でしょう。しかし趣味の友だちに対し、家族のような特別な愛着を抱くこともまた自然ではありません。
ではなぜ家族はお互いに絆を感じているのか。それは一緒に積み重ねてきた「思い出」があるからです。思い出とは、「体験の共有」であり、もっと踏み込んで言えば「コミュニケーション履歴の記憶の共有」です。そのため、一緒の思い出の少ない家族は、いくら血がつながっていようと絆は希薄になります。
SNSにおけるコミュニティも、体験やコミュニケーションの履歴の共有が核となります。コミュニティの成員以外には一定ハイコンテクストで取っ付きにくくもなりますが、その分強力な紐帯を持っています。
4. 4Cとは何か
SNSアカウント4Cは、コンテンツ(Contents)、キャラクタ(Character)、クラスタ(Cluster)、コミュニティ(Community)から構成されます。
これらは四象限に分類され、下記の図のようになります。縦軸はSNSアカウントの個別性(もしくは集団性)の高低を表し、横軸は情報発信(もしくは収集)の性格を表しています。
そして、運用するSNSアカウントを通じたマーケティングやPRを考えた際、発信主体はコンテンツ重視の運用を行うか、キャラクタ重視の運用を行うかを決めなくてはなりません。
コンテンツ重視とはターゲットオーディエンスの興味関心を満たす情報発信を行うアカウント運用、キャラクタ重視とはオーディエンスとの相互コミュニケーションを深める、彼らの共感を集めるようなアカウント運用になります。
つまり、コンテンツ重視でいけばアカウントの周りにクラスタが、キャラクタ重視でいけばアカウントの周りにコミュニティがそれぞれできるということになります。
というのも、どちらを選ぶかによってついてくる”ネットワーク”のタイプが異なるからです。コンテンツ重視の運用を行えばクラスタ、キャラクタ重視の運用を行えばコミュニティがついてきます。
もちろん、成功しているアカウントでもグラデーションの中にはいるでしょう。しかし、どちらも中途半端でボヤけているものにしてしまうと、発信する情報が上手に伝播してくれず、結局有効な”ネットワーク”を築けません。
5. コンテンツ、キャラクタ、どちらを選ぶのか
問題は、自分たちはどちらを選べばいいかということ。これは実例を見て考えていただくことが一番よいでしょう。コンテンツ、キャラクタは、例えば、以下のような公式アカウントが好事例となります。
コンテンツ好事例
- https://twitter.com/BuzzFeedKawaii
- https://twitter.com/kobelcokenki
- https://twitter.com/JAL_flight_info
- https://twitter.com/Centrairairport
- https://twitter.com/ALMA_Japan
- https://www.instagram.com/tokyo__r/
- https://www.instagram.com/hokuoh_kurashi/
- https://www.instagram.com/kurashi_osouji_jp/
- https://www.instagram.com/isetan_beautyapothecary/
キャラクタ重視好事例
- https://twitter.com/yohobrewing
- https://twitter.com/TANITAofficial
- https://twitter.com/yasumotoshoyu
- https://www.instagram.com/31icecream_japan/
- https://www.tiktok.com/@sanwakotsu
- https://www.tiktok.com/@yaduki1
- https://www.youtube.com/channel/UCl8E6NsjN979gbMBdztF48g
- https://www.instagram.com/tomohiro_inaba_/
- https://www.instagram.com/ayumumatsuoka/
- https://www.youtube.com/channel/UCk2ryX95GgVFSTcVCH2HS2g
- https://www.facebook.com/groups/352667321601454
上記は思いつくままに列挙してみただけなのですが、眺めていただければ、コンテンツが興味関心を提供、キャラクタが体験、コミュニケーション履歴、感情の共有(共感)を目指していることがお分かりいただけると思います。
そして、キャラクタ重視の運用の方が一般的には難しいです。キャラクタ運用には、例えば以下のような要素(≒ブランドアセット)が必要になります。
- 多くの熱心なファンを既に惹きつけているブランド力
- 応援してしまいたくなるような愛嬌のあるキャラ
- 応援したくなるような健気さ、強大な敵に立ち向かう勇気
- 憧れの対象である、格好良さ、美しさ、洗練性
- 個性的な可愛さ、同情をよぶようないじらしさ
- アカウントの周りに集まる人々と共有されたコミュニケーションや体験の記憶
マーケターでピンと来た方もいらっしゃるでしょうが、上記を核としたコミュニケーションは「ファンベース」や「コミュニティマーケティング」と通底しています(そのあたりの事例として、スノーピークスのFacebookグループを取り上げさせていただいています。是非じっくりご覧ください)。
もし、上記のような要素を活用したポジショニングをとれるのであれば、つまりそういうユーザーがこれからアカウントを作ろうと思っているSNS上にいる、もしくは呼び込めるのであれば、キャラクタ運用が可能です。
一方で、キャラクタ運用に使える要素がない場合は、コンテンツ重視の運用となります。この場合は、利用しようとしているSNS上に既にクラスタがいるかどうかを探します。
自分たちが発信しようとしている情報と関連性の高いクラスタを発見できたら、そのクラスタの人々が使っている言葉やハッシュタグ、フォローしているアカウント、エンゲージしている投稿などを調べ、どのような情報を欲しているのかを調査します。
その上で、そのクラスタの人々に届くコンテンツを設計し、せっせと投稿していく。細かいところは省きましたが、ざっと全体像で言えばこのような運用になります(細かいところまでお知りになりたい方は我々が開催している無料のセミナーでもう少し詳細の説明をしているのでご参加ください)。
そして、コンテンツ重視の運用でも結局はユーザーとのコミュニケーションは発生します。そのため、もともとキャラクタのブランドアセットのなかった企業や公的機関でも、コンテンツ運用の実績を積み重ねていけば、コミュニティが発生。後天的にキャラクタ運用に導くこともできます。
上図の解説
- クラスタに刺さるコンテンツを継続的に出すことによって、クラスタがアカウントを認知。接触頻度が高まることによって個別性の強い印象が深まり、相互コミュニケーションも発生するようになる
- クラスタとキャラクタの相互コミュニケーションが繰り返されると、コミュニケーションの履歴を共有したコンテクストができ、コミュニティが形成されていく
- 出来たコミュニティに対してキャラクタとしての個性を出したコミュニケ―ションを強めることで、さらにコミュニティが強化される
6. 最後に
今回は分かりやすく、ブランドアセットを利用してコミュニティを作る、そうでなければクラスタを利用するという論理を説明しましたが、もちろんブランドアセットがあっても、あえてクラスタ運用を目指す方が有効な場合もあります。
また、ブランドアセットがなくてもキャラクタ運用を仕掛けるパターン、キャラクタ・コンテンツそれぞれ違う複数のアカウントを組み合わせて運用するパターン、配信面ごとにキャラクタ・コンテンツ重視を分けるパターンなど、この他にも方法はいくつもあります。
是非、身につけて有効なSNSアカウント運用を実現していただければ、筆者としても幸甚の至りです。
※ガイアックスの資料やフレームワークを、引用元の記載のないまま資料等に転載している例が増えています。必ず適法性のある引用をお願い申し上げます。
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本記事の内容は、ウェビナー名『「ソーシャルで成果を出せ!」と言われたら? SNSマーケの正しい戦略設計のやり方』で解説しています。
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■関連記事:分かりづらい「クラスタ」と「コミュニティ」の違い。マーケティングに役立つ用語解説。【書き起こし】
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この記事を書いた人:重枝義樹