Instagram(インスタグラム)の写真はなぜ正方形なのか?歴史と変遷、そして開発哲学を探る
2015/06/19
こんにちは、ソーシャルメディアラボの渕上です。
すっかり時代の寵児となったSNS・Instagram(インスタグラム)。最近ではInstagram特化型のスマートフォンが現れたり、インスタ写りのいい素材を「インスタジェニック」と呼んだりと、Instagramを取り囲むユーザーやディベロッパーもその使い方をや流行を模索しているように見えますね。
ここでひとつ、Instagramがどういった歴史を経て今に至るのかをまとめてみました。Instagramはなぜアップロードする写真が正方形なのか、なぜ懐かしさを感じるフィルター機能を多数取り揃えているのか。その開発哲学から探っていきたいと思います。
- ■目次
1.Instagramの変遷を年表形式で紹介
2.Instagramとその前身『Burbn(バーブン)』から開発哲学を探る
3.Instagramの写真が正方形である理由は?
4.インスタントカメラへのリスペクトに溢れるInstagram
Instagramの変遷を年表形式で紹介
それではまず、Instagramがリリースから現在までにどう変遷してきたかをざっと紹介しておこうと思います。
※2013年9月までの年表は、本日3周年!INSTAGRAMの歴史から学ぶGROWTH(グロース)における7つのポイント【冨田 @TOMMYGFX90】を参考にさせていただきました。2013年9月以降は筆者が調べた歴史を追記しています。
2010.10.6 AppStoreにてリリース
2010.末 リリース3ヶ月で100万ユーザー
2010.12.20 日本語など7カ国語に対応
2011.1 ハッシュタグ機能導入
2011.2 API公開
2011.4 300万ユーザー
2011.6.13 500万ユーザー
2011.8.4 投稿写真数1億5000万枚突破
2011.9.27 1000万ユーザー突破 v.2.0へ初のメジャーアップデート
2012.2 1500万ユーザー
2012.4.4 Android版リリース
2012.4.9 Facebookが買収を発表 3000万ユーザー、買収額は10億ドル(810億円)
2012.4.23 5000万ユーザー
2012.7.27 8000万ユーザー
2012.8.16 v.3.0へメジャーアップデート
2012.11 PC版公開 閲覧やコメントのやりとりができるように
2013.1.17 MAUを初公開を初公開、9000万ユーザーと発表(これ以前の数字は登録ユーザー数)
2013.2.28 MAU1億人
2013.6.22 ビデオ機能搭載、公開24時間で500万本のビデオが公開、MAU1億3000万人、写真投稿数は160億枚
2013.9.9 MAUが1億5000万人 広告掲載開始も発表
2013.12.12 写真や動画を特定の個人やグループと共有する「ダイレクト」機能追加
2014.3 MAU2億人
2014.8.26 タイムラプスアプリ「Hyperlapse from Instagram」iOS版リリース
2014.12.10 MAU3億人 写真共有300億枚 1日の平均写真共有数7000万枚、毎日の写真への「いいね」2億5000万件 70%以上が米国外のユーザー
2015.3 画像編集アプリ「Layout」iOS版リリース
2015.5.10 日本でも広告導入
リリースされてまだ5年も経っていませんが、瞬く間にユーザー数を増やしているのが分かるかと思います。特に2014年は凄まじく、2月から12月までの間にMAUを1億人増やしています。ちょうどこの頃にTwitterのMAUを超えたことで話題となりましたね。
次は、そんなInstagramの開発哲学について見ていきたいと思います。
Instagramとその前身『Burbn(バーブン)』から開発哲学を探る
Instagramを開発したのはケビン・シストロムとマイク・クリエガーという、ふたりのスタンフォード大学卒業生。元々ふたりが開発していたのは位置情報とともに写真などのコンテンツを共有する「Burbn」というアプリケーションだったのですが、「どう使って欲しいかではなく、どう使われているか」を重視するという開発哲学により、実際の使われ方として多かった写真共有機能にのみフォーカスして生まれたのがInstagramです。
しかも方針転換してからたった8週間の開発期間で完成したというから驚きですね。この「フォーカス」というのがポイントで、例えばFacebookに買収された当時の3000万という膨大なユーザーを獲得するまでiOS版しか提供していなかったことや、何があってもサービスをダウンさせないこと、写真を投稿するサービスで最も重要なUX(ユーザー体験)である写真のアップロード速度に強化点を絞ることなど、開発の様々な部分で「フォーカス」されているのがよく分かります。
例えば当初iOS版しかアプリをつくっていなかったのは、ひとつのプラットフォームに特化することでInstagramにとって最適なUI/UXを見つけ出そうとしていたからで、初期のTwitterが何度もサーバーダウンを繰り返すことで成長を遅らせてしまったのを目の当たりにして、何が何でもサービスをダウンさせないことを重視したから。ユーザーを満足させるために写真機能に絞り、ユーザーを増やすことよりも減らさないことを重視し、いつ起動しても快適にサービスが利用できること。
それが今に至るまでのInstagramの成長を後押しした、開発哲学というものでした。
Instagramの写真が正方形である理由は?
ところで、Instagramというワードの語源はご存知でしょうか。何となく想像がつくかもしれませんが、「Instant(即席、その場で)」+「Telegram(電報)」を組み合わせた造語です。つまり「Instagram」は、写真をインスタントカメラのように撮影した後、その場でアップロードして共有できることを意味しているんですね。
といっても、若い読者には「電報」が何かわからないという方がいるかもしれません。文書を電信で送信するサービスのことで、今でもよく使われているFAXも電信サービスのひとつです。他にも祝電や弔電という形で現在も使われていますね。
また、Instagram最大の特徴として正方形の写真を適用していることが挙げられますが、なぜ長方形の写真を撮るのがデフォルト機能であるiPhoneの専用アプリ(正確にはiOS専用)としてリリースされたにも関わらず、「正方形専用」にしているのでしょうか?
カメラのメインがまだフィルムだった頃、コダック社とポラロイド社というふたつの有名な企業がしのぎを削っていました。発色の良いコダックとカメラデザインに優れたポラロイド。中でも、コダック社の「インスタマチック」というカメラと、ポラロイドのインスタントカメラは共に、フレームのサイズが正方形(ないしは限りなく正方形に近い)で、Instagramはこのふたつの企業に敬意を払って正方形の規格を採用したと言われています。
インスタントカメラへのリスペクトに溢れるInstagram
Instagramの特徴でもある数多くのフィルター機能も、どことなく懐かしさを感じる風合いに加工できるものが多いと感じませんか?これもインスタントカメラが持つ独特の風合いを再現していると言われているんですね。よく見てみると、ポラロイドのロゴに虹があしらわれているのと同じく、Instagramのロゴにも虹が描かれています。
インスタントカメラがヒットしたのは「瞬間を共有する」のに優れていたからでしょう。撮った写真をその場で誰かにあげることができ、写真が徐々に浮かび上がってくるまでワクワクしながら待つ経験は、Instagramの使用感と近いものを感じますね。インスタントカメラで写すのは、いつもの風景やきちんと構図を考えた場所というより、仲の良い友人や家族との何気ない瞬間が多かったと思いませんか?
フィルムとデータという違いはありますが、ちょっとした瞬間を誰かと共有するという普遍的なニーズが無くなることはないのでしょう。
アナログカメラをこよなく愛しフィレンツェに写真を学びに渡航した経験のある開発者のケビン・シストロムは、カメラの時代がアナログからデジタルに変わっていく中でも、アナログカメラが持つノスタルジックな温かみに夢中になっていました。Instagramを使っていると、そんな彼のインスタントカメラ愛が満ちているのをひしひしと感じます。
Instagramが世界中で愛されている理由には、こういった「カメラ」というものに対するリスペクト精神が溢れ出ているからなのかもしれませんね。
以上、『Instagram(インスタグラム)の写真はなぜ正方形なのか?歴史と変遷、そして開発哲学を探る』でした。
参考記事:
失敗から生まれた画像SNS「Instagram」~ケビン・シストロム~
一世を風靡したポラロイドは「アナログ時代のアップル」 数々の共通点が…
本日3周年!INSTAGRAMの歴史から学ぶGROWTH(グロース)における7つのポイント【冨田 @TOMMYGFX90】
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部