けっきょく何を把握すれば良いの?FacebookのfMC Tokyoで新しく分かった13個のこと|米国版fMCにはなかった情報まとめ

2012/03/22

fMC Tokyo 2012でけっきょく何が変わったか?


3月16日(金)、Facebookのマーケティングカンファレンス『fMC Tokyo 2012』が開催され、GaiaXソーシャルメディア ラボも参加して来ました。


基本的には、2月29日(水)のfMC NYCと同じ内容でしたが、日本向けに色々と新しい情報も出てきました。


議事録としてご紹介するよりも、差分だけご紹介したほうが、読みやすいと思いますので、fMC Tokyoで新しく分かったこと、共有して貰ったことを、13個のトピック(解説・追記付き)でご紹介します。



■目次


1.月間利用者が1000万人突破!


2.Facebookページに5種類の管理者権限が出来る。


3.日本のマーケター向けに「Facebook Marketing Solutions Japan」が


出来た。


4.ニュースフィード内スポンサー記事はもう始まっている。


5.プレミアムアドはもう始まっている。


6.リーチジェネレーターの開始はまだ未定


7.エンゲージメントが「高い」「低い」ウォール投稿の違い


8.Facebookページのタイムライン化の意図


9.タイムラインと絡めたフォトコンテストやキャンペーンの工夫のやり方


10.ファンのほうが所有、推薦の可能性が高い。


11.Facebookページを成功させるための5つのポイント+α


12.「ありがとう」と言うとエンゲージメントが上がる。


13.リアルタイムインサイトでFacebook広告のPDCAを高速化


+α その他トピック



1.月間利用者が1000万人突破!


月間利用者が1000万人を突破したと、Facebook Japan児玉さんから発表されました。


計測範囲が「PCブラウザ、ケータイブラウザ、スマートフォンブラウザ、アプリ等、全て含む」という事だったので、SocialBakersで出ている数字(=月間アクティブユーザー)とは異なる定義かと思います。


定義はともかく、ひとまず日本のFacebookユーザーは順調に増えている事が分かりました。


2.Facebookページに5種類の管理者権限が出来る。


Facebookページに5種類の管理者権限が出来ます。スケジュールは未定ですが、今後数週間でリリースとの事です。


権限レベルは全ては発表されませんでしたが、「ウォール投稿できる」「インサイトを閲覧できる」という2個は含まれているようでした。


これが外部委託企業へ運用などお願いする時もやりやすくなりますね。


3.日本のマーケター向けに「Facebook Marketing Solutions Japan」が出来た。


『Facebook Marketing Solutions』の日本語版、『Facebook Marketing Solutions Japan』が出来ました。


これまでは英語版で存在していたのですが、日本にさらに力を入れていくという事で、日本のマーケター向けに新たに作ってくれたようです。


今後、実践的な情報などの情報発信をしていくという事なので、まだファンになっていない方は、いいね!しておいて頂けたら良いと思います。


タイムライン化解説資料の日本語版も公開


また、タイムライン化の強制適用を目前に控え、日本語版の公式解説資料も公開されました。


ただ、Facebookページのタイムライン化で検討すべき11項目のチェックリスト【完全版】の記事のほうが細かく書いていると思いますので、まだご覧になっていない方はご参照頂けたらと思います。


4.ニュースフィード内スポンサー記事はもう始まっている。


皆さんも既にご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、ニュースフィード内へのスポンサー記事の配信が始まりました。


▼表示例1


▼表示例2


その配信ロジックも聞いて来まして、公開できる範囲で2つのロジックで、どのスポンサー記事の投稿をニュースフィードに表示させるかを決めているようです。


・1つ目:その投稿のエンゲージメント


-スポンサー記事対象の投稿が、どれだけ「いいね!」「コメント」を集めているか。


・2つ目:スポンサー記事の入札単価


-広告の管理画面での入札単価が高い記事のほうが優先的に表示される。


もしかすると後述するプレミアムアドでの出稿も出来るのかもしれませんが、基本的には普通に「スポンサー記事の広告を出稿する」と、運が良ければニュースフィードにも表示される、との事でした。


5.プレミアムアドはもう始まっている。


言って良いか分からないので一応名前は控えますが、既に某大手代理店でのプレミアムアドの販売が始まっているようです。


私の知っている範囲でいくつか販売している会社があるので、もしご興味がありましたらこちらのコンタクトフォームからお声がけ下さい


費用感は、通常の従量課金のFacebook広告と比べてミニマム出稿単価が高いようです。


6.リーチジェネレーターの開始はまだ未定


リーチジェネレーターの開始のスケジュールはまだ決まっていないようです。


飯高さんが個別にFacebook担当者に聞いたところ、『ファン数50万人いないと配信できない。また価格はクリック単価ではなく、配信日数で決まる。』という事のようです。


費用感も発表されていませんでしたので、分かり次第改めてご紹介したいと思います。以下の記事にてリーチジェネレーターについてまとめました。



7.エンゲージメントが「高い」「低い」ウォール投稿の違い


こちらのスライドにあるように、Facebookの公式Facebookページでも、ウォール投稿のエンゲージメントに大きな違いがありました。


▼エンゲージメントが高いもの


・いいね!数      :  40,409人


・コメント数      :  19,179回


・シェア数       :  13,222回


・話題にした人     :  59,000人


・クチコミによるリーチ : 794,708人


・オーガニックリーチ  :7,975,979人


▼エンゲージメントが低いもの


・いいね!数      : 2,903回


・コメント数      :  746回


・シェア数       :  49回


・話題にした人     : 3,700人


・クチコミによるリーチ :20,035人


発表では、エンゲージメントが高いほうはどのように運用したかの説明もありました。


ウォール投稿で4万人からのいいね!を集めた方法


1つ目:話題にした人が多くなるように。


エンゲージメントが高いほうは、口コミによるリーチが794,708人となっています。低いものに比べて、約40倍の違いが出ています。


クチコミして貰うには、



  • 興味を持って貰える投稿

  • 面白い投稿

  • 共感性が高い投稿

  • 友達に教えたくなる情報(最新の情報、うんちく系の情報)


が必要になってきます。


2つ目:ウォール投稿をスポンサー記事で流す。


これにより140万回以上のインプレッションがあったそうです。


3つ目:エッジランクを上げる。


スポンサー記事として流した結果、エッジランクの「重み」が上がりました。(エッジランクとは?についてはこちら)


スポンサー記事で露出を増やし、いいね!・コメントを集めることにより、エッジランクが上がり、結果としてオーガニックやクチコミでのリーチが更に広がったようです。


8.Facebookページのタイムライン化の意図


『Facebookページのタイムライン化により、Facebookはビジネス色を落としていくのか?』


様々な意見が各方面から上がりましたが、fMC TokyoでFacebookからの公式見解を聞く事が出来ました。


Facebookページの哲学は「ブランドに命を吹き込む」


Facebookページの哲学は「ブランドに命を吹き込むこと」という話がありました。


「ブランドと顧客との1対1の関係を作る手助けをしたい」


現在は、昔に比べて、受け取る情報の選択肢も、商品の選択肢も増えました。そういった環境の中で、選んでもらえるブランドになるためには、「お店やブランドと顧客との1対1の関係」を取り戻さなければならずその支援をしたい、との事です。


「命を吹き込み、アイデンティティを埋め込む。そしてファンがブランドの一部になっていく」


そのブランドがどういうものなのか?それを知って貰うために、命を吹き込むようにタイムラインに記事を入れていく。そうするとブランド自体のアイデンティティを表現出来るようになります。


『ファンがブランドの一部になっていく』という話もありました。タイムラインはまさにこの思想が反映されたものなのかなと思います。


自分の友達のアクティビティがタイムラインの上位表示されたり、ファンの質を見るためインサイト情報の一部一般公開をしたり、ファンを可視化していく、というFacebookの方針が各所に見受けられます。


「ビジネス色を落とした訳ではない」


タイムライン化により、Facebookページはビジネス色が落ちていくのでは?というブログ記事を見かけたこともありますが、Facebook公式見解では、そんな事はないようです。


あくまで、人とブランドがつながりやすくするために、タイムラインになっているだけですので。


9.タイムラインと絡めたフォトコンテストやキャンペーンの工夫のやり方


フォトコンテストやキャンペーンを上手くやっている事例の紹介がありました。


a.フォトコンテストの写真をカバー写真に。


フォトコンテストの入賞者の写真を、カバー写真にします。


その事例として『Verizon Wireless』が紹介されました。


現在も、「Photo taken by Frederick H. with a Verizon Wireless Motorola DROID Razr」というコメントが入ったカバー写真になっているので、ファンから投稿して貰った写真をカバー写真にしていると思われます。


▼『Verizon Wireless』のカバー写真


これまで、OreoのFacebookページなどで行なっていたFan’s Photo企画(*注1)の場が、プロフィール写真ではなくカバー写真に移った形ですね。


*注1:呼び方は色々ありますが、Fan’s Photo企画はプロフィール写真にファンの写真やファンから投稿して貰った写真を掲載する事を対価としたファン参加型の投稿企画


10.ファンのほうが所有、推薦の可能性が高い。


ヒュンダイ自動車の事例として、



  • ファンでない人と比べ、ファンがヒュンダイ自動車を所有している確率は2.2倍になる。

  • ファンでない人と比べ、ファンがヒュンダイ自動車を友達にすすめる可能性は20%多い


と言ったデータが公開されました。


ここで言う「ファン」というのが、元からロイヤリティが高いユーザーか、それとも、元々ロイヤリティが低いユーザーが、ファンになってからエンゲージメントされてヒュンダイの自動車を購入するようになったかは示されていなかったので残念ですが、所有率はやはりファンのほうが高くなりました。


11.Facebookページを成功させるための5つのポイント+α


Facebookページを成功させるためのTIPSとして、5つのポイントが紹介されました。


1つ目:つながる


・すべてつながりから始まる


・真のアイデンティティを構築-見せかけはやめる


・量ではなく質


・常にオンの戦略をとる


「常にオンの戦略をとる」について、さらに解説します。


「常にオンの戦略をとる」とは?


これは、ファンが楽しんでくれる事を常にやっていこう、という事です。


そして、通常の運用だけではエンゲージメントの成長曲線も限られているので、バーストとしてキャンペーンやイベントを定期的に行なっていく事が、Facebookから推奨されました。


▼「常にオンの戦略」のイメージ


Facebookページのタイムライン化発表以降、いくつかのブログでキャンペーンはもう必要ないのでは?という事を言っているところもありましたが、前回のFacebookタイムラインの記事でも書いたように、運用している身としても必要だと感じていますし、Facebookからも公式に必要だと言われたので、正しい事が証明されたのかなと思います。


通常の運用、キャンペーン、両方やることによって、ロイヤルカスタマーベースを作っていくように、との事でした。


※カクテルアワーの個別の質疑応答の際にも、アプリを使ったキャンペーンは、タイムライン化ごも必要だという話を聞けました。


2つ目:簡潔に保つ


ウォール投稿の文章は簡潔にしましょう。


英語の場合、100~200文字以内にすると、それ以上の投稿に比べて、60%以上いいね!がつきやすい、というデータが取れているようです。


100~200文字というのは、3行以内という事でしたので、日本語の場合は87~99文字以内を目安ですね。(旧版Facebookページだと3行は99文字、タイムライン版Facebookページは3行で87文字です。)



3つ目:定期的に投稿する。


定期的にウォール投稿をしましょう。


発表では、1週間に5回~7回と推奨されました。(が、個人的にはファンのためになる投稿であれば、もっと多くても良いと思っています。)


投稿の時間が大事!


発表の中で、無印良品さんの事例が上がりました。


無印さんは、15時あたりによく食べ物の投稿をするらしいです。(おやつの時間だからですかね。)


このように、うちの会社であれば、何時に投稿すれば反応が良くなるかというのを、調べることが重要という話がありました。


※他社の投稿状況や、ファンのアクティブ時間帯から見ることが出来るFacebook用ファン解析ツールもありますので、どの時間帯の投稿が反応が良いか調べたい方はこちらからご相談下さい。


4つ目:ビジュアルの効果


カバー写真や、ウォール投稿の写真・動画でインパクトがあるものを載せましょう、という、ただそれだけです。


やはりウォール投稿は写真・動画などのリッチコンテンツが全体的にエンゲージメントを集めやすい、という話もありました。


5つ目:真の声を知る


「ファンの真の声を知る」という事で、テレビ東京さんのWBSのFacebookページが紹介されました。


ここでは、アナウンサーがニュースで紹介する情報を事前にアップしたりしているようです。


▼例えばこういった形です。


ファンに対して予告編として番組の紹介もできますし、ファンの興味関心具合といった反応も見れる事が良いという事です。


また、ファンはアナウンサーと会話している気分になれる、という事でエンゲージメントも高くなりやすいようです。


+α.マーケティングを組織間の中心に。


こちらのスライドにあるように、マーケティングを組織の中心の据え、組織間で連携を図っていくことが推奨されています。


+α.年間スケジュールを決める。


既に皆さんもやっているかもしれませんが、年間の施策スケジュールを引くことを推奨されました。


世の中のイベントや、社内の他のマーケティング施策に合わせて、Facebookではどういった事をやると良いかを考えましょう。


12.「ありがとう」と言うとエンゲージメントが上がる。


ブランドのFacebookページから「ありがとう」という投稿をするとエンゲージメントが上がりやすいようです。


これだけ見ると小手先の手法に見えるので注意が必要です。


ただ、ありがとうと言えば良いのではなく、



  • ファン数が○○人を突破!

  • 設立○○周年!

  • 導入企業が○○社を突破!

  • 年末年始の挨拶


など、本当にファンに感謝すべきタイミングで、ファンにお礼を伝える投稿をしたほうが良いでしょう。


13.リアルタイムインサイトでFacebook広告のPDCAを高速化


リアルタイムインサイトでは、データの反映時間が5分~10分になります。(これまでは、数日かかっていました。)


それにより、『伝えたいメッセージをウォール投稿で試し、その反応を元にFacebook広告のクリエイティブを修正していく』という流れがスピーディーに出来るようになります。


また、Facebook広告だけではなく、「何をトップ固定するか」「追加でどういった情報を投稿したら良いか」などの検討を即時に行えるようになっていきます。


日本でのリアルタイムインサイトの反映時間が発表されていませんので、分かり次第お知らせしたいと思います。


その他トピック


それ以外にも章立てするほどでも無いのですが、参考になりそうな情報がありましたので、いくつかご紹介します。


ユーザーは友達同士で会話をしている。



  • Facebook内では友達同士は会話をしている。ブランドとユーザー間も。

  • そうすると、企業の商品情報をマーケティング情報として受け取らない。

  • 情報の受容性が上がるし、信頼している友達やブランドからの情報であれば疑ってかからず信じてもらえる。

  • 友達との間で会話になると、記憶に残るのが55%アップするというデータもある。


武雄市のHPのPV数は、Facebookページ化後6倍になった


Facebookページ内にHPを移行した事により、PVが6倍になったそうです。


こういうイベントに参加したほうが良い事


今回のようなイベントは、ブログでも記事が出ますがやはり直接参加したほうが良いなと思いました。参加すると以下のようなメリットがあります。



  • 直接質問できる。

  • 業界関係者とのコネクションが増える(特にFacebookの担当の方)。

  • メディアで出る情報もあるが、何かしらのフィルターがかかって、全部は出てこないので、自分の耳で聴くのが良い。その発表があった文脈も分らないので誤解してしまう事もある。

  • 参加すると同時通訳もしてくれる。

  • 周りの熱気に触れ、担当者のモチベーションが上がる。





以上、という事で『けっきょく何を把握すれば良いの?fMC Tokyoで新しく分かった13個のこと|米国版fMCにはなかった情報まとめ』でした。


(執筆/編集 井出:Facebooktwitter


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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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