次にくる、ライブ動画配信アプリ「takusuta」!若者を引き付ける同期コミュニケーションに注目!
2016/06/23
数年前からツイキャス・ライブやニコニコ生放送など、ライブ動画配信サービスが若者を中心に広がりを見せ、最近ではFacebookのLiveStreamやTwitterのPeriscopeなどSNSにもライブ動画の導入が進んでいます。
そうした中、ラボ編集部はライブ動画配信アプリ「takusuta」を運営する株式会社タクスタ代表の田久保氏にインタビューし、ライブ配信サービスユーザーの心の掴み方やプラットフォーマーならではの視点に迫りました。
text / ソーシャルメディアラボ副編集長 小東真人
- 目次
- プロフィール
- リアルタイムで繋がれるライブ動画配信の強みを生かす
- 「リア充」に愛されるライブ配信アプリを目指して
- 視聴者にウケる動画配信の施策とは
- 今後のライブ動画視聴アプリやtakusutaの目標は
- 編集後記:SNSのライブ動画とアプリのライブ動画視聴の違い
プロフィール
田久保 健太氏
株式会社タクスタ 代表取締役
2009年に株式会社サイバーエージェントに新卒入社。
「Ameba」のモバイル向け育成ゲームや「アメーバピグ」など、約5年間プロデューサーや事業責任者を経験し、現在は動画専門子会社の社長としてLIVE動画サービス「takusuta」を提供中。
リアルタイムで繋がれるライブ動画配信の強みを生かす
Twitterと連動して、視聴者・配信者の同期コミュニケーションを後押し
小東:takusutaはどういった特徴のライブ動画配信アプリなのですか?
田久保氏: 特徴としては、ライブ動画配信を通して、配信者と視聴者がリアルタイムでコミュニケーションが取れる同期コミュニケーション型のアプリです。例えば、視聴者はtakusutaのアプリひとつで配信者のTwitterアカウントがフォローでき、その場で繋がりが持てるよう工夫しています。また、はじめてライブ動画配信をするユーザーにとっても心地よく使ってもらえるような機能を充実させているのも特徴です。代表的な機能としては、ライブ動画配信では国内初となる配信者が美肌に映るフィルター機能を搭載しています。
小東:ライブ動画配信サービスを始められたきっかけはなんだったのでしょうか。
田久保氏:2014年インターネットのマーケットの中で、ツイキャスやニコニコ生放送がユーザーに支持され台頭してきている状況を受け、サイバーエージェントでも、動画の新規事業を複数立ち上げることになったのがきっかけです。
小東:takusutaを始められた時のライブ動画配信市場は、どのようなものでしたか?
田久保氏:2014年11月にtakusutaがスタートしました。その当時は、ツイキャスとニコニコ生放送しか、一般のユーザーが動画を配信するサービスがなかった状況です。PC端末からの利用が主なユーストリームを除けば、類似するサービスはこの2つでした。
「リア充」に愛されるライブ配信アプリを目指して
新しいユーザー層の開拓、新しいコミュニケーションの追求
小東:初期のコンセプトは、どういうものだったのでしょうか?
田久保氏:当初からのコンセプトとして、他のライブ配信サービスとは違い、ユーザー層がネット住民に偏るよりも、「リア充」に愛されるアプリにしたいという思いがありました。例えるなら、Instagramの動画版のような。“どのようなプロダクトにすればそういった人たちが使ってくれるか”を意識してサービスを作っていきましたね。
複雑な仕様は、入れない
小東:こういうものは初期ユーザーの色に染まりやすいのかなと思うのですが、いわゆる「リア充」層に使ってもらうために工夫したことはありますか?
田久保氏:まず、takusutaには配信者が美肌に映るフィルター機能があります。そのおかげで初期は発信力のある10代の女子が集まりましたね。
あとは全体的に、玄人が好むような難しい機能はあまりつけないようにしています。見逃したライブ配信を振り返れるハイライト再生機能、カレンダー機能など、配信者が動画を作りやすく視聴者が留まりやすい仕組みを目指しています。
小東:配信者は、具体的にどういった方がいらっしゃるのですか?
田久保氏:1つ目は有名になりたい層、2つ目はツイキャスなど他メディアから移行したり併用したりしている層、3つ目は自己顕示欲を満たすためとか暇つぶしがしたい若年層、具体的には高校生などです。また特徴として、ツイキャスなどは圧倒的にネットの中で盛り上がる印象ですが、takusutaのユーザーは「なんとかネット外で有名になりたい」という人が多いですね。
視聴者にウケる動画配信を増やす施策
トップユーザーにはtakusuta運営側が直接アドバイス
小東:有名な動画配信者さんも現れたりするのですか?
田久保氏:はい、いますね。動画中にユーザーから貰える「いいね!」のような星があるのですが、その星の数でランキングを設けています。なかでも、星をたくさん集める人気の配信者を「トップユーザー」と呼んでいます。実は、トップユーザーにはTwitterのDMやLINEなどで、こちらから声を掛けるんですよ。そこで、より良い動画にするための提案やアドバイスをしたりします。結果的に動画がウケればフォロワーが増え、トップユーザーさんのリアルの仕事にもつながるので、お互いにメリットがあります。
小東:トップユーザーに声を掛けたりアドバイスしたりするのは、何名くらいでやられていますか?
田久保氏:2名にやってもらっています。東京と大阪から各1名ずつで、両者とも実は元配信者だったんです。彼らが配信しているのを見つけたことがきっかけで、彼らとコミュニケーションを取るようになって、やってもらうことにしました(笑) 裏側では運営側である2名にトップユーザーの番組表を作ってもらっています。時間帯に合わせて配信者のお手本となるような動画を提供出来るよう工夫しています。
小東:そうして動画の質を保っていたのですね。「ウケる」動画の特徴とかはありますか?
田久保氏:SNS上でウケがいいものというのは、感動するものや何か凄く凝ったものではなくて、親近感があって応援したくなるものや、ツッコミどころがあるものですね。その要素を持っているライブ配信には、人気が集まります。ある意味、「予定不調和的なもの」がSNSでは求められているんだと思います。
今後のライブ動画視聴アプリやtakusutaの目標は
キーワードは「セルフィー」、日本を含めアジアでライブ動画がブーム
小東:今後、ライブ動画視聴サービスはどうなっていくと思いますか?
田久保氏:まず、国内ではもっと普及していくと思います。自撮り棒やセルフィー、Snapchatの登場により、自分の顔を映すハードルが下がっているからです。当初食べ物が中心だったInstagramも、今や自撮りを載せるのが珍しくないですよね。ライブ動画でも同じ傾向になると思います。
小東:世界では、どうでしょうか?
田久保氏: 台湾や韓国、インドネシア、中国ではセルフィーがとても流行っているので、アジアの女性を中心に、ライブ動画配信はトレンドになってきています。それぞれの国にそれぞれのオリジナルの似た様なアプリがあって圧倒的なものはまだ出てきてないです。ちなみに、台湾には日本の文化に興味を持っている方が多くいらっしゃるので、今後展開していきたいですね。
小東:今後注力していきたいところを教えてください。
田久保氏:配信の文化や作法が拡がって浸透していく状態づくりに注力します。そのために先ほどのハイライト動画の拡散を促進する動機づくりやUI設計の準備や実行をしています。あくまで「簡単に配信できる」という魅力を崩さず、的確に機能を追加していくバランスを取るのが重要です。
小東:それでは最後に、takusutaが実現させたい世界観を教えてください。
田久保氏:一気にtakusutaの世界を広げるには、「名物ユーザー」の誕生が必要だと思っています。配信者を名物化させるためにAbemaTVに出演いただくなど、露出面を増やすことはできますしね。あとは、ネットから将来の有名人を発掘してTVに出すことが上手な事務所と連携して、takusutaから見つけてもらえるようにしたいですね。そのためにも、今は配信者にとっても視聴者にとっても魅力的なものとなるよう、サービスを磨き上げていくことに集中しています。最終的には勿論、ビジネスとしても成功させ、「ライブ配信動画といえばtakusuta」という地位を狙っていきたいと思っています。
小東:ありがとうございました!
編集後記:SNSのライブ動画とアプリのライブ動画視聴の違い
それぞれ使い分けがされて、共存していく
ひとえに「ライブ動画」と言っても、TwitterのPeriscopeのようなSNS上の一機能から今回取り上げたtakusutaのような動画視聴の専用アプリまで、形態は様々です。しかし、コンセプトを紐解いていけば、ライブ動画配信市場におけるそれぞれの立ち位置が見えてきます。
例えば、Facebookは友達と家族など元々繋がりのある人たちに情報を共有するためのプラットフォームで、そこにライブ動画機能が加わることで共有の質をよりリッチなものにしようとしています。
また、Twitterに導入されたPeriscopeには「世界で何が起こっているのかを見る」というコンセプトがあり、それがリアルタイム性を強みとするTwitterと合わさることで、個々人の目の前で起こった体験をライブ動画で鮮明に届けることが可能となりました。
一方で、takusutaはアプリを使う不特定多数の若者、特に「リア充」層の人々に、動画でコミュニケーションを取ってもらうことが主な目的で、SNSの一機能としてのライブ動画とは異なるといえます。
これらの違いにより、ユーザーは目的別にライブ配信機能を使い分け、それぞれ異なるフィールドで共存していくこと考えられます。
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