Google的な検索文化を持つInstagram。よりビジネス活用価値の高いSNSになりえるか?
2017/03/07
先日、日本国内のMAUが1600万人を超えたと発表のあったInstagram。昨年の900万人から、著しいユーザー数の伸びを記録しています。
そんなInstagramですが、今や単なる写真共有SNSアプリではありません。最近では、ビジネス向け機能の拡充が進んでいます。たとえば先日導入された「ビジネスプロフィール」では、問い合わせ窓口を表示させたり、地図を出して店舗へ誘導したり、またインサイトデータの分析が可能となりました。
なぜFacebook社はそのような開発を進めているのでしょうか。本記事では、Instagramがユーザーの「見たい」「知りたい」というニーズを満たしている点に触れ、なぜ企業のマーケターが同アプリのビジネス活用に力をいれるべきかを述べていきます。
- ■目次
- Instagramのビジネス向け機能とは
- Instagramの「検索文化」とは
- Instagramならではの強み
- 今後のビジネス活用について
- まとめ
1. Instagramのビジネス向け機能
「インサイト機能」で効果測定がより簡単に
本項ではそもそも、Instagramにどういったビジネス向け機能が備わっているのか説明していきます。
2016年8月にインサイト機能が追加され、投稿に対してどれだけの「インプレッション」「リーチ」「エンゲージメント」があったのかを簡単に確認できるようになりました。
インサイト機能は、アプリ右上のオプション内にある「ビジネスプロフィールに切り替える」を選択することで、たった3分ほどで切り替えることができます。
参考記事:
Instagramのビジネスプロフィールとは?企業のInstagram活用が捗るビジネスツールを徹底解説
今までは、投稿に対して「いいね!」が付くものの、それがどれだけユーザーに見られているのか不明瞭でしたが、インサイト機能を中心に効果測定をすることで、それらの測定が可能になりました。
「タグ付け」や「外部リンク」、「お問い合わせ」まで
インサイト機能以外にも、以下のような機能が実装されており、よりビジネスに繋げやすくなっています。
- 友人のアカウントをタグ付けできる
- Instagram Storiesに外部リンクを挿入できる(現在は一部アカウントのみ)
- 投稿の宣伝など広告配信が容易にできる
- プロフィール画面から簡単に問い合わせを行うことができる
今までInstagramから他サイトに誘導することが難しい面がありましたが、Instagram Stroiesでは外部リンクを挿入することができるようになりました。
また、プロフィール画面からの問い合わせでは、メールはもちろんプッシュ電話で連絡することも可能です。
Instagramのアプリから、商品購入や予約などを電話で気軽にできることはユーザーの利便性を向上さえる要因になりえます。
今までは購買に繋げるのが難しく、ブランディング目的が主な活用方法だった印象がありますが、ユーザーの購買アクションに大分繋げやすくなってきた、と言えるでしょう。
2. Instagramの「検索文化」とは
検索機能の利用率は、10代女性の約33%、20代女性では27%
みなさんはInstagram上で、検索機能を使ったことはありますか?
InstagramはFacebookやTwitterといった他のSNSにくらべて、「あれ食べたい」「ここ行ってみたい」「この服のコーディネート見てみたい」というユーザーの強い動機から検索が使われることが多いです。
下記のグラフは、具体的にInstagramで行われる検索を調査したものです。
画像引用:https://www.macromill.com/honote/20160726/report.html
Instagramにおける検索機能の利用率は、10代女性の約33%、20代女性では27%と3割程度を占める結果となっています。特に若い女性の間では、Instagram検索がよく利用されているといえます。
Instagramで検索されるコンテンツ事例
「スポット検索」で近場の飲食店を探す
Instagramには「スポット検索」があり、現在地周辺のスポットを探すことができます。
たとえば、スポット検索で「ラーメン」と検索すれば近場のラーメン屋が一覧で出てきて、そのラーメン屋をタップすれば、投稿されたお店の写真がずらっと出てきます。
▲地図を押すとマップが開き、ルートが表示されます
フォトジェニックな画像を参考にして、その店の内装や食事をぱっと確認できます。
行く場所(観光地など)のハッシュタグを事前に見る
旅行に出かける前にハッシュタグで行く予定のスポットを検索し、おすすめのスポットを予め把握しておく、といった利用方法もあります。これは”ハッシュタグ旅”とも言われています。
旅行先で残念なスポットに行きたくない、どうせ行くなら一番良い場所に行きたい、という考えから、事前にInstagramで景色を確認してから行くようです。
参考:ハッシュタグ旅で夏レジャーは決まり!Instagram「検索」活用術
料理のハウツーや、ファッションの着こなしを学ぶ
作りたい料理の調理方法を学ぶために、料理名のハッシュタグでどんな料理があるか調べたり、ファッションブランドのハッシュタグからどんな着こなしがあるか着こなしを学ぶ、といった検索の活用方法もあります。
服の着こなしは、テキストで説明されるよりも画像を見て学んだほうが分かりやすく、Instagramとの相性の良さが感じられます。
3. Instagramならではの強み
Googleのように検索ニーズを集められる!
そもそもGoogle検索の凄さとは
そもそもGoogleのプラットフォームとして優れており、広告価値の高い媒体たる理由は、ユーザーの「見たい」「知りたい」「買いたい」などといったインテント(意図)を集めることに成功したからです。このユーザーのインテントにはものすごく価値があり、そのユーザーにアプローチしたいために企業は多くの広告費を投じるのです。
Google検索の要素を持つ、Instagram
実はこうしたGoogle的な要素をInstagramも有しています。Instagramで検索するユーザーも「見たい」「参考にしたい」というインテントをもって検索します。Instagramでの検索は主に画像・動画なので、Googleと比較して検索するコンテンツの形式は異なりますが、ユーザーがインテントを持って検索するという点に関してはGoogleと同じです。つまりInstagramはGoogleと同じく価値の高いユーザーのインテントを集めることが出来る媒体なのです。
「検索機能」はFacebookやTwitterにも確かにありますが、このようなGoogle的な検索文化はInstagram特有のものといえます。
現状、Facebookは利用者個人のアカウントやページを表示するだけに留まり、あまり検索ニーズを満たすような使い方は一般的ではなく、Twitterは情報が比較的すぐ流れてしまいストックされないため、話題の「テレビ番組」や災害などの「ニュース情報」といったリアルタイム性に富んだコンテンツに限られてしまいます。
Facebookのように自分と関連した情報が届きやすい!
Instagramには特有な「検索文化」があると前述しましたが、同SNSは「待っていても」自分に関連した情報が来やすいメディアになっています。
それはFacebookのようなアルゴリズムが採用されており、友達や自分の興味関心がある情報が優先的に流れてくるよう最適化されています。このため能動的に「検索」して情報を取りにいける点に加えて、受動的に情報が手に入りやすい点でも優れています。
Instagramは、GoogleとFacebookの”良いとこ取り”
まとめると下記のように、InstagramはGoogleやFacebookの”良いとこ取り”といえるでしょう。
- 「検索」機能によって、ユーザーのインテントを集められる
- アルゴリズムによって、検索しないユーザーに対しても情報が届きやすい
Instagramには、相性がある
特に事例でも取り上げたアパレルや食品、旅行・観光分野は、ヴィジュアルでユーザーをひきつけやすく、消費行動を促すのに相性が良さそうです。ただ一方で、Instagramの弱点を挙げるなら、その商材範囲が狭いことです。
無形商材、たとえばBtoBサービスなど、事業内容が画像一枚では伝わりづらい複雑なものでは、効果的にプロモーションしづらいといえます。そのため自社商品・サービスとの相性を考えてから、運用を検討すべきだといえます。
4. 今後のビジネス活用について
Instagramに自社コンテンツが無いのは、致命的
最後に、今後のビジネス活用についてです。前項で述べたGoogle的な「検索文化」をもう少し深掘りしてみましょう。
もし企業がInstagram上でハッシュタグを使って自社商品・サービスに関する情報を一つも発信してなかった場合(もしくはユーザーによって投稿されていなかった場合)、検索者には何も表示されず最悪なユーザー体験をさせてしまいます。
Googleでいえば、自社の情報が何ひとつ出てこない(もしくは、作られていない)状態になります。
このような状態を避けるためにも、まずは自社に関連するハッシュタグでの投稿をして、検索された際の受け皿を作っておくことが重要になります。最近ではマイクロインフルエンサーの活用をして自社商品について投稿してもらう施策なども考えられます。
重要性が増す人気投稿9枠の価値
Instagram検索の文脈だと、ハッシュタグ検索した際に上部に掲載される人気投稿の枠の価値は高くなっていくと考えられます。
Googleなどの検索エンジンが登場してSEOが重要になったように、Instagramでも人気投稿にいかにして掲載されるかということが企業としては重要になっていくかもしれません。
また今後はリスティング広告のように人気投稿の数枠が広告枠として販売されるということも容易に想像することができます。
参考記事:
100ハッシュタグ・900人気投稿を徹底調査! Instagram「人気投稿」に表示される傾向を分析
5. まとめ
これまでInstagramにはGoogle的側面とFacebook的側面があり、情報発信と情報収集ともに活用されてきている現状を挙げて、ビジネス向け機能が拡充してくる今こそ始めるチャンスだと述べてきました。
自社商品・サービスとの相性を考慮しつつ、ぜひ運用を検討してみて下さい。
以上、「Google的な検索文化を持つInstagram。より広告価値の高いメディアになりえるか?」でした!
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