超人気動画メディア「bouncy」がECに参入した理由と動画コマースの可能性
2017/04/25
国内・海外の革新的なプロダクトやテクノロジーを動画で紹介する動画メディア「bouncy」が、Facebookで新しく立ち上げたのが、「bouncy STORE」です。Facebookページで商品紹介動画を投稿し購買へつなげる、いわゆる動画コマースの領域にも挑戦するメディアになっています。
今回はそんなbouncy を運営している株式会社Viibarの小穴哲也氏にお話を伺いました。bouncy、そしてbouncy STOREを立ち上げた経緯や、動画コマースを実践してみて気づいたことなどをお話いただきます。
Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑
text / 青木麻里那
- ■目次
- プロフィール
- 約1年で30万いいね!を獲得したFacebookページ「bouncy」とは?
- 実用的なもののほうが売れる?見せ方はストーリー重視がいい?動画コマースを実践してみて
- bouncy、そしてbouncy STOREの今後の展望
プロフィール
小穴哲也氏:株式会社Viibar bouncy編集部(EC担当)
約1年で30万いいね!を獲得したFacebookページ「bouncy」とは?
大久保:bouncy STOREの動画コマースについて伺う前に、bouncyについて教えていただけますか?
小穴氏(以下敬称略):bouncyは、新規性の高いテクノロジーが使われているプロダクトや、テクノロジーを使って世の中を良くするアイデア、エッジのあるアートやデザインなどの情報を動画で発信するメディアです。
https://www.facebook.com/bouncy.news/
テクノロジーやプロダクトが軸にはなっているのですが、編集部として大事にしているのは「Wow!」という驚きです。私たちは知的好奇心と言っているんですけど、コンテンツを見ている人たちに何かを感じ取ってもらう、学びとってもらう、驚いてもらう、というのを一番大事にしています。
大久保:最初にFacebookページを開設しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
小穴:「bouncy」というメディアを立ち上げるプラットフォームとして、ユーザー、動画というコンテンツとの相性の良さから、まずはFacebookから立ち上げようとなりました。
最初はFacebookページとして始まりましたが、※4月の下旬には「WEBサイト」もローンチし、テキスト情報も含めたさらに深い情報を提供できるようになる予定です。
※4月24日「Webサイト」がローンチしました:http://viibar.com/press/170424bouncy
実用的なもののほうが売れる?見せ方はストーリー重視がいい?動画コマースを実践してみて
動画コマース参入の経緯
大久保:動画コマースである「bouncy STORE」は年明けにページを開設されたんですよね。こちらに参入したのは、やはり紹介する商品へのお問い合わせが多かったからでしょうか?
小穴:おっしゃるとおりです。ユーザーから「これ買いたいです」とか、「どこで買えるんですか」というコメントやダイレクトメッセージが結構くるので、その要望に答えるひとつの方法としてbouncy STOREを始めました。
https://www.facebook.com/bouncystore.viibar/
大久保:たしかにbouncyを見ていると、「買いたいな」と思いますよね。普通にamazonのリンクが貼ってあって驚いたこともあります。
小穴氏:そうですね。クラウドファンディング中のものは期間が終わっちゃうと買えないこともありますが、普通に購入できるものもあるんです。ただし、購買につなげる場合は販売業者さんと連携してやっているので、日本できちんと正規販売している商品に絞られてしまいますけどね。
大久保:なるほど。bouncyのこだわりである「Wow!」がある商品で、かつ日本からも正規ルートで購入できるものを取り扱っているんですね。
衝動買いは意外と少ない。商品の見せ方は実験の余地あり
大久保:bouncy STOREをやってみての率直な感想やわかったことを教えてください。
小穴:意外だなと思ったのが、売れ筋になる商品です。始める時は、すごくユニークで単価も高めな商品を衝動的に買う人が一定数いるんじゃないかと思っていました。動画を見て「すごい!欲しい!買う!」というようなイメージ。
でも実際によく売れるのは、実用的な商品でした。自分の生活がちょっと便利になるとか、これがあればすごく助かるとか、そういった商品の反響がより大きいというのが、やってみて分かったことですね。
大久保:シェア数やいいね!数が多い商品が売れるとは限らず、「実際に使える」ものが買われる傾向が強いんですね。
小穴:今はそうですね。ただこれは見せ方によって変わっていく部分もあるのかなと思っています。
今のbouncy STOREは、比較的機能面の訴求が強くなっています。「何ができる商品なのか」をわかりやすく伝えているイメージです。これだと顕在的なニーズを持っている人には届くけど、買うまでは踏み切れない人のモチベーションを上げるのには不十分なときもあるのかなと。
一方でもっと情緒的な訴求もあると思います。クラウドファンディングに近いのですが、ストーリーやバックグラウンドを伝えることで、購買意欲を高めていくイメージです。クラウドファンディングだと高額な商品がどんどん買われることもあるので、訴求方法を変えたら売れ筋も変わるのかもしれません。
動画コマースと一言でいっても色々な表現あるので、bouncyとしてどういう形が理想的なのか、まだまだ検証していきたいです。
普通のECとはちょっと違う!Facebookだからこそ生まれるソーシャル感
大久保:ちなみに今までで一番売れた商品はどのようなものだったのでしょうか?
小穴:一番人気だったのが忘れ物防止タグの「MAMORIO」という商品です。スマホのアプリと連動して、どこかにものを落とした時にスマホと連動してアラートが来たり、クラウド経由で探せる商品で、値段は約4,000円ほどです。
▼MAMORIO (マモリオ) 世界最小級の落し物防止タグ
https://www.facebook.com/bouncystore.viibar/videos/237423956666512/
小穴:確かに実用的だけど、他のプロダクト比べると、派手さはないですよね。でも動画を投稿した時に、「すごい必要だよね」とか、動画を見て誰かにすすめるとか、シェアした人のコメント上でも「お前これ使えよ!」とか「○○にプレゼントしたい!」みたいに拡がり、すごく反響がありました。
大久保:Facebookでおすすめされて買うというのが、ソーシャルっぽいですよね。
小穴:高価格帯のものは趣向性が高いので、自分の中で消化する人が多いのかもしれません。その点実用性が高いものとか、利用場面が明確なものはソーシャル上で盛り上がりやすい。
動画をきっかけに会話が生まれ、おすすめされて購買に結びつくというのは、動画コマースのひとつの成功のかたちかもしれません。
bouncy、そしてbouncy STOREの今後の展望
大久保:最後にbouncyとbouncy STOREの今後の展望を教えてください。
小穴氏:bouncyに関しては、今後も知的好奇心の強いファンを増やして、質の高いコンテンツでエンゲージメントを高めて、影響力のあるメディアに育てていきたいです。
bouncyをやっていくなかで、海外だけでなく日本でも、おもしろいプロダクトを作っている方がたくさんいることがよく分かりました。でも、なかなか世に出る機会がないんです。
私たちがそういったものを取り上げることで、ユニークで革新的なテクノロジーやアート、カルチャーなどを拡げていけたらいいなと思います。たくさんの人に知ってもらいつつ、それを見た人が影響を受けて自分でもやってみようとか、使ってみようとか、行動につながるとすごく意義がありますよね。
クリエイターを応援しつつ、人々に「Wow!」を提供して行動のきっかけを作っていきたいです。
bouncy STOREの展開としては、先程もお伝えした訴求方法のバリエーションをいろいろ試していきたいというのがひとつです。bouncyとして追求してきたのはあくまでコンテンツとしての見せ方。商品紹介としての見せ方はまだまだ最適解が見つかっていないので、地道に試行錯誤していきます。
bouncyみたいなヴァーティカルメディアは、いかにコアなユーザーと強い関係性を構築できるかが肝になるので、コンテンツを配信するにしても、コマースを展開するにしても、つまるところユーザーとの強い関係性が重要と思っています。それを目指してユーザーの声を聞きながらトライしていきたいです。
大久保:ありがとうございました!
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部