【連載企画】ストーリーズから見る、最新のInstagramマーケティング活用術

2017/10/18


昨年8月にリリースされ注目を集めたInstagramの新機能「Instagram Stories(インスタグラム ストーリーズ)」。投稿内容が24時間で自動的に消えるという特徴から、利用者からは日常のあらゆる瞬間を気軽にシェアすることができる機能として人気を博しています。一方ビジネスからも、画面上部に設置されUI的にもアテンションを引きやすく、かつ全画面を使った没入感のあるフォーマットから広告出稿先として注目を集めています。


ソーシャルメディアラボでも過去にインスタグラム ストーリーズの特集記事を展開してきましたが、今回も連載の前記事にもお話しいただいたフェイスブック ジャパン社のクライアントソリューションズマネージャーリードである丸山祐子氏にストーリーズでの広告活用術を伺いました。


▼前回のインタビュー

いま押さえておくべきは何か?プラットフォーマーが語る、Facebook・Instagram広告活用の現状


    ■目次


  1. インスタグラム ストーリーズの特徴

  2. 国内外のストーリーズ広告活用事例

  3. ストーリーズ広告が成果を引き寄せられるわけ

  4. InstagramとFacebookへ同時配信すべきなのか?


1. インスタグラム ストーリーズの特徴


大久保:Instagram、なかでも昨年リリースされ広告の出稿先としても注目を集めているインスタグラム ストーリーズについてお伺いできますでしょうか?


丸山氏(以下、敬称略):インスタグラム ストーリーズは現在、世界中で毎日2.5億人が利用する機能に成長しました。機能自体ご存じの通り去年の8月にリリースされたものですが、わずか1年弱でここまでの人気機能に成長しました。


ストーリーズ広告は今年1月より正式にリリースしたのですが、特徴としては、画面全てを使ったフルスクリーンで没入感のある映像体験を提供することができる点です。また、今年7月に投稿されたストーリーズのうち、半数はビジネスによる投稿だったことからも分かるように、企業による活用も進んでいます。外部リンクを挿入し、ウェブサイトへ飛ばしてコンバージョンへつなぐこともできるようになっています。


また「音ありで聞いてもらえる」というのも他にはない価値かも知れません。ストーリーズを閲覧している利用者の60%以上はサウンドオンで利用しているんです。一般的には割と皆さん音をオフにしていることが多いと思います。ただストーリーズの場合、投稿されているものが親近感のわきやすい日常風景であることが多く、サウンドを入れてみている方がもともと多い。音を含めた映像体験を提供できる場というのはかなりポテンシャルが高いと考えています。


大久保:縦長フルスクリーンの動画はトレンドではあるものの、既存フォーマットのものを流用することが難しく、新規に起こさなければいけないなどの課題もあります。その点は話題に上がったことはありますか?


丸山:おっしゃるとおり、懸念される広告主の方もいらっしゃいます。ただ、Instagram上でフルスクリーンを使って体験してもらえる広告フォーマットは、ストーリーズしかありません。逆にそこへ価値を感じていただき、積極的に利用いただいている会社さんも数多くいらっしゃいます。


2. 国内外のストーリーズ広告活用事例


海外での活用事例



大久保:広告はリリースから半年強といったところですが、具体的に成果に繋がっている企業様の事例などはありますでしょうか?


丸山:徐々にですが国内外で様々な事例がではじめています。事例ページにも海外事例がアップされてきていますが、中でも成果がわかりやすいものとしてAirbnbとLOUIS VUITTONの事例を紹介させてください。


Airbnbでは「エクスペリエンス」という旅行先で使う「体験プログラム」機能のローンチタイミングでご利用いただきました。ストーリーズを使い15秒のプロモーションの動画広告を展開。内容的にも没入感があり、ストーリーズの特徴であるフルスクリーンの体験にとてもマッチしていたと思います。結果としては広告想起率が上がり、Airbnbが宿泊だけでなく、現地での体験を予約するサービスと回答する利用者数も上がったというリサーチ結果にも繋がりました。


LOUIS VUITTONでは2017年春夏のメンズコレクションのローンチ時にストーリーズをご利用いただきました。ストーリーズの縦長フォーマットに合わせたクリエイティブを制作いただき、動画で訴求。メンズコレクションの認知促進を狙ったのですが、広告想起率が28ポイント上昇という結果に繋がりました。


国内での活用事例


大久保:どちらも大手企業が取り入れ成功に繋がっているのは素晴らしいですね。海外ではいち早く新しいフォーマットを取り入れ、アーリーアダプター層にアプローチするのが上手い印象があります。国内の場合はどうでしょうか?


丸山:日本でも、レシピ動画メディアの「DELISH KITCHEN」さんや結婚情報サービスの「ゼクシィ」さんなどにご利用いただき、実績を残しています。







▲DELISH KITCHENの事例


DELISH KITCHENさんでは、アプリの認知向上を目的に、18歳以上の女性を狙って広告を出稿いただきました。単に出稿するだけでは無く、効果検証のためにブランドリフト調査も実施し、広告を見た人と見ていない人の差も検証しました。


結果としては広告を見た人の広告想起率は広告を見ていない人と比べ全体で8ポイント上昇、中でも35−44歳で16ポイント上昇しました。またブランド認知に関しては全体で5ポイント、18−25歳で9ポイント上昇という結果に繋がり、没入感があるストーリーズ広告がブランディングに寄与したことも明らかになりました。



▲ゼクシィの事例


ゼクシィさんは結婚準備アプリ「ゼクシィアプリ」を展開されているのですが、アプリの潜在ユーザーである20代女性とInstagramの相性が良いため、Instagram広告は従来よりご利用いただいてました。今回、ストーリーズを使いアプリのインストールへ誘導したところ、インストール単価が37%減少、式場のブライダルフェア予約や見学予約などのアクションも2.1倍増えるという結果に繋がりました。


ゼクシィさんの場合、Instagramを意識したクリエイティブに寄せていただいたことも結果に繋がった要因の1つだと考えています。せっかくInstagram上でストーリーズという縦長フルスクリーンフォーマットを利用いただくのであれば、そのメリットは最大限活用したほうがいいという自信にもなりましたね。


3. ストーリーズ広告が成果を引き寄せられるわけ


高い成果を出す理由とは



大久保:どの事例においても高い成果に繋がっている要因はどこにあるのでしょうか?


丸山:要因としては複数あると思っています。やはりわかりやすいのはフルスクリーンで高い没入感があり、動画などのクリエイティブが映えることや、ストーリーズの利用数が急激に伸びていることなどがあげられます。ただ、実際使っていただいて体感いただくのが一番わかりやすいとは思っていますね。


当初はご提案するにあたってもストーリーズ自体を知っていただくまでに時間がかかりましたし、クライアントの上長の方がご存じないと言うこともありました。ただ投稿が消えるというトレンドが若い方々の中には確かにあって、同じように縦長動画のトレンドもある。そこを感覚的にでも理解いただき、信じていただければ結果に結びつけることはできると考えています。


業界問わず成果に繋がっている


大久保:Instagramの場合、画像主体のSNSということもありミスマッチが起こる業種はないのでしょうか?


丸山:どのようなクリエイティブにするか、そしてどのような目的で広告を出稿するかが重要なので、業界を問わずご提案させていただいています。


たとえば旅行などは商材があるわけではないですけが、旅先の写真を載せてサイトアクセスに繋げます。サービスやアプリならインストール単価の低下に繋げるキャンペーンを打つことが可能ですし、エンタメは映画などのコンテンツから動画を作り、それをモバイルに最適化し指が止まるようなクリエイティブにすれば、認知に繋げることができる。


基本的にはFacebookで広告を展開するときとやることは同じです。モバイルの世界はいかにアテンションをあげられるかが肝ですから、Instagramの広告は幅広くどの業種にも案内していますね。


4. InstagramとFacebookへ同時配信すべきなのか?



大久保:考え方次第で基本的にはどのような商材でも上手く使えると言うことですね。最後にですが、FacebookとInstagram双方展開していく中で、広告出稿を考えている人にアドバイスをいただけませんでしょうか? 双方使うべきか、それともそれぞれ使い分けるべきかなどもわかるといいなと。


丸山:どの媒体で出稿すべきかはお客様の目的次第でしょう。InstagramもFacebookもターゲティングの精度は同様です。そのなかで、Facebookであればコレクション広告、Instagramだったらストーリーズ広告というように、それぞれの媒体(プラットフォーム)にしかないフォーマットがある。


今回はInstagram Storiesの話をメインでさせていただきましたが、ストーリーズ広告であれば縦長の動画で、フルスクリーンでの没入感のある体験が提供できます。広告を出す目的や商材の特性によって自ずと適切なフォーマットは決まってくると思います。