Facebook企業ページの投稿内容、その変遷と現在の傾向とは

2017/11/25


こんにちは、SNSコンサルタントの吉野です。今回は、企業にとってスタンダードになりつつあるFacebookの運用についてよくある「何を投稿すればいいんですか?」という質問にお答えするべく、筆を執りました。


今までどのような投稿内容が流行ってきて、今はどんな投稿がウケるのか、さらにこれからそのような投稿が求められるのか、Facebookの変遷とともに解説していきます。少しでも興味をお持ちになりましたら、ぜひ目を通して見てください。


※編集部注

2017年11月25日:内容を一部加筆修正しました。


    ■目次


  1. Facebookが日本で普及するまで

  2. 単純な商品・キャンペーン紹介がメイン:2010年前後

  3. 「無料で使える」から「役立つ使い方」への進化:2012年~

  4. 「企業」と「ユーザー」ニーズの重なるポイントが重要:~2017年

  5. 結局、ウケやすいコンテンツって?

  6. まとめ


1. Facebookが日本で普及するまで


2006年9月に一般ユーザーへと公開がスタートしたFacebook。


日本語版が正式にリリースされたのは2008年5月で、来年には10周年を迎えることになります。当初はmixiやブログ、MySpaceの流行や、実名登録&公開というハードルの高さによって、ユーザーの獲得はなかなか進みませんでした。ユーザーが1,000万人を超えたのは2011年9月末で、実に3年以上の月日を費やすことになったのです。


その後、スマートフォンの爆発的な流行も後押ししてユーザー数を伸ばし、無料でビジネスに流用できることが判明したため、企業も積極的に参入していくことになりました。


2. 単純な商品・キャンペーン紹介がメイン


Facebookが始まったばかりの時:2010年前後


まずは、日本語版Facebook黎明期(2010年前後)の企業の取り組み方を振り返ってみましょう。当初のFacebookはECサイトのように商品を紹介したり、ニュースリリースやキャンペーン、イベント発表の場として使ったりと、単なる無料で使える情報発信の場としての利用が目立っていました。


投稿例1:ローソン



https://www.facebook.com/lawson.fanpage/posts/141982135849192/


こちらは2010年10月に掲載された、ローソンの投稿。


当時、新発売となったケーキの商品紹介です。新商品を単純に紹介するというスタイルは、この頃のFacebookでよく見られるものでした。もちろん、新商品の紹介は現在でも頻繁におこなわれていますが、最近は見せ方が変わり、GIF動画やスライドショーなどを使ってインパクト重視のものが増えてきています。


投稿例2:JCB



https://www.facebook.com/JCBcard/posts/176941388998938


中にはOGP画像が未設定のためか、リンクバーだけ貼ってあるような寂しい投稿も。各企業ともFacebookの上手な使い方や見せ方について、試行錯誤を重ねる時代だったと言えそうです。


3. 「無料で使える」から「役立つ使い方」への進化


企業の個性も出てきた発展期 :2012年~


次第に参入企業が増え、Facebookの活用意義が広まってきたのは、2012年を過ぎたあたりからでした。ただのニュースリリース、商品紹介といったフィールドではなく、「認知拡大」「企業イメージを高める」「コンバージョンのための(マイクロ)コンバージョン」としての価値が見いだされ始めます。


ポイントとなったのは、「普通に商品を購買するだけでは見えてこない、企業の別の顔を見せること」です。この頃から、企業のメイン事業以外の側面や人物(中の人)の公開が「ファンにますます企業を好きになってもらう」「新しいファンを増やす」ことにつながるということが明らかになり始めました。Facebookというプラットフォームにおける投稿パターンの下地が、固まり始めた時期と言えそうです。


また、企業によって使い方に違いが出てきたのも、この時期の特徴と言えます。「オウンドメディアへの流入(直接的なコンバージョンは少ないものの、「このジャンルはこの企業!」といったイメージを植えつけるのに効果的な情報公開)」「キュレーション(同業界・商品・サービスなどに関連するニュースや情報を提供することで、企業の認知拡大、その業種内でのイメージを向上)」などがその例です。


こうして、日本語版FacebookもようやくSNSらしい、多角的な広がり方を見せてきたました。


投稿例1:ユニクロ



https://www.facebook.com/uniqlo/posts/1014031815297241


投稿例2:SUNTORY



https://www.facebook.com/suntorygroup/posts/552159411519777/


大企業に多く見られるようになってきたのが、メイン業務以外の活動の報告です。商品やサービス以外の活動を紹介することで、企業のイメージを上げたり、ファンの関心を集めたり、ファン以外の人へ興味を持ってもらったりすることが狙いと考えられます。


投稿例3:FamilyMart



https://www.facebook.com/familymart.japan/posts/1141676219180171/


こちらは一見するとただの商品紹介のように見えますが、いわゆる「中の人」による日常の報告を兼ねた投稿になっています。この投稿のポイントは、社内の実在する人物を登場させ、自ら撮影したいわゆるプロが撮ったものではない画像を載せていること。


こうすることで、ユーザーと目線を同じくし、親近感・共感を得ることが可能になります。また、定期的に同じ人間を登場させることで、その人物と友達になっているかのような感覚を与えることができ、ファンとの距離をグッと縮められるのです。


4. 「企業」と「ユーザー」ニーズの重なるポイントが重要


2017年現在のトレンド


企業自体のファンになってもらうために、商品やメイン事業以外の取り組みを紹介するなど、コンテンツの幅が広がっていったわけですが、もう一歩踏み込んだ「ユーザー視点のコンテンツ」が生まれているのが最新のトレンドです。



Facebook投稿の黎明期の投稿は、いわば「企業が発信したい情報」がメイン。それが2012年ごろになると、「達成したい目的に合わせた情報」を発信するように進化しました。そして今は「企業の発信したい情報」と「ユーザーが見たいコンテンツ」の重なるポイントを見つけて、わかりやすく伝えるという段階になっています。


この「重なるポイント」を見つけるために重要になってくるのが、「ユーザー視点」です。投稿例を挙げながら解説していきます。


投稿例1:JR東日本



https://www.facebook.com/jreast.jp/posts/864161763633337


まず紹介するのは、JR東日本のこちらの投稿。単純な企業の活動報告に見えますが、こちらの投稿は9,000近くのいいね!数を集めています(JR東日本の投稿の平均いいね!数は、1,000~2,000程度)。「何が違うの?」と思うかもしれませんが、この投稿の最大のポイントは「企業にとって当たり前のことを、ファンへ向けて公開している」ということです。


社内で当然のようにおこなわれている業務や活動。実はコレ、社外の人間からしたら意外なコトである可能性が高いのです。


ましてや、Facebookの投稿が届くのは、おおむね「ファン」。ファンにとって、普通に生活しているだけじゃ絶対に知ることのできない情報というのは、とても価値が高いものなのです。


今回のこの投稿では、新入社員たちの配属に関する試験の様子が公開されており、本来ならば社外の人間は知ることができないものです。結果として多くのファンが興味を持ち、かなりの反応を得ることができました。シェア件数は300近く、コメントも100件近く投稿され、大きくバズった投稿と言えるでしょう。


投稿例2:Nissan



https://www.facebook.com/NissanJP/videos/1288137667873077/


続いて紹介するのは、Nissanの動画投稿。車のボディを塗装する過程がテンポよく映し出されます。電着塗料のプールに車体をドボンと入れるくだりは、精密機械を扱う作業とは思えない大胆さがギャップを感じさせます。自動車に興味が無い人でも思わず見入ってしまうことでしょう。


Nissanの自動車を持っている人は多いですが、Nissanの自動車製造工場へ行ったことがある人は少ないはずです。こういった情報は働く人にとっては日常的で当たり前ですが、知らない人がほとんど。しかもギャップや驚きを感じられます。動画が臨場感を与え、大きく拡散された投稿であると言えるでしょう。


普段の投稿へのいいね!は大体500~1,000ほどですが、この回は約4,000のいいね!を獲得しています。


投稿例3:ミスタードーナツ



https://www.facebook.com/misdo.jp/posts/1185739044810382/


最後に紹介するのはミスタードーナツのパッケージに関する投稿。ミスタードーナツが日本に上陸した長所のパッケージのデザインを、当時の状況とともに紹介しています。これは、長い歴史を持つ企業だからこそできるコンテンツです。


古くからのファンには「懐かしい」「こんなんだったっけ?」「復刻してほしい」など、新しいファンには「知らなかった」「歴史がある企業なんだ」と、さまざまな感情を起こさせます。過去のものを公開することで、知っている人・知らない人両方から多くのいいね!数を獲得しています。


5. 結局、ウケやすいコンテンツって?


こうして見ると、どんなコンテンツがユーザーの共感を得られ、反応を促すことができるかがわかったと思います。まとめてみましょう。


ユーザーにウケるコンテンツのポイント



  • 自分たちにとって当たり前のこと、普通のこと、常識を紹介する

  • それが自社独特のものであればなお良い

  • 意外なことや驚き、ギャップを感じられることであれば、さらに良い

  • 自社の歴史、過去と現在の比較などで、懐かしさや斬新さを感じさせる。歴史があることを認知させて信頼を得る


ただ、一概に「当たり前のこと」と言われても、自分の企業のどんなことがコンテンツになるのか、その企業に所属している人にはピンとこないかもしれません。


そこで必要になってくるのは「客観的な視点」です。社内にいる中途入社してきた方や、関わりの深いお得意様に聞いてみてはいかがでしょうか。または、どんなことがコンテンツになる可能性があるのか、専門家に相談してみても良さそうです。


関連記事:SNS投稿の企画会議が楽になる! 現場コンサルタント直伝のアイデア発想方法

https://gaiax-socialmedialab.jp/post-52842/


6. まとめ


事例を分析していくと、最近のFacebookコンテンツで増えてきた、バズりやすい投稿の傾向が見えてきたのではないでしょうか。


もともと無料で登録し活用できるFacebook。コンテンツを作るためにお金をかけるのは、なんとなくもったいない気がしますね。できれば、社内で保持している情報の中からコンテンツを作り出したいと考えている企業がほとんどでしょう。


そんな時は、今回紹介した投稿内容をヒントにして、コンテンツを作成してみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人:吉野智哉

雑誌編集⇒ Webディレクション⇒ライター⇒ デザイナー⇒ SNSコンサルと流浪の旅を続けるアラフォーサバイバー。なんでもそれなりにできてしまうけど突き抜けられない、典型的な器用貧乏。いつかは限界の壁を超えて、ドーパミンがドバドバ出るような一瞬を感じてみたい。

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