「インフルエンサーマーケティング」が成功する企業の特徴は? Find Modelに聞く企業とインフルエンサーの関係性
2017/11/28
最近とくに耳にする機会が増えてきた「インフルエンサーマーケティング」。企業と発信力のある個人が結びつき、商品やサービスをPRするものですが、昨今色々なマッチングプラットフォームが誕生していますよね。
今回はそのなかでも「Find Model」を運営する福田航太氏にお話しをうかがいました。企業とインフルエンサーをどのように結びつけているのか、また市場は今どうなっているのかうかがいました。
Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑
- ■目次
- プロフィール
- 創業の理由はインフルエンサーと企業の遠さ
- Find Modelならではの強み
- インフルエンサーマーケティングに取り組む企業の3パターン
- キャンペーンのKPIと予算感
- 企業とインフルエンサーの関係性は明示する
- インフルエンサーが自分の言葉で伝えられるようにサポートする
- 今後の展望
1. プロフィール
福田 航太氏:株式会社Find Model CEO
2. 創業の理由はインフルエンサーと企業の遠さ
大久保:Find Modelのサービスについてご紹介いただけますでしょうか。
福田氏(以下、敬称略):Find Modelは2016年9月1日にリリースして、1年ちょっと経ちました。
創業の経緯ですが、私が前職でメディアの広告営業をやっていた時にインフルエンサーをアサインする案件を担当することが多かったんです。
そのとき思ったのが、インフルエンサーと企業がめちゃめちゃ遠かったんです。メディアがあり、代理店があり、広告主があり、メディアの先にキャスティング会社があり、そこから先にまた事務所があって……全部で5, 6社は入っているじゃないかって。
そんなに会社がたくさん入らなくてもいいわけですよね。実際にインフルエンサーの方にいくお金って、場合によって広告主が支払う金額の1/10とかで。働いた人がもう少し正当に報われるべきというか、「これは常態じゃない」って感じたんです。
企業とインフルエンサーの距離をもっと近づけたいと思い立ち上げたのが、Find Modelです。
3. Find Modelならではの強み
大久保:この1年でインフルエンサーのプラットフォームって増えてきたと思いますが、他社と比較した際にFind Modelにはどういった違いがありますか?
福田:インフルエンサーマーケティングの事業者は、大きく分けて「プラットフォーム型」と「キャスティング型」、この2種類に分かれると思っています。
「プラットフォーム型」は価格が比較的安い代わりに、企画提案がなく、企業は自分でインフルエンサーをイチから選ぶ必要があり、広告主からは「全部自分でやらないといけない」「誰を選んだら有効なのかわからない」、という悩みを聞きます。「キャスティング型」は企画提案があり、芸能事務所などとのつながりもあるので、パワーのあるインフルエンサーやタレントもアサインできる。。ただ、属人的に動く分スピードが遅かったり、価格が高かったりする。
Find Modelは双方のいいとこ取りをしているつもりです。価格面では、プラットフォーム型とほぼ変わらないくらいに抑えつつ、広告主の課題に応じて企画提案もしますし、芸能事務所ともつながりがあるので、タレントのアサインもできます。
最近では30社くらい見比べた上で弊社を選んでいただけた事例もあり、競合他社と比較しても良いポジショニングができてきていると思います。
大久保:実際連絡できるインフルエンサーの方は何名くらいいらっしゃいますか?
福田:Find Modelというサービスは登録制なので、それに登録してくれている人は800人くらいいます。加えて、「芸能事務所などに所属していてFindModelに登録はしていないけれど、つながりがありアサインできるインフルエンサー」が一定数います。そのうちフォロワーが1万人を超えている人は500人以上です。
4. インフルエンサーマーケティングに取り組む企業の3パターン
大久保:一年経って感じる、インフルエンサーマーケティングに対する広告主側の変化ってありますか。予算であったり、そもそもの捉え方であったり。
福田:最近でもインフルエンサーマーケティングを初めてやる企業が多いですが、広告主は大きく3パターンに分かれると思っています。
- 「インフルエンサーマーケティングを積極的にやらないと決めている」
- 「すでに有効活用していて、今後も継続的に活用していく」
- 「すでにインフルエンサーマーケティングに飽きている」
最初の「インフルエンサーマーケティングを積極的にやらない」企業はメリットとデメリットを鑑みたうえで、自社サービスとインフルエンサーマーケティングが合わないと判断した企業です。
次に「今後も継続的に活用していく」企業は、インフルエンサーマーケティングの成功体験がある企業です。そういった企業に共通しているのは、一定の規模のプロモーションを行い、ちゃんと認知拡大の波を作ることに成功した企業です。
インフルエンサーマーケティングは、他のデジタルマーケティングと異なり「少額で、まずはCPAが合うか検証してみる」といった活用方法が合いづらい広告手法です。あくまで認知獲得型の広告なので、一定以上の認知向上が実現して初めて、売上向上などの効果に結びつきます。
最後に「インフルエンサーマーケティングに飽きている」企業は、早いところだと、2014年くらいからインフルエンサーマーケティングをやられていた。そういう企業はインフルエンサーマーケティングの効果は認めつつも、新しいもの好きだったりするので、次の新しい有力なチャネル探しを始めています。しかし現状はまだ他の有力なチャネルが見つからず、という状態のようです。
5. キャンペーンのKPIと予算感
大久保:今、企業がインフルエンサーマーケティングやるときに、どの指標を見て、成功、失敗を判断しているのでしょうか? 設定しているKPIなどは?
福田:インフルエンサーマーケティングはあくまでプロモーション上の一つの施策にすぎないので、単体ではなく他の手法と組み合わせて行うことが多いです。そのため、プロモーション全体で売り上げが上がったかどうかを見ています。インフルエンサーマーケティングの中間KPIとしては、いいね数をよく見ます。
大久保:先ほど「少額で、まずはCPAが合うか検証してみる」といった活用方法が合いづらいということでしたが、1キャンペーンあたり実際はどれくらいの人数×単価の規模感になるんですか。
福田:1プロジェクトの平均は15~20人くらいで、ある程度影響力ある人たちをアサインします。予算でいうと100~150万円の間くらいになります。最低でそれくらいを提案するようにしていますね。
それに加えて、事務所系とかのインフルエンサーが混じってくると、一人当たりの単価が一気に50万とか100万とかになるのでそれはまた追加の別プランとして提案させて頂いています。
6. 企業とインフルエンサーの関係性は明示する
大久保:今は広告主とインフルエンサー両方にステマの啓蒙をしなきゃいけないと思うのですが、それぞれにどういうことをやっていますか?
福田:広告主に対しては、「#PR」もしくは「#AD」という表記をちゃんとつけましょうというのはマストとさせて頂きつつ、もらったものであれば「いただきました」、招待されたものであれば「招待されました」など、「関係性を明示しましょう」と提案します。逆に、広告主から、「もらったって書かないで」などと言われることもありますが弊社では断わるようにしています。
大久保:一部、そういったクライアントもいると。
福田:揉め事になったことはありますけど、「できないです」の一点張りにしています。インフルエンサーとフォロワーの信頼関係を損なわないために、「お金を貰ってやっている広告の投稿だよ」とフォロワーの方にわかってもらえるように明記することが必要です。
7. インフルエンサーが自分の言葉で伝えられるようにサポートする
大久保:企画のやり方についてですが、商品とインフルエンサーをどう掛け合わせたら効果が出るのでしょうか?
福田:「なんとなくやろう」ではなく目的を明確させて、どんなターゲットにどれくらいの影響力を出したいのか、何を伝えたいのか、と言った細かい設計を最初にやるように心がけています。
その上で「企業が情報を届けたいターゲットとマッチするフォロー話を抱えるインフルエンサー」を提案します。その人達に商品を届けるなり、何かしらイベントに来てもらう。インフルエンサーは自分のフォロワーがどうやったら喜ぶかを良くわかっているので、できるだけ発信の内容はインフルエンサーに任せてもらうようにしています。
当社からインフルエンサーへのディレクションは、人によって濃淡をつけています。ある程度お任せしても、自分の言葉でいい感想を書いてくれる方もいますし、丸投げだとうまく投稿できない方もいます。ですから、過去の広告案件の経験をもとに、任せていい人は「商品の売りはこういうところですが、使ってみた感想を自由に投稿してください」とお伝えします。逆に、上手く投稿できない方には、「こういう要素とこういう要素を自分の言葉で投稿してください」と細かめに伝えるようにしています。
たとえば、同じ商品でもナチュラル志向の方なら「敏感肌の私にも良さそう」とか、一方、ファッション重視の方だったら「これでも薄着でも歩けるから、ファッションが楽しめる」とか。人によって感じるメリットは違うはずですよね。誘導しない程度に、こういう志向に基づいた投稿が多いからそういう点での発信をしてもらうと嬉しいですとか。そういうところまでディレクションします。
大久保:企業の伝えたいことを自分なりに編集して、自分の言葉で伝えられる人がリピートしやすいのですね。
福田:クライアントの魅力とカスタマーの知りたいことをつなげる。まさにそれだと思うんですよ。そのためには自分のフォロワーが何をしたら喜ぶかっていうことをよく知っておかないといけないですね。
プラス、企業が何をしたいかをよく理解しないといけない。ちゃんと理解した上で、最終的には、自分の判断で両者が喜ぶ投稿をするっていうのはハードルが高いと思うんですけど、弊社がそこサポートしてあげる。わかりやすく咀嚼もする。その役目をよく認識することが重要かなと思います。
8. 今後の展望
大久保:今後Find Modelではどんなサービス展開をしていきますか?
福田:今は広告主から信頼いただいて、取引できる企業さんが紹介で増えているのが嬉しいですね。今後も広告主に応え続けたいです。その一方で、インフルエンサーにも働いたことに対する正当な対価を得られるサービスを続けていきたいですね。
インフルエンサーマーケティングの市場を成長させていくためには、企業のニーズにこたえ続けることが必要です。きちんと企業に広告効果を返せれるように、場合によっては進化させてインフルエンサーに付いてきてもらう。この役割がこのまま続けられたら本当にありがたいです。