「LINE Biz-Solutions Day 2019」をレポート! LINEのビジネス活用と今後の展望
2019/02/25
2月20日、LINE社主催のイベント「LINE Biz-Solutions Day 2019」が都内で開催されました。同イベントは広告主やマーケターの方向きにLINEの活用がどのように日本企業のビジネス拡大、ブランド価値の増幅に貢献していけるのか説明するものでした。
代表取締役社長CEOの出澤 剛氏や執行役員で広告ビジネス担当の池端 由基氏などがご登壇。最新の情報を踏まえてプレゼンテーションを行いました。
今回のイベントでは編集部が特に注目のセッションを厳選してお届けいたします。
Text:ソーシャルメディアラボ編集部 板谷昂洋(@itaya1991_ugsc)
- ■目次
- 2018年の振り返りと「リデザイン」の概要
- 「リデザイン」がもたらした影響
- フルファネルマーケティング事例
- LINE Ads Platform事例
- 店舗販促のデジタル化
- これからのLINE事業戦略
- まとめ
1. 2018年の振り返りと「リデザイン」の概要
前サッカー日本代表監督の西野氏とのトークセッションのあと、池端 由基氏から2018年の振り返りと「リデザイン」についての発表が行われました。
2018年の振り返り
2018年は多くのチャレンジができたと総評し、以下のサービスについて具体的に言及していました。
- LINE Sales Promotionの稼働
- 広告メニュー「CPF」の提供
- 広告メニュー「リエンゲージメント」の提供
- 広告メニュー「LINE Dynamic Ads」の提供
- 通知メッセージ機能の向上
その中で特徴的なトピックとしては以下を挙げて言及し、特にLINE Dynamic Adsの実績についてはリデザインによる広告プラットフォームの変更・データの利活用によって実現したと説明していました。
- LINE Sales Promotionの稼働
- クリスマス福袋をはじめとするサービスラインナップを拡充した
- LINE Dynamic Adsの導入実績
- CVR:450%
- CTR:730%
リデザインの概要
リデザインの目的や特徴については以下について言及していました。
- リデザインの目的
- アカウントの統合することで、今後の機能開発・新商品の開発スピードを高める
- ユーザーデータを整え、企業がユーザーに合わせたコミュニケーションを可能にする
- リデザインの特徴
- 利用費用が安価になった故に企業がターゲットニーズに合わせてブランドごとのアカウントを持ちやすくなった
- これまでは月額固定費だったものがフレキシブルな料金体系に変わり、シーズナブルな予算配分が可能になった
また現在のアカウント開設数についても言及していました。
- 公式アカウントは約600アカウント
- LINE@を含めると37万アカウント
ここで注目したいのがこれまでは月に6件ほどの増加だったのに対し、12月のリデザイン後の1ヶ月は51件のアカウントが誕生したことです。これはリデザインが多くの企業に受け入れられていると言えます。
さらに、2019年の展望について簡単な発表があり、LINE社の方針を示していました。
- トーク面の最上部をはじめとする広告配信面の拡大
- 中小企業への企業支援の強化
- LINE sales promotionの本格稼働
2. 「リデザイン」がもたらした影響
このセッションでは「リデザイン」によって変わったことの要点を改めて説明し、企業様が導入に至った経緯を話されていました。
リデザインの要点
リデザインによって変わったことを3点にまとめていました。
- アカウント料金の変更
- 1.5万円/月
- 従量課金
- アカウントの統一
- すべてLINE公式アカウント
- ターゲティング配信強化
- 1to1のコミュニケーション強化
導入の背景
花王さんの場合
花王さんは社内で複数のブランドを保有しており、その1つ1つのブランドでターゲットユーザーが異なるため予算の関係上導入ができなかったようですが、リデザインによってその問題が解決されたため導入に至ったようです。
施策はブランドごとに異なるものの、7900万人という圧倒的なリーチ力があるLINEの導入によって、これまでリーチできなかったユーザーへのアプローチユーザーの理解を深めることができると期待を寄せていました。
サッポロビールさんの場合
サッポロビールさんは花王さんと同様、予算の関係上導入ができなかったようですが、リデザインによってその問題が解決されたため導入に至ったようで花王さんとは異なり1つのブランドとして展開していくようです。
サッポロビールさんは、花王さん同様これまでリーチできなかったユーザーとの会話ができるということと自社で持つ顧客データとLINEを導入することで得られる顧客データを統合して新たな施策に展開できることに期待を寄せていました。
3. フルファネルマーケティング事例
このセッションでは認知から獲得・継続までフルファネルでLINEを活用している企業様の事例を紹介していました。
ロクシタンさんの場合
開設は2013年で、認知からリピーター獲得までの全てのファネルでLINEを活用されていました。活用方法としては、
- 会員登録の際に限定スタンプを送付して新規顧客の獲得
- リピート集客や6ヶ月未来店へのユーザーへのフォロー、クロスセル販売で別商品の販促活動など様々な目的に合わせてメッセージ配信
結果として公式アカウント経由での売り上げが年々伸びているという実績が出ており、LINEでの施策は切り離せないものになっているようです。
TBCさんの場合
開設は2015年で新規顧客への認知から体験コースの獲得までをLAPをメインとして活用しているようです。
TBCさんはLINEの他にSEMをはじめとする他媒体での広告も出稿されており、なぜLINEを活用しているのかを深掘りしてTBCさんが考えるLINEの強みについて言及していました。
- MAU数の多さ
- 獲得ボリュームをコントロール
- 季節変動が少ない
どの時期でも顧客の獲得が想定できるため、集客数字の予測が立てやすく閑散期である冬の顧客目標を掲げることができているとLINE活用の効果を実感しているようです。
4. LINE Ads Platform事例
このセッションではLINE Ads Platformのブランド広告を活用したアイフルさんの事例を紹介していました。
施策概要
これまで認知獲得はTVCMをメインで行なってきたようですが、ネットの普及によりユーザーとのタッチポイントが増えており、実際にネット申込が全体の7割を占めているため、より大きな面でリーチを取りに行く必要があると感じていたようです。
その中でLINE社との取り組みで「リーチアンドフリークエンシー」という広告メニューを活用して、以下を目的としてTVCMと同タイミングの8,9月に広告を出稿したようです。
- ①TVCMとのユーザー重複
- ②ユーザーのリフト値の調査
実績
注目したいのが以下の実績です。
- TVCMとLINEとの接触ユーザー重複:4.6%
- 年代別にみるとアイフルさんのターゲットである20代のユーザーはLINEのみで接触した割合が多い
- 単発の出稿だけではユーザーに覚えてもらえない
- ポジティブな反応をしたユーザーは利用移行が増える
これまでアプローチできていなかった新しいユーザーにリーチができており、さらに20代の比率が高いということと、継続的な広告出稿は認知を獲得することができ、ポジティブな反応をしたユーザーの利用意向を増やしていることがわかり、今回の取り組みを評価していました。
5. 店舗販促のデジタル化
このセッションでは2019年本格稼働するLINE Sales Promotion(LSP)の概要の説明がされ、現在取り組みを行なっているローソンさんとのトークセッションが行われました。
LINE Sales Promotionとは
LINE Sales Promotionは「LINEサンプリング」「LINEインスタントウィン」「LINEマイレージ」という3つのメニューを中心に店舗販促の促進を目的にした支援サービスです。LINEアプリが端末に入っていればユーザーは新規アプリのダウンロードや会員登録が不要であるということ、ユーザーの行動データをID単位で把握でき、ユーザーごとにプッシュ通知を送れるのが特徴です。
また新サービスとしてLINEチェックインの提供も開始しています。LINEチェックインはLINE Beaconとの連携で行われるメニューでLINEの公式アカウントを経由して、その店舗のクーポンやメッセージが受け取れるサービスです。店頭オペレーションの軽減や店頭POPの削減、キャンペーン参加の促進、購買行動の把握といった店頭販促における課題を解決することを目的としています。
ローソンさんとの取り組み
LINE社はこの取り組みをローソンさんと行なっており、LINEサンプリングとLINEチェックインについて導入した結果の言及がありました。注目は以下です。
- 当選者から実際に来店したのは約7割
- そのユーザーがついで買いをしており、売り上げに貢献している
- LINEチェックインの施策によってアカウントのブロック率が大幅に改善している
LINEチェックインはローソンさんが導入第一弾であり、ローソンさん自身これからも新しいチャレンジを行なっていくそうなので今後の取り組みにも注目が集まります。
6. これからのLINE事業戦略
最後のセッションでは代表取締役社長CEOの出澤 剛氏よりLINE社全体の戦略についてユーザー数の最新情報と成長戦略の発表がありました。
最新のユーザー数
まずユーザー数についてのが発表がなされました。
- MAU:7900万人
- DAU:MAUの85%
出澤 剛氏は2017年-2018年の1年で600万増えており、成長を続けていることを強調していました。
LINEの成長戦略
次に成長戦略についての発表がありました。
広告事業をコア事業にしながら戦略事業に年間600億円の投資して展開していくとし、戦略事業については「Fintech」「コマース」「AI」3つの分野に特化していくようです。
Fintech
Fintech領域の中でも特にLINE Payに力を入れていると言及し、グローバルで流通総額一兆円の大台を突破と発表しました。
また、金融業界への危機感を覗かせており、その中でも参入障壁が高いが故に企業側本位のサービス設計になっている点を指摘し、ユーザー視点で設計すべきとしてLINE社が参入していくと発表していました。
コマース
コマース領域については「LINEショッピング」「LINEデリマ」「LINEトラベル」に力を入れており非常に帯びている事業と説明していました。
「LINEショッピング」については去年対比で流通総額が1.6倍、「LINEデリマ」2.2倍に伸びており、さらにリテンション率の高く多くの割合で2回目の利用をしているようです。
AI
AI領域についてはスマートスピーカー(Clova)の性能向上に力を入れていると説明しました。
特に音声技術の向上に力を入れていて昨年に比べ反応速度が1.4秒改善、最初の呼びかけに対する認識率が10%の改善、言葉の認識率は94→95%とあらゆる技術が向上しているようです。
7. まとめ
2019年の広告事業は、「LINE Ads Platform」にて広告配信規模の拡大、「LINE Sales Promotion」にてオフラインへの展開、「LINE Account Connect」にて分析機能の向上及びUIのアップデートに注力するようです。これまでのLINEはメッセージアプリの位置付けでしたが、今回のカンファレンスを通して、認知から獲得・リピートまでの課題を解決するフルファネルマーケティングプラットフォームを目指すと宣言し、業界を牽引していく姿勢を明確に示していました。
ユーザー目線で機能を開発し、企業の課題・ニーズにあったサービスを展開しているLINE。金融領域への参入などその勢いは益々強くなっています。リデザインによって参入障壁が低くなった今、花王さんやサッポロビールさんのように前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
以上、「LINE Biz-Solutions Day 2019」をレポート! LINEのビジネス活用と今後の展望でした。