「食べ放題」が人気すぎたケンタッキーが仕掛けた「次の」ソーシャルメディアキャンペーン、その内容と効果とは?
2012/10/04
7月4日にケンタッキーさんが実施した『食べ放題』企画。45分間、一人1200円で好きなだけフライドチキンを食べられるため、多くのお客さんがお店に訪れました。
その反響はネット上でも駆け巡り、GIGAZINE(こちらやこちら)、ロケットニュース(こちら)で参加レポート記事が上がったり、togetterでまとめられたり、2chでも反省会が開かれたりしました。
ちなみに、この5つの記事だけでソーシャルでの拡散が【はてぶ448個】【ツイート5815回】【いいね!971人】となっており、少なくとも20万人以上には閲覧されているのではないかと思います。Twitter、Facebook上での露出で言うとその何倍もですね!
ケンタッキーさんはソーシャルメディアを使ったキャンペーンやアカウント運用などにも積極的です。今回は、インタビューという形で、メンバーズさん、トーチライトさん、ガイアックスの3社コラボという形で、そんなケンタッキーさんのソーシャルメディア運用チームの方々にお話を伺って来ました。
■目次
1.ケンタッキーならではの「ソーシャルメディア活用目的」
2.食べ放題の次に「生誕記念キャンペーン」を実施
3.元店長がソーシャルメディア担当に。
4.今後のソーシャルメディア活用について
お話を伺った方
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
干場 香名女さん(右)、川波 朋子さん(左)
1.ケンタッキーならではの「ソーシャルメディア活用目的」
インタビュアー :
まず最初に、ソーシャルメディアを利用している目的や背景などについて教えて頂けますでしょうか?
ケンタッキーさん :
弊社の場合は、販促というよりもブランディングや関係構築のためにソーシャルメディアを利用しています。
これまで、ケンタッキーのマーケティング活動では『モノは良いのに、TVのCMだけでは良さを伝えるのが難しい』という課題を感じていました。
例えば、店舗で提供するフライドチキンも冷凍ではなく生のお肉をその場で調理しています。ケンタッキーは「ファストフード」として括られる事もあるため、冷凍肉を使ったり簡易な調理をしていると思われている方も多いかもしれないのですが、素材の良さにこだわっているのです。
そういった商品の良さ・こだわりといったものを、共感して貰いながら広げていきたいと思っています。そして皆さんからもフィードバックを頂きながら、サービス改善にも活かしていけたらと思っています。
インタビュアー :
干場さんがやってらっしゃるリレーションシップマーケティングのタスクフォースとも連携して動いているのですか?
ケンタッキーさん :
はい、そのタスクフォースには、CS・マーケティング・コーポレート広報など多くの部署が関わっています。Facebook、Twitterといったソーシャルメディアは会社の顔にもなるため、運用状況をそこで共有しています。
インタビュアー :
FacebookやTwitterなどいくつも公式アカウントを運用されていますが、いつくらいから運用を始めたのですか?
ケンタッキーさん :
2010年10月にTwitterアカウントを初め、1年後の2011年7月にFacebookページを始めました。ケンタッキーは7月4日が創立記念日なので、Facebookはその日に合わせて公開しました。
●公式Twitterアカウント
●公式Facebookページ
http://www.facebook.com/KFC.JP
もともと、弊社の代表もソーシャルメディアの活用には興味を持っていた事も始めたきっかけではあります。1年以上運用して来たのですが、Twitterのフォロワーは8万7,000人、Facebookページのファンは2万8,000人を超えました。
2.食べ放題の次に「生誕記念キャンペーン」を実施
インタビュアー :
先日開催された『生誕記念キャンペーン』について、目的や実施内容について教えて頂けますでしょうか?
ケンタッキーさん :
カーネル・サンダースの生誕記念で開催したキャンペーンで、当初は9月7日(金)8日(土)9日(日)の3日間の予定でしたが、応募がやまなかったので12日(水)までの5日間に延長しました。抽選に参加したい方は、ケンタッキーの公式アカウントをフォローした上で、『#KFC1年分プレゼント』のハッシュタグを含めたツイートをすると応募完了となります。
●カーネル・サンダース 生誕記念キャンペーンページ
http://www.kfc.co.jp/fan_event/
インタビュアー :
キャンペーンに参加して貰うための告知は何を行ったのですか?
ケンタッキーさん :
「食べ放題」企画でソーシャルメディアの力を知ったので、ソーシャルメインで行いました。食べ放題のほうは、CMや広告出稿などはせず、プレスリリースやTwitterでつぶやいたくらいでした。それがネット上で口コミでどんどん広がっている姿を見ていたので。
Twitterのプロモトレンドは実施
ただ、ソーシャルでの拡散がメインの集客とは言え、そのブーストになるような仕掛けは用意しました。
以前、クラッシャーズのプロモーションの一環で、Twitterのプロモトレンドに出稿した時に実購買に繋がり成果が出やすいと感じました。そこで今回の生誕記念キャンペーンでも出稿しました。
ただ、それ以外の広告は特に行なっていなくて、実は、Twitterでも生誕記念とは伝えていたのですが、「生誕記念キャンペーンを開催する」とは言っていませんでした。
▼プロモトレンド実施後はレポートで効果検証も。
約4万人のフォロワーが増えた!
フォロワーの増加もとても順調でした。キャンペーンを始める前が約4万8,000人だったのですが、キャンペーン後は8万7,000人になっているので、約4万人フォロワーが増えたことになります。
ツイナビのフォロワー増加率ランキングでも1位にもなりキャンペーン的にも成功を収める事が出来ました。
▼ツイナビでフォロワー増加率ランキングの1位に。
インタビュアー :
キャンペーン参加のツイートを見ると、ただ定型の文言だけじゃなくてコメントをしてくれている方が多くいましたね。
ケンタッキー :
私達も予想以上にコメント付きでツイートしてくれる方が多く驚いています。エピソードを書いて下さいとお願いしていないにも関わらずです。
▼実際にあったコメント例
- 娘もわたしも大好きで毎日毎日毎日食べてます!! #KFC1年分プレゼント
- 大好きなケンタo(^o^)o 好きになったきっかけは、亡くなった父が好きだったから。これからも父の分まで食べまくる~(^_^)/
- 小学校の頃、毎年クリスマスシーズンにハンドベルのセット買ってました。スイートコーンが好きやったなぁ、下に小さな塩がついててふりかけて食べるとおいしかった~ ケンタッキー行きたくなってきた(^^)#KFC1年分プレゼント
こういったコメントを見ていると、みんなケンタッキーの事を好きでいてくれているんだなと思って嬉しかったです。
ブランドとストーリー
あと、今回のツイートを見ていると、お客さまにはそれぞれにケンタッキーに対するストーリーや思いを持ってくれているんだなと感じました。
ソーシャルメディアを活用する時も、奇をてらうよりも、普段からしっかりとしたサービス提供をしていく事が大切なんだなと改めて思いました。
3.元店長がソーシャルメディア担当に。
インタビュアー :
川波さんはもともと大阪のお店で店長をされていたとの事ですが、どういった経緯で担当になったのですか?
ケンタッキーさん :
アカウントの立ち上げの際に、ソーシャルメディアアカウントの担当者を社内公募しました。ネット上といえども、お客さまとコミュニケーションを取るので、店舗で接客経験がある人がいいと思っていたのです。
多くのスタッフから応募もあったのですが、新しい事にチャレンジしていくという事もあり、女性で若い川波に来て貰う事にしました。
インタビュアー :
今後は店舗との連動はどのように考えているのですか?
ケンタッキーさん :
まずFCオーナーの方に、ソーシャルメディアやその効果についてご説明したいなと思っています。今回のキャンペーンで得られた声は、まさにソーシャルの効果を実感して頂くにはピッタリだと思います。
ソーシャルで得られた声を接客クオリティの向上に活かす。
今回得られた声は、店舗の接客クオリティの向上にも使っていけるのではないかと思っています。店舗で接客していた経験上、お客さまからお礼を言われるケースも少ないですし、サービス提供後にどのように喜んで貰えているのかも感じにくいです。
ソーシャルメディアで得られたお客さまの声を、店舗に上手くフィードバックすることによって、改めて接客の。大切さや、接客レベルの向上に対するモチベーション喚起にもつながると考えています。
4.今後のソーシャルメディア活用について
インタビュアー :
最後に、今後のソーシャル活用で考えている事を教えて頂けますでしょうか?
ケンタッキーさん :
今後は、サイトのソーシャル化やスマホファーストの取り組みをしていこうと思っています。やはり弊社にもソーシャルメディア自体は親和性があることが、これまでの取り組みで分かって来たので。
それ以外にも、O2Oの取り組みや直接的な売上貢献につながるような事もしていきたいです。
■インタビュアー
株式会社エンゲージメント・ファースト
代表取締役社長 原 裕(左奥)
http://www.facebook.com/yutaka.hara
株式会社トーチライト 石橋 尚也 (左手前)
http://www.facebook.com/ishibashi.hisanari
株式会社ガイアックス 井出 一誠 (左中央)
http://www.facebook.com/idekazu
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部