twitter以外の54ミニブログのその後~ソーシャルメディアサービスを企画する上での3つのポイント

2010/10/06



■2007年、トレンドはミニブログ。


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皆さん、覚えてますでしょうか。


ミニブログのロゴ

2007年、アメリカでのtwitterブームに影響され、日本でもtwitterを始めとしたミニブログサービスが注目を集めました。

※ラボ編集部注:2016年7月17日に記事の加筆修正をしました。





  • 【コラム:Webマーケティング】最近話題沸騰中!? – 「Twitter(トゥイッター)」とは?新しい形のコミュニケーションツール @2007年6月7日


こちらにも、当時のミニブログブームに関する記述があります。




2010年、今年はグルーポンサイトソーシャルアプリが騒がれていますが、ミニブログサービスがブームの時代もあったのです。


その時、多くのサービスが登場しました。



その3年後の今、各サービスはどうなっているのでしょうか?

ソーシャルメディア業界の流れは非常に早く、一つ成功事例が出ると、その流れに乗り、半年もかからず数十社も参入する事もあります。

また、その流れが年々早くなっている事は、グルーポン系サイト・ソーシャルアプリの競争状況を見るだけでもご理解頂けるかと思います。

グルーポンサイトの競争状況については、こちらもご覧下さい。



ネットサービス、特にこれからのトレンドのソーシャルメディア周りのサービスでは、以下の循環がとても速く回ります。


1.「成功事例が登場」

2.「競合が何十社も参入」

3.「競争によるサービス淘汰」

 


・今流行りのサービスに参入する方

・これから流行るであろうサービスを見つけ新規事業にチャレンジしようとしている方


そういった方々に、ミニブログ界隈の競争状況を知って頂く事で、少しでも、今後の新規サービスの戦略立案のお役に立てればと思います。



■こんな方向けに書きました。



  • 今流行りの「グルーポン系サイト」「ソーシャルアプリ」などのソーシャルメディア

    サービスに参入しようとしている方



  • これから流行るであろうサービスを見つけ、新規事業にチャレンジしようとしている方





■目次



  • ミニブログサービス、総まとめ



  • 2010年9月、ミニブログサービスのその後



  • ミニブログブームを見て思う、ソーシャルメディアサービスを企画する上での3つのポイント







 



■ミニブログサービス、総まとめ


▽【資料公開】 ミニブログ55サイト、サービス一覧


2007年のミニブログのブーム到来以降、日本では確認出来ただけで、55サイトものミニブログサービスが登場しました。


■図1:ミニブログのサービス一覧(時系列で並んでいます)

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【資料ダウンロードはこちら


【集計日】

2010年9月25日

 


【集計対象サービス】

あくまで「日本版サービス」という定義なので、「Tumblr」「jaiku」等の海外サービスはカウントしていません。

 


【補足】

「twitter」のみ、「日本版」「米版」の2つに分けて掲載しています。(公開日のみが違います。)

▽2007年のブーム以来、毎年10サイト以上が登場!

マイクロブログの場合、どういったスパンで競合サービスが増えていったのでしょうか。


月別の参入数をまとめたグラフが以下になります。

■図2:ミニブログ、月別の参入社数

ミニブログの月別リリース数


twitterが話題になったのは、2007年4月前後です。

その後、2007年6月までの3ヵ月間で12サービスが、一気に立ち上がりました。



▼2007年、ブームに真っ先に乗ってリリースされたサービス


【2007年4月リリース】

・DooViiチャット(ドゥーヴィーチャット)/アクセラートジャパン

・Time

log(タイムログ)/サンロフト



【2007年5月リリース】

・ひとことあそび/結城浩氏

・もごもご/イー・エージェンシー(ドラゴンフィールド)

・Haru.fm/アセントネットワークス

・ジオクリ/アイラボ

・about

me(アバウトミー)/ニフティ

・エキサイトつぶろぐ/エキサイト

・nowa/livedoor


【2007年6月リリース】

・Wassr/モバイルファクトリー

・himatch/モバイルワンテクノロジー

・PIYO/FC2

inc.

 


その後、参入は減り、このままミニブログブームが終息するかに思われました。


 しかし、スピードは衰えたものの、現在でも毎年10社以上のペースで、サービス数は増加しています。

▼年別のミニブログサービスの公開数

・2006年 : 1サービス

・2007年 :15サービス

・2008年 :11サービス

・2009年 :15サービス

・2010年 :10サービス


▽ブログサービス運営会社の参入が相次ぐ

次に、どういう企業がミニブログサービスを始めたか見てみましょう。


■図3:ミニブログ、参入企業のカテゴリー

参入企業のカテゴリー


ここでは、便宜的に以下のような企業カテゴリーに分けました。

また、企業によっては様々な事業を個なっていますが、ミニブログサービスに最も関連が強いと思われる事業を抽出して分類しています。(例えば、livedoorであれば、ポータルサイト・サーバーホスティング等、色々なサービスを行っていますが、「ブログサービス運営」に分類しています。)


▼企業カテゴリーの種類

SNS運営 / メディア運営 / ブログサービス運営 / アバターサイト運営 / ソリューション事業 / WEBコンサルティング / 新聞社 / テレビ局 / 通信教育 / 検索エンジン提供 / ブラウザ開発 / コンテンツプロバイダー / ゲーム開発 / 個人 / 不明



上記図を見て頂くと、以下のカテゴリーでの参入が多い事が分かります。

▼参入が多い企業カテゴリー


1.ブログサービス運営  :11社

2.メディア運営      :10社

3.ソリューション事業   :9社

4.SNS運営         :4社

※「メディア運営」では、ブログ・SNS・アバター以外のWEBメディアを運営している企業をひとまとめにしています。


また、特に2007年の段階では、twitterブームを受けて、『ブログサービスを運営している会社』の追加サービスとして、『BtoBでソリューション提供している会社』の新規事業として、提供されるケースが多くありました。



▼2007年の『ブログサービス運営』『ソリューション事業』の企業によるサービスリリース

【ブログサービス運営】:5社

・about

me(アバウトミー)/ニフティ

・エキサイトつぶろぐ/エキサイト

・nowa/livedoor

・PIYO/FC2

inc.

・はてなハイク/はてな



【ソリューション事業】:4社

・DooViiチャット(ドゥーヴィーチャット)/アクセラートジャパン

・Timelog(タイムログ)/サンロフト

・もごもご/イー・エージェンシー(ドラゴンフィールド)

・Haru.fm/アセントネットワークス



▽大手コミュニティサイトによる参入は2009年から。


ブームに最初に乗ったのは、ブログサービスが多かったですが、それでは大手コミュニティサイトはいつ類似サービスをリリースしたのでしょうか。

■図4:大手コミュニティサイトのミニブログ提供開始日

大手コミュニティの提供開始日



※モバゲーの「おたけび」に関しては、正確な情報が公開されていませんでしたので、有名な『らられぽーと』にて、以下のエントリーが上げられた”2009年3月以前”と記載しました。



大手コミュニティサイトによる類似サービスのリリースが遅い理由は色々あると思いますが、個人的には以下のような要因が大きいのではないかと思います。

1. 投稿が分散されるのを防ぐ。

2. サイトの文化が乱されるのを防ぐ。


『2. サイトの文化が乱されるのを防ぐ。』について補足です。


コミュニティサイトの場合、サイトごとに文化があり、ユーザーによる遊ばれ方が違います。また、サイト運営者の中でも、”こういう遊び方をして欲しい”というストーリーがあり、そのストーリーに沿って企画や設計をまとめていきます。

このストーリーが多くなりすぎると、ユーザーはどう遊んで良いか分からず、色々な事は出来るけれども、良く分からない面倒くさいサイト、と認識され、離れていってしまいます。

■2010年9月、ミニブログサービスのその後


▽6サービスが閉鎖、49サービスが運営中!

弊社調べによると、55サービスあったミニブログサービスのうち、6サービスが閉鎖されたものの、49サービスが運営中になっています。



■ミニブログブームを見て思う、ソーシャルメディアサービスを企画する上での3つのポイント


▽まずは一呼吸!


成功しているサービスモデルがあると、ついつい「他社が参入しないうちに早くやらなければ」とすぐに飛びついてしまう方が多いですが、まずは落ち着きましょう。


そして、落ち着いて、この3つのポイントを見ながら、事業モデルを考えましょう。


 


▽3つのポイント

【ポイント1】分かりやすいサービスが、結局多くのユーザーの支持を集める。

「Tumblr」にあって「twitter」に無い機能は、、、というと一杯ありますよね。高機能・凄い技術を使ったサイトも良いですが、一般大衆が選ぶのは、”分かりやすい”サービスです。

【ポイント2】投稿系の新機能を追加する場合は、投稿が分散されないか?サイトの文化が乱されないか?を良く考える。

livedoorのnowaを閉鎖する時も、ブログサービスをlivedoor Blogに一本化するため、と同社広報の方が言ってました。





【ポイント3】成功の定義は様々。他社と自社を同じ土俵で比較しない。

既に皆さんの会社にある資産を活用し、今の事業を伸ばすサービスを考えましょう。また、今ある資産を活用し、新しい事業を作りましょう。成功の定義は様々です。twitterがMAU1,000万人を超えようが、今の皆さんの事業を伸ばせるのであれば、ミニブログサービスをやりましょう

例えば、ハンゲームのなかの人が、「ミニブログサービスは既に一杯あるから、ハンゲームの中にミニブログ機能を実装するのは止めよう」と考えるのはナンセンスです。重要なのは、twitterとか他のサービスに勝つ事ではなく、今いるユーザーが喜んで使うか?とか、事業的に理にかなっているか?とかです。

但し、ユーザーの事を考え、既にスタンダードになっているサービスがあるのであれば、連携したほうが得策な場合もあるので、良く考える必要があります。


■予告(そろそろ書きたい記事)


せっかくミニブログサービスをまとめたので、そろそろ以下のような事をまとめたいなと思ってます。



  • twitterの競争戦略から読み解く、ソーシャルメディア界で生き残る秘訣



この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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