大公開!外資系生保アフラックがFacebookを活用する3つの理由:ファンとの関係構築の先に見ているものとは?
2012/01/18
Facebookを活用して「顧客との関係づくり」を行う3つの理由
「Facebookは何の役に立つのか?」
この質問は、皆さんも社内やクライアントから、常に問われ続けている事かと思います。
「顧客の囲い込み」なのか。「ブランディング」なのか。そしてそれは本業にどういった効果をもたらしてくれるのか。
アフラックさんでは、その答えを持っています。
「Facebookがブームだから」という理由ではなく、保険業界が抱える課題、自社が取るべきコミュニケーション戦略を練った上で、2011年8月からFacebookページに力を入れ始めました。
今回はインタビューという形で、そんなアフラックさんがFacebookを活用する3つの理由や、Facebookを通じたファンとの関係構築の先に描いている具体的なイメージや目標などをお伺いして来ました。
皆さんの参考にもなればと思います!
目次
1.アフラックの課題と、Facebookに期待すること
2.目標は「あの会社はいいね」という声を増やすこと
3.関係の深さ別「ターゲット設定」と「コミュニケー
ションポイント」
4.3つのコミュニケーション方針と具体的な施策
5.アソシエイツ(販売代理店)との連携
6.来年度以降のFacebookページ戦略
お話を伺った方
アメリカンファミリー生命保険会社
マーケティング企画部 マーケティング統括課長 石原雅佳 さん
マーケティング企画部 マーケティング統括課 副長 假谷洋平 さん
マーケティング企画部 マーケティング統括課 主任 松崎光雄 さん
広報部 社会公共活動推進課 主任 西岡由美子 さん
広報部 広報課 副主任 石井温子 さん
広報部 広報課 副主任 堀金ももこ さん
1.アフラックの課題と、Facebookに期待すること
マーケティング統括課長 石原さん(右)、
副長 假谷さん(中央)、主任 松崎さん(左)
GaiaXソーシャルメディア ラボ(以下、ガイアックス)井出 :
まずはじめに、アフラックさんがFacebookページを利用し始めた背景を教えて下さい。
アメリカンファミリー生命保険会社(以下、アフラック)様 :
アフラックでは、『個々の生活者と良い関係づくりをし、一番信頼感・安心感があり、一番選択される保険会社になる』ために、Facebookページを活用し始めました。
生活者がアフラックを身近に感じてくれるように
生命保険に加入する方は、色々な会社の商品を比較検討します。
ただ生命保険の商品内容を正確に理解することが非常に難しいため、生活者の方はご自分だけでは十分に検討しきれません。そんな時に、会社と生活者の距離感が縮まっている事が重要になります。
商品について迷った時に選んでいただけるように。
どの会社の生命保険を利用するか?
迷った時にこそ、「生活者-会社」間で距離感が縮まっていれば「身近に感じられるアフラックを選んでいただける」ようになります。アフラックの商品の良さをきちんとご説明し、理解して頂ける機会が作れるのです。
ですので、加入検討をする前に、個々の生活者の生活に入り込んでおく必要があります。
また、事前にコミュニケーションを取っておく事により、マインドシェアが上がり第一想起率の向上にもつながります。
加入率の向上は後から付いてくる
ただ、「生活者の身近な存在になる事によって加入率を上げる」という事はあまり意識していません。
そういう打算的な事を考えていると、ファンの方から見て違和感のあるコミュニケーションになってしまうと思います。
真摯な姿勢でのコミュニケーション、役に立つ情報の発信などを真剣に行っていれば、加入率・売上などは結果としてついてくるものだと信じています。
いかに「良い関係」を作るかが最も重要です。
生命保険は検討頻度が低い
生命保険は、自動車保険など他の商品よりも検討頻度が非常に低いです。
一般的に10年に1回、2回と言われています。
検討頻度が低いからこそ、生活者の生活の一部になりたいと思っています。ずっと寄り添っていき、いつか生命保険を検討する時に、最初に思い浮かぶブランドになれることを目指しています。
会員化も一つの目的
他の業種であれば、生活者との接点が常にあるので、会員化が進んでいます。
例えば、コンビニ・食品飲料などの会社です。会員化が出来れば、それを利用して消費者のセグメント分けやニーズに合わせた情報発信を定期的に行えます。
生命保険の場合は会員化が難しく、一時的な施策として広告をやるしかありませんでした。
Facebookを活用すると、こういった課題が解決できるのでは?と考えたのも、Facebookページを活用し始めた目的の1つでした。
2.目標は「あの会社はいいね」という声を増やすこと
ガイアックス 井出 :
目標としてはどのような指標を追っているのでしょうか?
アフラック様 :
Facebook単体の目標としては「ファン数」を、マーケティング全体としては「信頼・安心」「好感度」「身近に感じる」といった指標をスコア化して、目標として追っています。
「あの会社はいいね」という声を「ファン数」で測る
ファン数の目標は2012年までに3万人としています。
11月の前半時点でのファン数が962人で、(取材時に)約4,000人と、3週間ちょっとで3,000人増加しています。
後述するように、ちょうど11月にFacebook内でオリジナルの「アフラックダックの育成ゲーム」を始めたので、その効果が大きかったと思います。
ファン数以外の3つのマーケティング指標
ファン数以外には、
・企業イメージの「信頼・安心」スコア
・企業イメージの「好感度」スコア
・企業イメージの「身近に感じる」スコア
の3つを目標として追っています。
Facebookの機能では計測できないので、現在は外部のリサーチ会社を利用し、定点調査を行っています。
今後はガイアックスさんが提供しているファン解析ツール(*1)も利用していけるのではと思っています。
*1:ファン解析ツール(Fantastics)はガイアックスで提供している「本当のファンを可視化する」Facebook用ロイヤリティ解析ツールです。
「顧客との関係づくり」が重要な3つの理由
アフラックでは、『保険契約者の不満足点と今後に向けての示唆』というレポートを作っています。
そのレポートの結果をまとめたのが以下の3点です。
このように「顧客との関係づくり」がマーケティング上、非常に重要になっています。
ですが、アフラックでは、代理店制度をとっているため、保険会社と生活者とのコミュニケーションが、TVCM・メール・DMなどになりがちです。これら既存のコミュニケーション手段では、顧客との接点が不十分なため、Facebookを利用して補おうとしています。
「積極的な働きかけをするために利用するツール」
「消費者からの不満のフィードバックを貰うために利用するツール」
として、常に消費者とコミュニケーションを取れるようにしていきたいです。
3.関係の深さ別「ターゲット設定」と「コミュニケーションポイント」
ガイアックス 井出 :
アフラック様 :
アフラックとの関係の深さ別で3つのターゲット設定をしています。
中長期的な関係づくりを視野に入れて、それぞれのコミュニケーションのポイントを考えています。
3つのターゲット設定
ターゲットは以下の3パターンです。
1.保険未契約者様
2.アフラック以外の保険既契約者様
3.アフラックの保険既契約者様
この3パターンの生活者に対してコミュニケーションのポイントを設定していますが、その実現のためにFacebookを活用しています。
例えば、「透明性の理解」をして貰う
「1.保険未契約者様」の中には、生命保険が分かりにくいという理由で敬遠してしまう方々がいます。
例えば、そのような方々に保険を身近に感じてもらう事で、生命保険やアフラックに対しての透明性を感じてもらい、保険の必要性を理解してもらいたいと思っています。
その身近に感じてもらうためのコミュニケーションツールがFacebookです。
例えば、「既契約者の満足度」を知って貰う
「2.アフラック以外の保険既契約者様」の中には、現在加入の保険契約に満足していない方もいるかもしれません。
そのような方々に、既にアフラックに加入している契約者の意見・満足度を知ってもらう事により「アフラックは良い会社」と思ってもらえると考えています。
Facebookはファンの顔が見える実名制なので、他の契約者の方の満足度が伝わりやすいのではと思っています。
4.3つのコミュニケーション方針と具体的な施策
広報部 堀金さん(左)、石井さん(中央)、西岡さん(右)
(同社ではマーケティング企画部と広報部が連携して、
質の高いコンテンツの発信を目指している)
ガイアックス 井出 :
今お伺いした「顧客との関係づくり」のために、Facebook内で行っている取り組み、その方針について教えて下さい。
アフラック様 :
アフラックでは、生活者へのコミュニケーション方針をいくつか決め、それに基づきFacebookを活用した様々な取り組みにチャレンジしています。
方針の1つ目は「生きるを創る」
アフラックでは「安心」「信頼」はもとより、「生きるを創る」に込められた当社の思いを感じてもらえるような取り組みをして頂きたいと考えています。
「ドキドキ」「ワクワク」「カンドウ」などの、生きる喜びを感じる「感情」を大切に扱います。
「生きるを創る」を体感できる具体策としての「育成ゲーム」
「生きるを創る」を体感できる具体策の1つは「育成ゲーム」です。
このゲームでは「アフラックダック」にニックネームをつけて、ペットのように育てる事ができます。
ペットの育成を通じて、達成感やドキドキ・ワクワクなどの感情を伝えています。
方針の2つ目は「飽きさせない仕掛け」
生命保険は身近な存在ではないからこそ、飽きさせない仕掛け・仕組み作りが必要です。
例えば、先ほどの育成ゲームや懸賞を行ったり、ウォールで様々な切り口の情報発信を行っています。
「育成ゲーム」には「隠れキャラ」がいます。
かなりレアなキャラで、私もなかなか出せないのですが、それが出た時の達成感も「飽きない仕掛け」につながっています。
「飽きさせない仕掛け」としての懸賞キャンペーン
12月6日(火)~19日(月)の間で「歌うクリスマスダックを当てよう!」というキャンペーンをFacebookページ上で行いました。
ウォールでのコミュニケーションだけではなく、時々このようなキャンペーンなどのイベントを持たせることで、飽きずに長くコミュニケーションを取ってもらえるようになります。
懸賞キャンペーン実施後、3日間で1,200名ほどファンが増えています。
飽きさせないだけではなく、ファン獲得にもつなげられた良い取り組みだったと思います。
方針の3つ目は「専門性」の高さ
「信頼」を獲得するためには、手を抜かない、妥協しない姿勢を見せる事が大切です。
そのためにFacebookページでは、生活者の生活周辺情報として「マネー」「健康」に関する専門性の高い情報を発信しています。
「ファイナンシャルプランナー」のコラムで専門性を
「マネー」に関する専門情報としてファイナンシャルプランナー和泉昭子さんによるコラムを、週に1回発信しています。
<実際にFacebookで発信しているコラムはこちらをご覧ください。>
このような専門性の高いコンテンツについては、マーケティング企画部と広報部が連携することで、質の高いものをコンスタントに発信できています。
5.アソシエイツ(販売代理店)との連携
ガイアックス 井出 :
Facebookは、生活者との直接のコミュニケーションツールとして利用するとの事でしたが、直接生活者と接する代理店の方とも連携は必要になると思います。
アフラックさんでは、代理店とどのように連携されているのでしょうか?
アフラック様 :
アフラックでは代理店をアソシエイツと呼んでいますが、Facebookの公式ページ開設チラシの配布や勉強会などを通して、アソシエイツの方々にもFacebookの利用方法、Facebookでの取り組みを紹介しています。
約2万店のアソシエイツにチラシを配布
全国に約2万店のアソシエイツがいます。
各アソシエイツにチラシを配布してFacebookの利用方法や、Facebookでの取り組みを紹介しています。
もちろん生活者の中には、Facebookを知らない方もいます。アソシエイツから生活者にチラシを配布してもらい、直接アソシエイツが生活者にFacebookを説明してもらえるように「facebookって、なに?」などの初心者向けのコンテンツも掲載しています。
※アフラックさんが使用しているチラシのデータを以下にてご紹介します。(ガイアックス)
▼ビラ(表)
▼ビラ(裏)
6.来年度以降のFacebookページ戦略
ガイアックス 井出 :
最後に、来年以降、Facebookページでどういった取り組みを考えているのか教えて下さい。
アフラック様 :
来年も引き続き「生活者との関係構築」を深めるために突き進んでいきます。
- いつでも「日々、つきあいのあるパートナー」に。
- どこでも「呼べば答えてくれるくらいの近い存在」に。
- だれよりも「健康のこと、家族のこと、お金のことを気にかけ、相談に乗ってくれる存在」に。
生活者にとって、このような存在になれるように会社全体で努力していきます。中でも、「既存のお客様をさらに意識する」「がん患者と向き合う」ことに、特に力を入れていきます。
もっと既存のお客様を意識する年に
「アフラックに入って良かった」というお客様の意見が聞けるように、ファンサイトを構築していきたいと思っています。ファンサイトでは、Facebookのアカウントを利用し、ご自分の保障内容を確認できるような仕組みを作っていく予定です。
がん患者と向き合う年に
アフラックはがん保険のリーディングカンパニーとして、がんと向き合う方たちの声を30年間以上、聞き続けています。
>今後は、もっとがんと向き合う方たちの声を聴くお手伝いや情報発信をしたり、がん罹患者同士の交流の場を作る事も考えています。
これからのアフラックの、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアの活用にもご注目下さい。
以上、『大公開!外資系生保アフラックがFacebookを活用する3つの理由:ファンとの関係構築の先に見ているものとは?』でした。
今回の記事はいかがでしたか?
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部