【Facebook】送金、プラットフォーム…今『メッセンジャー』を強化してきたFacebookの狙いとは?
2015/04/09
先月末のf8では新たな発表が沢山されましたが、中でも今回注目を浴びているのはFacebookメッセンジャーに関する2つの新機能です。
1つ目は、アプリ開発者向けにFacebookのメッセンジャーを開放する『Messenger Platform(メッセンジャープラットフォーム)』。
2つ目は、Facebookメッセンジャーを企業とユーザー間のコミュニケーションツールとして活用できる『Business on Messenger(ビジネスオンメッセンジャー)』。
この2つは、そもそもどういう仕組みで、具体的に誰にメリットがあるのでしょうか?先月発表されたメッセージを使った送金機能についても交えながら、今メッセンジャーに力を入れてきたFacebookの狙いを読み解いていきます。奇しくもここ最近のLINEの展開と似ていることにも注目です。
- ■目次
f8で発表された『メッセンジャー』に関する2つの発表。
1.『メッセンジャープラットフォーム』とは?
2.『Business on Messenger』とは?
3.アメリカではメッセージを使った送金も開始
1.『メッセンジャープラットフォーム』とは?
一つ目の大きな発表として注目されている、『メッセンジャープラットフォーム』。
簡単に言うと、「Facebookのメッセンジャーで使えるアプリを誰もが開発できるように、メッセンジャーを開放する」という内容です。ここで言う「メッセンジャーで使えるアプリ」とは、例えばメッセンジャー上で簡単にgifが作れるアプリであったり、動画が編集できるアプリ、音声メッセージが送れるアプリなどです。
メッセンジャー上でこれらのアプリを使った際には、直接アプリのインストールボタンも一緒に表示されます。
f8でも、Facebookの製品管理担当のLexy Franklin氏は、Facebookメッセンジャーのミッションは「ユーザーにとって最も素晴らしいコミュニケーションの場を提供する」ことだと語っており、これらの機能はこのコミュニケーションを一層豊かで楽しいものにすることになります。
開発者にとってはこの上ないマーケット
この開放により最も多くの恩恵を受けるのは、アプリの開発者です。
この手のコミュニケーションアプリは世の中に沢山出ていますが、そのどれもが多くのユーザーを獲得できず、数多のアプリの中に埋もれてしまっているのが現状です。
そんな中で、Facebookメッセンジャーには既に多くの利用者が居るので、各々が開発したクリエイティブなコミュニケーション機能を多くの人に使ってもらえるという大きなメリットがあります。当然、そのアプリをインストールする際の売り上げも期待できますね。
イメージは「LINEクリエイターズスタンプ」
個人的にですが、この「メッセンジャープラットフォーム」のイメージはLINEクリエイターズスタンプに近い気がしています。
あくまでもプラットフォーム側は『場』を提供するだけで、あとはユーザーがどんどん面白いものを生み出して、そしてまた別のユーザーに使ってもらう、という流れになっています。
この「ユーザーが作ったものをユーザーが使う場を提供する」という、「企業×ユーザー」や「プラットフォーム×ユーザー」ではない、「ユーザー×ユーザー」の横の繋がりを提供するという意味で、この2つのプラットフォームの展開は似ています。
SNS全体でも、今企業とユーザー間だけで盛り上がるのではなく、いかにユーザー同士で盛り上がってもらえるコンテンツを提供するかが重要になっているので、このFacebookとLINEの展開には大きな意味があるように感じています。
2.『Business on Messenger』とは?
もう一つ発表されたのは、Business on Messengerと呼ばれるシステム。
端的に言うと、Facebookメッセンジャーをメール代わりに使うことが可能になるシステムで、企業×ユーザーのコミュニケーションがFacebookメッセンジャーでできるようになります。
最も恩恵を受けるのはEC
詳細はまだ明らかにされていませんが、f8でRob Daniel氏が話した具体例では、通販サイトに「Facebookメッセンジャーで連絡を取る」というオプションがあり、それを選択してFacebook連携させると、以降注文や配送に関する連絡がFacebookのメッセンジャーでやりとりできる、という仕組みになるようです。
更にその先、例えば商品到着後にまた同じ商品が欲しくなった際には、ユーザーはメッセンジャーを通して企業に連絡をすることができ、企業もその応対をメッセンジャーですることになります。
こちらの例のように、この機能により最大の恩恵を受けるのはECの分野になります。オンラインで商品を販売する際にこのオプションを導入しておくと、かなり距離の近いコミュニケーションが可能になりそうです。
イメージはLINE@の「1on1トーク」
自動メッセージがFacebookメッセンジャー経由で送信されるワケではなく、完全にメール感覚でメッセンジャーを使って企業とユーザーの「1対1」のトークが可能になるので、このシステムはLINE@の1on1トークと近いものがあります。
違いは、LINE@ではオンライン商品を取り扱っていなくても、例えば美容室やレストランのアカウントを開設して、ユーザーとのトークをすることが可能であるという点です。
反面、FacebookのBusiness on Messengerはあくまでも外部のサイトとFacebookメッセンジャーを連動させるシステムなので、おそらくFacebookページを運用しているだけではこの1対1のトーク機能は使えないと思われます。
3.アメリカではメッセージを使った送金も開始
また、Facebookは米国時間の3月17日に、メッセージを使った送金サービスを開始することも発表しました。
今月から米国のユーザー向けに開始される機能ですが、メッセージ画面で『$』ボタンを選択し、送りたい金額を入力しデビットカード情報を入力することで、相手に送金することができます。手数料は無料です。
日本のユーザーにいつ導入されるかは不明ですが、注目の機能になりそうです。
送金といえばLINE Pay
メッセージを使った送金といえば、昨年末LINEがLINE Payをリリースしましたね。「送金」というジャンルに関しても、この2つのプラットフォームは似た展開を見せていることになります。
Facebookは「購入ボタン」の導入が噂されていますが、それよりも先に送金機能をリリースしてきたことになりますね。
コミュニケーションに力を入れてきたFacebook
それぞれのSNSの動きが気になる昨今ですが、Facebookはここへきてメッセンジャーに力を入れ、コミュニケーション・送金を大幅に強化してきました。
これらの機能により、Facebook上でのECが発展するのは間違いなさそうです。本格的に、Facebook上でECが完結するようになっていくのではないでしょうか。
ユーザー向けにマーケットを開放・1対1のコミュニケーション・送金と、ここ最近のLINEと似た動きを見せてきたFacebook。日本ではコミュニケーションツールとしてはLINEが一歩リードしているように感じますが、ECサイトとの連携という意味ではまだLINEはそこまで進んでいないので、Facebookにもチャンスはあります。今後の動きにも注目ですね。
以上、『【Facebook】送金、プラットフォーム…今『メッセンジャー』を強化してきたFacebookの狙いとは?』でした。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部