【取材記事】3か月でファン数10,000人!高知県の海外向けFacebookページから学ぶSNSインバウンド戦略とその思いとは?
2016/01/25
「爆買い」が2015年の流行語に選ばれたように、外国人観光客の呼び込みは日本の観光産業の大きなテーマの一つとなっています。そうした中、Webメディアをどのように活用してインバウンド施策を講じるのか関心が高まっています。
そんな中、開設からわずか3か月でファン数10,000人突破を果たし、注目を集めているのが高知県海外向けFacebookページ「Visit Kochi Japan」です。今回はそのFacebookページを運営する高知県観光コンベンション協会様に取材させていただきました!
- ■目次
- Facebookページ開設のきっかけや狙い
- 外国人の方へ向けたコンテンツの工夫
- 今後の取り組み
- まとめ
1.Facebookページ開設のきっかけや狙い
オウンドメディアとSNSの使い分けが明確である
編集部(以下、編):2015年9月7日からスタートされたVisit Kochi Japanですが、当初どういう狙いがあって、運用に乗り出したのでしょうか?
高知県観光コンベンション協会様(以下、高):海外での高知県の認知度を上げるため、2015年9月7日に5言語圏(英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語)の趣味・嗜好に合わせて外国人旅行者向けに高知県観光情報サイト「VISIT KOCHI JAPAN」(http://visitkochijapan.com) を開設しました。
Webサイトでは、県内の代表的な観光資源を網羅的に掲載し、イベント等の最新情報を頻繁に更新するのではなく、観光資源の基本情報を定期的に追加することにしました。
Facebookページは、Webサイトでは伝えきれない情報をタイムリーに発信し、Webサイトへも誘導していく、お互いに補完し合うために運用しはじめました。
参考
VISIT KOCHI JAPAN:http://visitkochijapan.com/
編:なるほど。Facebookページは、Webサイトとのお互いの短所を埋め合うためやサイトへの流入を期待して開設されたんですね。
高:はい。Webサイトでは観光資源を掲載する一方、Facebookページでは高知県の旬な情報をタイムリーに発信していきたいと考えました。
Facebookは、SNSのなかでもユーザー数が他と比べて多いので、多くの方に情報発信できると考え選び、まず、英語で運用を始めました。
【ポイント】
- ・WebサイトとFacebookで、明確な役割分担を行っていた!
・タイムリーな情報の発信ツールとして、Facebookを選んだ!
Facebookページの立ち上げに際して、オウンドメディアとのコンテンツの違いや運用目的を明確に区別して運用していたのがポイントです。それぞれのSNSのユーザー層やリアルタイム性などを考慮して、プロモーション施策に合った選択をすることが重要です。
2.外国人の方へ向けたコンテンツの工夫
関係各所を巻き込んで用意した、こだわりタップリのコンテンツ
編:いいね!やコメント、シェアたくさん集めていますね。コンテンツ作りには、どういった工夫がありましたか?
高:開設当初から外国人目線の情報発信にこだわり県内在住の英語ネイティブの方に記事や写真を依頼し、高知県の魅力が見て伝わるような掲載をしてきました。
また毎月、投稿へのアクセス内容の分析も行いながら、次の投稿記事の検討を行っています。
2つの画像を1枚の白枠に囲み加工することで、スッキリ収まった印象を与えています
フルーツピッキングは、英語圏に人気が高い
人が写っていることで、実際に町巡りしているような気分が味わえる
編:投稿へのアクセス分析に基づいた内容に加えて、キレイで魅力が伝わりやすい画像をとても周到に準備をされていたのですね! 何か参考にされたページはありましたか?
高:はい。近隣県とは違ったものを作りたいという気持ちもありましたが、世界遺産がある地やインバウンドの取組先進地を参考にしました。
Visit HIROSHIMA
編:それでは運用を始めて、反応はどうでしたか?
高:開始1か月でファン数4,400人、開始3か月でファン数1万人を達成しました。また、東南アジアや欧米圏に出稿したFacebook広告も成果がありました。
【ポイント】
- ・協会が主導となって、相手の欲しい情報が投稿できていた!投稿へのアクセス分析ができていた。
特にインバウンド施策でFacebookページを運用する場合、各国の方が日本のどのようなところに魅力を感じているのかリサーチする必要があります。そして、それに対応するように言葉や内容、写真を選ぶことが非常に重要になります。また、Facebookページの場合はクオリティの高い投稿を投稿型の広告としても活用できるので、各投稿しっかり取り組みたいところですね。
3.今後の取り組み
更なる成長に向けて、明らかになった課題と新しい施策とは
編:今までのFacebookページ運用を振り返って、感想を教えてください。
高:外国人目線での情報発信に注力していますが、高知県がおすすめするものと、外国人の方が好むものとに時々ギャップを感じることがあります。これからも色々なテーマ別に投稿してみて、感触を確認していきたいと思っています。
編:そうなんですか。投稿へのアクセス分析はこれからも研究が必要ですね。挑戦はこれからも続くと思いますが、県民の方々からの反応はどうでしょうか。
高:県民の方々からは、海外向け専用のネイティブな情報発信ツールができ、ますます外国人の方に高知県の良さを知ってもらえるし、「是非紹介したい」という応援の声を多く頂いています。
編:高知県の良さを発信できる身近なプラットフォームとして、ぜひ成長を続けて欲しいですね!それでは最後に、外国人観光客増加を目指すために、今後何をやっていきたいですか?
高:今後は、英語のFacebookページだけでなく、新たな言語での情報発信も検討しています。また、本日(2016年1月25日)にWebサイトも新規コンテンツを追加して、さらに魅力アップします。これからも外国人観光客の方に向け、高知の魅力をさらに伝えていきたいと思います。
【ポイント】
- ・県が伝えたいものと、外国人観光客の好むものにギャップを感じることがあった!
・県民からは海外向け専用のネイティブな情報発信ツールとして、支持されていた!
・今後は、新たな言語で言語圏別効果的にプロモーションを行っていく!
ページの運用に手一杯になるのではなく、「何を良くしていけばいいのか」という点にも目が向いていて、今後も効果的な施策が期待できます。特に海外向けのSNS運用には絶対的な正解を見つけることが難しく、トライ&エラーを繰り返しながら、ノウハウをためて成果をあげることが一番の近道といえます。
4.まとめ
高知県のようにSNSを外国人観光客のプロモーションに使う地方自治体や組織が近年増えています。下記の自治体も、Facebookページを運用しています。
旅行系ページの中でもファン数の多さが際立つ Visit Kyoto
タイ語での展開に注力している Visit Okinawa(th)
今後インバウンド施策を行う自治体は、既存のSNS運用例を参考にしながら、独自コンテンツや施策を打って、ページ全体のオリジナリティを高めていけたらいいですね。来る2020年の東京オリンピックに向けて、是非SNS運用にトライしてみるのはいかがでしょうか。
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