【保存版】グルーポン系サイト、飲食店が掲載する7つの理由-店舗集客・リピート獲得等-
2010/09/21
■グルーポン系サイト、なぜ飲食店は赤字でも掲載するのか?
グルーポン系サイトは、今や“ぐるなび”・“リクルート”・“食べログ”のレストラン検索大手3社も参入する、話題のサービスです。
先日もこちらのエントリーを書いて、改めて世間からの注目度の高さを実感しました。
ただ、ここまで話題になっているにも関わらず、未だに、
「なぜ、飲食店側は赤字になってまで掲載するのか?」
という疑問に対して答える情報が少なく思います。
そのため、飲食店事業者も、掲載になかなか踏み切れず、グルーポン系サービスの方も営業に四苦八苦されていたりもします。
そこで、(私が色々なサイトを見た限りでは)日本で一番詳しい、
『飲食店側がグルーポン系サービスに掲載する理由』
についてのまとめエントリーを書きました。
先日の、「通りすがりのもの」さんの
『レストランは、投資を回収できるのか?』
という質問に対しての回答にもなるかと思います。
本エントリーでは、
- グルーポン系サイトを利用するか迷っているレストラン、店舗事業者の方
- グルーポン系サイトのなかの人で、店舗営業に苦労されている方
- とにかくグルーポン系サイト周りの情報に興味がある方
のために、
- グルーポン系のサービス特徴のおさらい
- 飲食店側がグルーポンサイトに掲載する理由
といった内容をまとめました。
少し長くなってしまいますが、ぜひご覧頂ければと思います。
■まずは、グルーポン系のサービス特徴のおさらい
ギャザリングと何が違うの?
一般的にグルーポン系サービスの認知度が高くなりましたが、正確にその特徴を整理出来ている方は少ないのではないでしょうか。
▼グルーポン系サービスの特徴
- 特徴その1.時間限定
- 特徴その2.最低購入数
- 特徴その3.数量限定
- 特徴その4.1日1クーポン
- 特徴その5.全てが破格の割引率
- 特徴その6.リアル店舗のクーポン
以下にて、もう少し詳しくご説明します。
特徴その1.時間限定
1日~数日といった感じで、購入出来る時間に制限があります。
特徴その2.最低購入数
一定数以上(300枚以上など)の購入者数が集まらないと、取引が成立しないようになっています。
(レストラン側は、多くの購入者を囲いに行けるスケールメリットを感じ、圧倒的な割引率に応じると言われています。)
特徴その3.数量限定
一定数以上の購入者を集めるとは言え、あまり多くなりすぎると、お店側のキャパを超えてしまいます。そのため、「最低購入数100枚、但し、最高でも300枚限定」といった謳い方をします。
↑ここまでは、ギャザリングと一緒です。
特徴その4.1日1クーポン
サイトによっては、1日1エリア1クーポン、というのもありますが、一つ一つのクーポンに対して注目を集め、”圧倒的な集客力”を担保するために、基本的には1日1クーポンにしています。
(複数のクーポンを1日で出せばサイト側も儲かるのでは?と良く思われますが、そうすると、「取引の不成立」「1取引当たりの購入者数の減少」につながり、逆に旨みがありません。飲食店側に営業するのも結構大変なので、総合的に考えて1日1クーポンにしていると思われます。)
↑ここまでは、「ギリギリマーケット」など、グルーポンライクなギャザリングサイトと一緒です。
特徴その5.全てが破格の割引率
圧倒的な集客力を店舗側に提供する代わりに、50%~80%の割引率にするケースが多いです。
(ギャザリングでも、70%OFFの商品などもありますが、それは全体の中の一部の商品だけだと思います。)
■余談 :ギャザリングとグルーポン系の金額設定の違い ギャザリングの場合、”購入者数が●人になったら▲▲万円”という値引きを段階的に設定しています。
一方、グルーポン系サイトの場合は、きっぱり、”購入者が●人以上になったあら、全員▲▲万円”としています。
特徴その6.リアル店舗のクーポン
これもグルーポン系の特徴で、元々は、この”リアルとwebの融合“が注目されて、Groupon系サイトはニュースになる事が多かったです。
(最近は、参入企業が増えた事や、米Grouponの成長率の話題が多くなってしまいましたが;)
↑こういった6つが、グルーポン系サイトの特徴になります。
■飲食店側がグルーポンサイトに掲載する理由
グルーポンサイトに掲載する理由は、下記の7点です。
▼グルーポンサイトを利用するメリット
- 理由1.”圧倒的な”集客効果
- 理由2.リピート客獲得による売上増加
- 理由3.追加注文による売上増加
- 理由4.機会損失(空席)の解消
- 理由5.認知向上効果
- 理由6.集客見込みの立てやすさ
- 理由7.成果報酬型の掲載モデル
以下にて、それぞれの”詳細”と”効果”について見てみましょう。
理由1.”圧倒的な”集客効果
グルーポン系サイトに掲載すると、例えば一人当たり1,000円の赤字で店舗集客が出来ます。集客人数は300人以上も普通に可能です。
この赤字だけを見ると旨みがないように思えますが、「リピート化」「追加注文」・・・など他の効果も見逃してはいけません。
それは次の見出しで説明しますが、まずここでは、集客一人当たりの収支の計算式をご紹介します。
まず、「レストランAで、1万円分の食事が出来るクーポンを5,000円で販売し、100枚の取引が成立した場合。」の、一人当たりの収支を見ます。
各要素と金額を整理すると以下のようになります。
- 本来の売上 :1万円
- 割引コスト :5,000円 (割引率50%なので、1万円×50%)
- グルーポンサイトへの手数料 :2,500円 (手数料率50%として、5,000円×50%)
- Fコスト :3,500円 (*FOODコストのこと。後述)
- 合計 :-1,000円 (つまり、一人当たり1,000円の赤字)
分かりやすくグラフにすると以下のようになります。
「割引コスト」「グルーポンサイトへの手数料」「Fコスト」は、飲食店によって違いますので、一応汎用的な計算式も以下に記載致します。
一人当たりの収支
=「本来の売上」-「割引コスト」-「グルーポンサイトへの手数料」-「Fコスト」
よく飲食店では“FLコスト”というのが出てくるかと思います。
”FLコスト”とは、
「FLコストのFとは、フード=材料費、Lとは、レイバー=人件費のことです。そして、売上高に占める材料費と人件費の割合がFL比率です。」
(引用:食いしん坊税理士の飲食店経営塾)
上記サイトによると、業種にもよりますが、売上に対してのそれぞれの比率は、以下が相場感のように思われます。
- F(フード)コスト :35%前後
- L(レイバー)コスト :25%前後
L(レイバー)コストはシフトの人数を増やさない限りある程度固定されているので、グルーポン系サイトに掲載するコストとして考えなくても良いのかなと思います。ですので、上記の収支計算では、F(フード)コストだけで見ています。
理由2.リピート客獲得による売上増加
米Grouponの調査によると、同社のクーポン利用後に“再び同じ店を訪れる客は22%”となっています。(引用:ウォール・ストリートジャーナル日本版)
仮に、100人のうち22人が、次回は定価1万円のコストを払ってくれるのであれば、
- 1万円×40%×22人=88,000円
の利益が将来的に上がる事になります。
(この40%は、FLコスト比60%を引いた後の利益率です。)
88,000円の利益を、最初の100人で押し並べて計算すると、一人当たり880円の利益となります。
よって、「メリット1.集客効果」「メリット2.リピート客獲得効果」まで
の収支をまとめると、以下のようになります。
- 「-1,000円」+「880円」=-120円
理由3.追加注文による売上増加
この追加注文の効果も見逃せません。
仮に、2組に1組が1,500円分の追加注文をしたとすると、
100人×50%×1,500円×40%=30,000円
の追加利益が入ります。
30,000円を100人で押し並べて割ると、一人当たり300円の利益となり、「メリット1.集客効果」「メリット2.リピート客獲得効果」「3.追加注文効果」までの収支をまとめると、
- 「-1,000円」+「880円」+「300円」=180円
となります。
あくまで仮の数字(特に、追加注文の数字は個人的な感覚値)ですが、ここまでの数字を見ても、
- 利益を捻出しながら、
- 圧倒的に多くの新規集客が図れ、
- 他にもメリットがあるので、総合的に判断するとやってみたほうが良い。
という事が、ざっくりとでも分かるのではないのかなと思います。
■お願い
「追加注文」はどれくらいの割合で?いくら見込まれるか?を、感覚値でも良いので、ご存じの方がいらっしゃいましたら、教えて頂けませんでしょうか?
その情報次第で、追記・訂正させて頂き、より正確な情報として読者の皆様にお届けしたいと思います。
理由4.機会損失(空席)の解消
飲食店に限らず、どの店舗でも必ず空席があると思います。
L(レイバー)コストは固定でかかるので、どうせ空席にして機会損失を出してしまうのであれば、若干赤字になったとしても、グルーポン系サイトに掲載したほうが良い、と思います。
理由5.認知向上効果
一般的に、接触回数が多いほど認知度が上がると言われています。
(引用:日本ブランド戦略研究所
認知度が高まると、飲食店を探す場合の候補に挙がる可能性が高まり、また、候補の中に同じような飲食店がいくつかあった場合でも、認知度が多いほうが単純に選ばれる可能性も高まります。
グルーポン系サイトへの掲載はどうせ成果報酬ですので、広告を打つよりも賢い宣伝の仕方ではないでしょうか。
理由6.集客見込みの立てやすさ
一般的なクーポンだと、来店確率・来店時期の目途が付けにくい、という懸念があるかと思います。
グルーポン系サイトに掲載した場合は、ほぼ取引が成立しますので、最低件数の目安がつきます。
また、“1日●●組しか使えません”といった制約を付け、期間も限定する事により、ある程度1日の平均来店数の予想がつきやすいのではないでしょうか。
また、米Grouponのスムージーショップの例では、約1,300人がクーポンを買い、半年で900人が来店、つまり、“半年で約70%の来店率”というデータもあるようです。(引用:ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
理由7.成果報酬型の掲載モデル
理由5.でも触れましたが、取引が成立しなければ費用負担をする必要がない成果報酬型、というのも理由の1つです。
という事で、長くなってしまいましたが、以上、
”グルーポン系サイト、飲食店側が掲載する7つの理由”
でした。
■飲食店などの店舗事業者様へ
飲食店などの店舗事業者様、試しに、グルーポン系サイトに問い合わせて、話を聞いてみてはいかがでしょうか?話を聞くだけならタダですよ。(`・ω・´)
米Grouponでは、掲載を希望する企業が多すぎて、既に“平均6ヶ月待ち”という状態になっているようです。(引用:IDEA*IDEA)
日本のグルーポン系サイトがそうなる前に、まずは話だけでも聞いてみましょう。
他店よりも早く効果を見極め、実施可否の判断をすると良いかと思います。
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部