ソーシャルリクルーティングは古くない!今から始める採用のSNS活用
2016/05/10
2014年度の調査結果によると、海外では人事の93%がソーシャルメディアの活用を採用戦略に組み込んでいるのだそう。さらに成功のためにソーシャルリクルーティングに投資を考えている企業は73%に上ると言います。
その背景にある大きな理由のひとつは、エンジニアやITなど高いスキルを持った人材が不足していることが挙げられ、より良い人材を獲得するためには、ソーシャルメディアを通じてブランディングが不可欠となっています。
この傾向はすでに日本でも見られ、今後さらに増していくと考えられます。
そこで今回は、SNSを活用した人材採用戦略であるソーシャルリクルーティングについて、その手法や活用例を詳しくご紹介したいと思います。
- ■目次
- ソーシャルリクルーティングとは?
- なぜソーシャルリクルーティングが必要なのか?
- ソーシャルリクルーティング≠採用活動専用のアカウントを作ること
- Facebook・Twitterを使ったソーシャルリクルーティングの事例
- まとめ
1.ソーシャルリクルーティングとは?
ソーシャルリクルーティングとは、その名の通り“SNSを活用した採用活動”のこと。
日本ではTwitterやFacebookの企業活用が始まった2010年頃から徐々に盛り上がりを見せ、2012〜2013年頃にかけて全盛期を迎えました。
しかし企業によるSNS活用が当たり前に行われるようになった今、ソーシャルリクルーティングと身構えるまでもなく、企業がSNSを通じて発信する情報はすべて採用に影響を与えているという意味において、特に採用活動に限定した目的でSNSを運用していなくとも、SNSを運用している企業はソーシャルリクルーティングを行っていると言うこともできるでしょう。
2.なぜソーシャルリクルーティングが必要なのか?
SNSが普及する以前は、就職活動において応募者が企業調査をする方法は、「コーポレートサイトやプレスリリースのような情報を見る」「採用セミナーに参加する」「その企業で働くOB・OGに会って話を聞く」「インターネットで評判を調べる」しかありませんでした。
最後の「インターネットで評判を調べる」以外は、企業発信の企業がコントロールできるものであると、お気付きになりましたか?つまり、応募者が企業の本性を知る術は、信ぴょう性の定かではないインターネットの情報を手掛かりにする以外になかったのです。
けれどもSNSのコミュニケーションは、一方通行ではなく、双方向。100%コントロールが効くわけではありません。そこには応募を考えている人だけがいるわけでもありませんから、どんなに良い顔をしようとしても、実態と伴っていなければ、すぐに化けの皮を剥がされてしまいます。
ですから、応募者にとって企業のSNSは、投稿内容や質疑応答の姿勢、「いいね!」の数などを見ることで、企業に対する市場(一般消費者)の評価を客観的に見ることができる貴重な場。それを逆手にとってブランディングに活かすことができれば、これほど強い武器はないでしょう。
昔から就職活動は恋愛に例えられますが、好きな人の名前を検索してみたくなる衝動と同様に、気になる企業の名前をFacebookやTwitterで検索してみたくなる気持ちは、想像に難くないのではないでしょうか。
応募者もコーポレートサイトや就職ポータルサイトで見せる作られた一面だけでなく、SNSで見せる多様な顔を通じて、企業のことをより深く知りたいと思っているのです。
HR総研(HRプロ株式会社)が2016年卒業予定の大学生・大学院生に行ったアンケート結果によると、普段の生活でFacebookを利用しているのは文系の75%、理系の69%、Twitterを利用しているのは文系の71%、理系の58%にも上ると言います。
これだけ多くの人が普段からSNSを使っているのですから、より多くの良い人材を集めたいと思うのであれば、痕跡は残っておらずとも知らぬ間にチェックされているという前提で、採りたい人材に響く情報を常日頃から発信しておくに越したことはありません。その上で、ターゲティングに優れたFacebook広告を活用して効果的にアピールできれば、鬼に金棒です。
3.ソーシャルリクルーティング≠採用活動専用のアカウントを作ること
かつてのソーシャルリクルーティングといえば、採用活動専用のアカウントをTwitterやFacebookに投稿し、人事が管理運営を行うというのが定石でした。
中には「以前お試しで1年間、採用活動専用のアカウントを作ってみたけれど、いまいちフォロワーや「いいね!」が増えず、まったく盛り上がらなくて意味が感じられなかった」という方もいらっしゃるのではありませんか?
それは当然のことで、「以前はSNSを使っている人が少なかったために、単純に見つけてもらうのが難しかった」という理由がひとつ。もうひとつは、逆に「今のようにSNSを日常的に使う人が増えれば増えるほど、人事が応募者のSNSをチェックしていることが就活生の間で広まり、無防備に振る舞えなくなっているから」です。
もしかすると業界研究のためにフォローしているのかもしれませんが、真相はどうであれライバル企業に「いいね!」やフォローをしている応募者の行動を知って、快く思う人事はいないでしょう。複数の企業を同時並行で受けるのが当然の新卒ならなおのこと、いろんな企業に良い顔をしているのがバレても、何も良いことはありません。
黙っていても多くの人が応募してくる大企業や人気企業であれば、他の応募者よりも一歩でも内定に近づけるよう、SNSでアピールしようと考える人が出てくるため、この限りではありませんが、それはレアケースと思っておいたほうが無難です。
応募者にとって重要なのは、企業がSNSを通じて採用活動をしているかどうかではなく、応募者にとって有益な情報発信をしているかどうかということ。必ずしも採用活動に限定したアカウントである必要はないのです。
4.Facebook・Twitterを使ったソーシャルリクルーティングの事例
必ずしも採用活動に限定したアカウントである必要はないとはいえ、BtoC企業であれば顧客向けの商品情報とは別に、採用活動専用のアカウントを持ちたいというケースもあるはずです。このような場合、向いているのはFacebook。長文で多くの情報を伝えられるので、応募者へ伝えたいメッセージを余すことなく表現することができます。
■ニトリ
ニトリの新卒採用ページでは、「キャリアを考える」というテーマで先輩社員のキャリアの変遷を紹介したり、採用担当者の人となりがわかる自己紹介を投稿したりと、かなり積極的に情報発信が行われています。ページ自体の「いいね!」数も10,000を超えており、“何を発信していいかわからない”という方にとって参考になるページになっています。
■ライオン
ライオンでは応募者へ向けたメッセージ入りの写真とともに、Facebook限定の先輩社員インタビューが投稿されています。このような一問一答形式のフォーマットを作っておけば、社内のいろんな部署の人に協力を仰ぎやすいですよね。採用セミナーでも「Facebookだけで社員インタビューを公開しています」と伝えれば、チェックしてもらうきっかけになるのではないでしょうか。
一方、Twitterでは、このような企業アカウントはあまり向いているとは言えません。なぜなら、フォローしている数が多いので、タイムラインの流れるスピードが速く、他の情報とごちゃ混ぜになってしまうから。長文を読んでもらうこともできませんので、せいぜい採用イベントの告知をしてWebサイトへ誘導するのが関の山です。
唯一、応募者へのリーチを増やすために有効だと思われる手段は、社内にいる発信が上手な人が個人として運用するパターン。このようにプロフィールに企業名と採用活動をしている旨を記載しておき、あとは企業に属する一個人として普通に発信を続けるだけです。
この形式の場合、人事ではなく広報担当者が会社のことを発信する一環で、たまに採用情報を織り交ぜるのも効果的。Facebookのように企業アカウントとしてではなく、あくまでも企業の看板を背負った個人として発信しているところがポイントです。
5.まとめ
いかがでしたか?
そもそもフォロワーや「いいね!」している人が少ない中で、ただ採用情報を告知し続けても、何の意味もありません。ソーシャルリクルーティングの第一歩は、応募者のニーズに寄り添った情報発信を始めること。採用者の立場から一度離れ、自分がもう一度今の企業を受けるとしたら、どんな情報があると嬉しいか考えてみてはいかがでしょうか。