WAVEST代表松村氏が語る、急成長するSnapchatの威力

2016/06/20

松村氏3


最近国内で徐々に若者のユーザーを伸ばしているSnapchat 。その背景には変化し続けるSNS市場と多様化する若年層の存在がありました。今回は、若者に焦点を当てたSNSマーケティングを行う株式会社WAVESTさんに、新たにローンチされた「Snapchatters JAPAN」について詳しく伺いました。


Text / ソーシャルメディアラボ編集者 成田 颯馬


    目次


  1. プロフィール

  2. 「Snapchatters JAPAN」とは

  3. ここ数年の若年層の動向

  4. Snapchatは何がすごいか、他SNSとの違いや特徴

  5. Snapchatがどう消費され普及していくか

  6. 今後の展望


プロフィール


松村 淳平 氏:株式会社WAVEST代表取締役社長


株式会社WAVEST_松村氏


「Snapchatters JAPAN」とは


SCJ

Snapchatters JAPAN公式サイト:https://snapchatter.jp/


成田:今回設立された「Snapchatters JAPAN」は国内初のSnapchatユーザー同士のネットワークということですが、御社としてはどのようなことをやられるつもりでしょうか。


松村氏:やっていきたいことは大きく6個あります。

1.ユーザー同士のコミュニティ形成

2.プロダクション事業

3.企業とユーザーを繋ぐプラットホーム開発

4.Snapchat の活用方法セミナー

5.ジオフィルター(※)の製作代行

6.インバウンド事業


多角的にSnapchat市場の開拓を目指す「Snapchatters JAPAN」


成田:コミュニティ形成はサイト上で行うのでしょうか。


松村氏:もちろんオンラインでも行いますし、さらにはSnapchat好きの人達を集めてオフラインでのミートアップイベントも開きたいです。Snapchatが好きな人達は自分1人で使うだけでなく、同じ趣味を共有することにも喜びを感じると思います。


成田:プロダクション事業について詳しく教えて下さい。


松村氏:イベントを実施する中で人材を発掘し、プロダクション事業につなげたいです。「Snapchatters JAPAN」に所属している方のマネジメントや育成、制作のサポートをやっていくつもりです。


成田:そのように育成された人材を企業と結び付けるというブローカーの役割も担うのですね。


松村氏:企業が「Snapchatters JAPAN」に仕事を依頼するためのプラットホームの開発をしていきます。依頼フローを自動化して、効果測定もできるようにするつもりです。


成田:さらにはセミナーの開催やジオフィルター(※)の制作、インバウンド事業もやられるのですね。


松村氏:セミナーではSNS担当者やマーケターなどをお呼びしてSnapchatの活用方法をお伝えしたいです。制作の面では、ジオフィルターに代表されるように、オリンピックに向けて日本に来る外国人向けに、大きく訴求できる商品を作っていきたいですね。


※ジオフィルター:世界中の各地域限定の加工フィルター。自分の位置情報を楽しく友人に共有することができる。


松村氏2


「Snapchatters JAPAN」設立背景


成田:「Snapchatters JAPAN」の設立背景を教えてください。


松村氏:ぼく自身SNSを日常的に使っていて、昨年の秋ごろから「Snapchatきてるな」と感じ始めていました。そして、1年前Instagramがちょうど同じような状況だったので、「Snapchatも同様に流行るのではないか」と思いました。


成田:Instagramの場合はすでに「Instagramers Japan」という組織がありますよね。


松村氏:はい、一方でSnapchatに関する組織がなかったので、社内で「これ最初に作らないか」という話になりました。そもそも弊社は、若年層に対してSNSマーケティングを行う会社でして、今回のローンチで様々なサービスの中の1つとして、若者と関連の強いSnapchatを利用できるようになりました。

そして国内Snapchat市場に参入しているのは弊社のみなので、この組織を通してSnapchatを活用したマーケティングを総合的にやっていきたいです。


マーケットリーダーという立ち位置について


成田:国内初のSnapchat市場に参入された企業ということで、マーケットリーダーとして何か意識されていることはありますか。


松村氏:大きくは3つあります。1つ目は市場価値を絶対に落とさないこと。2つ目はユーザー同士の健全なコミュニティ形成、及び「Snapchatters JAPAN」の雰囲気をクリーンに保つこと。そして3つ目は効果的なSnapchatマーケティングの方法を見出し続けることですね。その3つを弊社としては徹底していく中で、次の時代のスター「Snapchatter」を作っていきたいと思っています。


成田:「Snapchatters JAPAN」への実際の応募状況はいかかがですか。


松村氏:すでにサイトの応募フォームから多数の申し込みがきています。現在応募していただいている方の中には何万というスコア(※)の人たちがいらっしゃるので、「日本にもこんな人たちがいたんだな」って驚いています(笑)。


※スコア:Snapchatの使用具合がわかる指標。ダウンロード時のスコアはゼロで、やり取りしたスナップの数や投稿したストーリーの数などによって増えていく。


ここ数年の若年層の動向


松村氏3


成田:御社は若年層のマーケティングをされていますが、最近の若者の変化をどう捉えられていますか。


松村氏:一人ひとりの好みにあったチャネルが確立されてきたと同時に、各々がそれらを取捨選択していることがここ数年の大きな出来事だと思います。少し前までは情報源はテレビや雑誌が主流でしたが、現在ではYoutubeやTwitter、Instagram、Facebook、そしてSnapchatというように多様化・細分化してきて、ユーザーは選択することが可能になりました。そこに好みの別れが生じユーザーが1つのチャネルに縛られないということがここ数年で起きています。


成田:具体的に教えて下さい。


松村氏:Snapchatでは日頃の出来事を気軽にリアルタイムで投稿できます。さらに自分で投稿したものは自分だけ保存できるので、気に入ったものだけカタログ的にInstagramに落とすという行動パターンがあります。一方Twitterではオープンな友達とのコミュニケーション、LINEではクローズな連絡をするようなイメージです。


成田:若年層の変化により個々の好みのチャネルが確立されてきたことに対して企業はどのように対応すべきでしょうか。


松村氏:情報源と個々の趣向がバラバラになってきたからこそ、どこかのチャネルに広告やコンテンツをとりあえず出しておけばどうにかなるという戦略はもはや通用しません。つまり、1つのメディアに投資をしても若者全体にはアプローチできないということです。マーケターは、「このチャネルだったら誰が見ているか」を的確に把握しながら戦略を立てていかなくてはいけません。


Snapchatは何がすごいか、他SNSとの違いや特徴


松村氏4


成田:若者が選ぶチャネルが多様化してきましたが、そのうちの1つであるSnapchatの特徴は何でしょうか。


松村氏:Snapchatは気軽さ、リアルさ、身近さというところが他のSNSと比べて群を抜いています。限られた編集機能だからこそユーザーは手軽な加工を楽しめますし、スナップはすぐに消えてしまうので気軽なやり取りができます。またストーリー(※)を通して、いつでも有名人が24時間以内にやったことを確認することもできます。さらにそれらが全て自撮りで行われていることによる身近さも魅力の一つです。


※ストーリー:24時間消えないスナップのまとめ。期間中に何度でも閲覧することができる。タイムラインのように蓄積されていく。


成田:Snapchatは「消える系(エフェメラル系)」と言われていますが、「消える系」をどうとらえていますか。


松村氏:「消えるから良い」ってわけではないと思います。Snapchatの独特なUIに代表されるように、あの空気感が世界的に好まれているのであって、消えるものでどんどん横展開していっても、流行らないかもしれません。


成田:そのような洗練されたSnapchatが若者の間で“流行るな”思った理由は何でしょうか。


松村氏:有名人がInstagramにSnapchatの動画を上げ始めたからです。EXILEグループの方やタレントの水原希子さんが自身のInstagramにSnapchatで加工した写真・動画を上げているのを、高校生・大学生が真似し始めたんです。


Snapchatがどう消費され普及していくか


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成田:現状Snapchatは海外での利用が盛んです。企業活用を考えても海外企業が主流だと思うのですが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。


松村氏:海外で話題になったヨーグルト屋さんの面白い事例があります。



  • Snapchatの消える特徴を使った事例。ユーザーは企業アカウントに対してそのお店のヨーグルトを食べている画像を送ると、企業アカウントから割引クーポンが画像で送られてくる。家でそのクーポンを開くと消えてしまうので、再び来店したときに初めてクーポンを見て、その場で何割引きかを確認できる。友人同士で楽しめる巧みなO2O施策である。

    参考:http://mashable.com/2013/01/02/snapchat-marketers/#PN4Rn0LIwEqU


成田:Snapchatは今後どのように広まっていくと予想しますか。


松村氏:グローバルだともう普及していますが、日本での普及には1~2年くらいかかるのではないかと思います。その後は大人やビジネスが入ってきて、広告がノイズになり若者が離れ、次の新しいサービスが出てくるのではないかと考えています。


成田:今まさにInstagramがそのような感じで、もはや若者が好むオシャレな雰囲気がなくなりつつありますよね。


松村氏:そこでユーザーが伸びるキーになるのは、やはり有名人の利用かと思います。現状国内でメッセージを送る時はLINEが強いと思うので、Snapchatで連絡をとるという文化は広がらないと思います。Snapchatでは自分の投稿より、ストーリーの閲覧が重要なポイントになっていき、特に有名人の24時間のリアルタイムの行動を見たいという欲求で一日一回開くというものになっていくと思います。


今後の展望


松村氏6


成田:今後の御社の展望を教えてください。


松村氏:Snapchat市場を牽引していきたいです。現在若者はバラバラなチャネルで自由に情報収集するわけですが、展望として、「みんな若者はこれだけは絶対見逃せないよね」っていうエンターテイメントを作ることを目指しています。


Snapchatters JAPAN公式サイト

https://snapchatter.jp/


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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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