“陣取り合戦”は終わった? 世界のメッセンジャーアプリ比較と今後の戦略とは
2016/08/17

- 目次
- 世界のメッセンジャーアプリ比較
- 戦略から見るメッセンジャーアプリのこれから
- まとめ
1. 世界のメッセンジャーアプリ比較
アプリ名 | リリース年 | MAU | 代表的な利用地域、国名 | グループチャット | ビデオ通話 | タイムライン投稿 |
2010 | 10億人 | 全世界 | ◯ | ✕ | ✕ | |
FB Messenger | 2011 | 10億人 | 全世界 | ◯ | ◯ | △ |
Tecent QQ | 1999 | 8.5億人 | 中国 | ◯ | ◯ | △ |
2011 | 7億人 | 中国 | ◯ | ◯ | ◯ | |
Skype | 2003 | 3億人 | 全世界 | ◯ | ◯ | ✕ |
Viber | 2010 | 2.5億人 | ベトナム | ◯ | ◯ | ✕ |
LINE | 2011 | 2.2億人 | 日本 | ◯ | ◯ | ◯ |
Snapchat | 2011 | 2億人 | 全世界 | ✕ | ◯ | ◯ |
BBM | 2005 | 1億人 | インドネシア | ◯ | ◯ | ✕ |
「基本機能追究タイプ」「地域限定タイプ」「目的別タイプ」などさまざま
こうして並べてみると、メッセンジャーアプリは2010年を過ぎたあたりから世界各地で見られるようになったと分かります。「陣取り合戦」という言葉もあったように、たしかに一見すると、世界中でユーザーを獲得するため争っているように思えますが、ここはそれぞれ機能や役割を分類したほうがよさそうです。 たとえばWhatsappやSkypeのように、通話やメッセージ機能など基本機能を追求したタイプ。特別な機能ではなく、多言語対応や操作のしやすさに特化した純粋な機能の充実を図り、世界での地位を確立してきたものです。 また中国で普及しているTencent社のQQやWeChatのような利用地域が比較的限定されているタイプ。Facebook Messengerが規制されている地域だけあって、その分のニーズをがっちり掴んでいる印象です。一方で、インドネシアで人気のあるBBMはブラックベリー社のモバイル端末に元々アプリが内蔵されているため普及率が高いという他にはない事情もあるようです。 くわえてアメリカやアイルランド、サウジアラビアなど世界中で人気を博しているSnapchatは友達との画像や動画の共有を楽しむ娯楽としての機能を追求したものです。つまり、決まった目的に対応したタイプのアプリといえるでしょう。 上記で取り上げられなかったKakao TalkやTelegramなども踏まえて考えると、世界全体でメッセージャーアプリがひしめき合っているように見えてしまいますが、その中身は基本機能を追究したものや地域の文脈で使われているもの、特定の目的を満たすためのものなど数パターンに分類できます。2. 戦略から見るメッセンジャーアプリのこれから
前項ではメッセンジャーアプリに、それぞれの狙いがあることをご紹介しました。 そのなかでも、本項では世界中で人気を誇るMessengerを抱えるFacebook社と、先日上場を果たし日本を中心としたアジアでの成長著しいLINE株式会社に注目します。誰とでもつながれる! MessengerがFacebookの戦略の軸に

引用:http://jp.techcrunch.com/2016/04/13/facebook_f8_-summary/
Facebook社が開発に精を出している最新技術は360度カメラや人工衛星だけではありません。Messengerの機能を充実させることで、個人と企業までも1対1でつながれる空間を生み出そうとしています。「Messengerボット」が、クローズドなコミュニケーションを掘り起こす
2016年4月のF8カンファレンスでは、重要な施策のひとつとして「Messengerボット」についても言及がありました。開発が上手くいけば、将来的にはユーザーが入力した文章を理解して返信してくれるようになります。たとえばアパレル系のボットを開いてサイズや素材、値段など購入のポイントとなる要素を伝えれば、すべてを提示してもらい楽々買い物ができる未来が来るでしょう。 こうした背景には同社がFacebookページやニュースフィードなど誰でも見られる「オープン」なコミュニケーションだけでなく、個人同士で行うメッセージのような「クローズド」なコミュニケーションにも目を付けていると考えられます。 今まで前者(オープン)にはアルゴリズムの最適化などで手を入れてきましたが、後者(クローズド)向けの施策は多くありませんでした。そこで「Messenger」をFacebookアプリから分岐させて開発に力を入れ、それまでユーザー間同士であったクローズドな空間にチャットボットを介入させることで、ユーザーと企業のOne to Oneコミュニケーションをより強化してきたといえます。Facebook社の戦略まとめ
これまでの施策が功を奏していたため既存のユーザーが多く、ほとんど知り合い同士の濃いコミュニティが形成できていたFacebook。この度、Messengerボットを開発することでクローズドなコミュニケーションに本格的に狙えるようになりました。 企業もチャットボットの自動返信を使えば、ユーザーとのOne to Oneコミュニケーションが活発に行えるようになります。近い将来、Facebookの対応できる領域はオープンからクローズドまで、ぐっと広がることになります。多角化で攻めまくる、LINEの戦略
元画像引用:http://news.mynavi.jp/photo/articles/2016/03/25/line/images/006l.jpg
MAU10億人を誇るMessengerほどではありませんが、世界で2.2億人をもつLINEの特徴はなんといっても非常に幅広い分野に手を出していることです。もちろん同社にもMessengerボットのようにユーザーと企業を1対1でつなぐサービスは「LINEビジネスコネクト」など存在しますが、同社の多角化戦略はメッセンジャーアプリの中では特に際立ったポイントといえます。 広告事業は日本やインドネシア、タイ、台湾などアジア中心に成長を見せ続けて2016年上場するまでに至りました。今年6月にLINE Ads Platformも発表され、タイムラインやアドネットワークに広告出稿できる企業の幅が広がったことで、注目が集まっています。 また決済事業でもLINE Payなど独自のシステムを構築しています。この決済システムのおかげで関連サービスの支払いが楽になったり、友だちに対して送金や割り勘ができたりとキャッシュレスな社会をアプリ内で目指しています。くわえて、3月に発表された「LINE Payカード」はオンラインとオフラインともに利用可能なポイントカードで、開始わずか数日で20万枚を突破する人気ぶりです。マンガにゲーム、求人情報に天気予報まで…20種類を超える関連サービス

LINE株式会社の戦略まとめ
