ファン数1,800万人!「Tokyo Otaku Mode」が語るFacebookのこれまでとこれから
2016/08/26
先日当メディアでリリースした「SEOはもう古い? 海外の先進的メディアが実践する“SEO”から“FBO”へ」という記事が、ありがたいことに非常に話題になりました。分散型メディアの台頭など、各プラットフォームに合わせて情報を発信していく流れは急速に進んでいますが、このFBOという概念が生まれるはるか以前からFacebookページを中心にメディア展開し、今では1,800万人のファンを獲得しているページがあります。それが日本のポップカルチャーを世界に向けて発信する「Tokyo Otaku Mode」です。
今回お届けするのは、そんなTokyo Otaku ModeのFacebookページを運用している、Tokyo Otaku Mode Inc.の秋山様、GIN様、Annie様へのインタビューです。前編では、Tokyo Otaku Modeがこれほどのファン数を獲得するまでの道のりと、長年Facebookページを運用しているからこそわかるFacebookの変化の軌跡についてのお話いただきます。
Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑
- ■目次
- プロフィール
- 正直“伸びた”施策はどれかわからない。とにかく試行錯誤した立ち上げ期
- 数年単位で変化するFacebookのこれまでとこれから
プロフィール
秋山氏:Tokyo Otaku Mode Inc. 広報(写真右)
GIN氏:Tokyo Otaku Mode Inc. Facebookライブ配信担当(写真左)
Annie氏:Tokyo Otaku Mode Inc. SNS運用担当(海外から電話で参加)
正直“伸びた”施策はどれかわからない。とにかく試行錯誤した立ち上げ期
日本市場より海外市場。5億人に向けて日本のポップカルチャーを発信
大久保:今は自社メディアを持たずにSNSだけで情報を発信するメディアも増えていますが、Facebookページを立ち上げた2011年当時はものすごく珍しかったと思います。なぜそのような方向性になったのですか?
秋山氏(以下敬称略):当時日本国内ではまだ数100万人ほどしかユーザーはいませんでしたが、ビジネス誌がFacebook特集を始めたり、Facebookのマーク・ザッカーバーグを題材にした映画が公開されたりしていて、これから来ることは間違いない状況でした。そうなったときに先行してノウハウをためておけば、何か起こるのではないか、と考えたのがきっかけです。
大久保:発信するテーマやターゲットは後で決めていったのでしょうか?
秋山:そうですね。まずターゲットとして、数100万人の国内ユーザーよりも、5億人(当時)の世界のユーザーに向けて情報発信した方がいいと考えました。ではどのような情報ならユーザーにとって価値があるのか?と考えた時、自分たちのアドバンテージは“日本にいる”というところだったので、日本の物事に関することを発信したほうがいいだろうと。そこで海外ユーザーが興味を持ちそうな日本の情報、伝統芸能系や相撲などをいくつか候補にあげてみました。
大久保:その中で“オタク文化”に目をつけたのはなぜでしょう?
秋山:Facebookは更新頻度が命。伝統芸能系は情報更新頻度が少ないので、一定のものを調べ尽くしてしまったらどんどんマニアックによっていかなければネタ切れしてしまいます。それならば新しいことがどんどん起こっていくものの方がいい。そこで思いついたのがアキバ的なアニメ・マンガ・ケームもの、いわゆるオタク文化、ポップカルチャーでした。
漫画もアニメも毎週のように新しい作品が生まれるのでネタ集めしやすいですし、海外のファンもすでに一定数いることはわかっていました。そして日本にいると当り前で気づかないのですが、街中を見るとあちこちにアニメのキャラクターを使った広告があったりしますよね。それを素人の僕たちが写真で撮るだけでも一つの情報として成り立つのでコンテンツを作るコストも低い。当時はFacebookのユーザーは若い人が多かったので、その人たちに興味を持ってもらえるものとして考えると日本のポップカルチャーが最適だという結論に達しました。
大久保:せっかくコンテンツを更新していくなら、Webサイトでストックしていこうという考えはなかったんですか?
秋山:海外のユーザー数の伸びや使われ方を見た時に、「インターネット=Facebook」になるだろうと感じたので、Webサイトは必要ないと思いましたね。しかし、「どんなサービスも栄枯盛衰があるから、自分たちでコントロールできるWebサイトを作っておかなければダメだ」と投資家からアドバイスを受けて、最終的にはFacebookページ立ち上げの1年後にWebサイトも作りました。
最初の2ヶ月は低空飛行……半年で10万いいね!集まらなければやめるつもりだった
大久保:1,800万人のファン数を獲得するまではどのような道のりだったのでしょうか?
秋山:最初は全然伸びなくて、これはダメだろうという状況でした。いろいろな方にも、どうやって伸ばしていったのか聞かれるのですが、正直に言うとわかりません。特に初期は、Facebookが日本に入ってきたばかりの時だったので、Facebookでファンを集めるTips的なものは英語の記事しかない。手探り状態でとにかくいろいろな施策を試しました。
大久保:どのような施策を試されたのですか?
秋山:元々Facebookページの中には特定のマンガやアニメなどのファンが集まるページがあったので、そこへ最新情報を投稿しに行っていました。Tokyo Otaku Modeなら、特定のものだけでなく最新情報を網羅的に見られるとわかってもらうために、毎日1投稿を続けたんです。その結果、それを見たユーザーが過去の投稿も見て「いいね!」をしてくれ、だんだん自分たちにとって、有益なページ、来て面白いページだと認識してもらえるようになりました。
他には、世界中の人がリアルには参加できない日本のアニメイベントなどに私たちが行って、現場の情報を発信したりもしましたね。イベントには招待機能があるので、そういうものを使って、勝手に招待してユーザーに見つけてもらったりしていました。
あとは今よりもFacebookのレギュレーションが緩かったので、ファン向けにアニメグッズなど景品にして、「いいね!」を押して応募する懸賞もやっていました。一定の人数を超えてくると、Facebookのファンページの人気ランキングに入ってきて露出が増えるので、そこから徐々に増えていったイメージですね。
数年単位で変化するFacebookのこれまでとこれから
大久保:2011年からFacebookページの運用を続けていますが、どのような変化を感じていますか?
Annie氏(以下敬称略):当時は今と比べたらSNSがそれほど使われていなかったので、日本の写真をアルバムに入れたらリーチが伸びるという状況でした。しかし、企業などがSNSに参入してきた段階で、タイムラインに表示されるコンテンツのアルゴリズムが変わっていきました。
2013~2014年は広告の活用が進んだイメージです。Facebook広告でリーチを増やせるようになったので、ファン数を伸ばす企業ページが増えました。ただ、だんだんとコンテンツが増え、Facebook全体が飽和状態になっていったんです。
2015年の6月位からは何をしてもリーチが伸びにくくなりました。ユーザーと投稿のエンゲージ数、シェア、コメント、動画、リンクなどいろいろな要素があるなかで、どのようなコンテンツが伸びやすいのかということを実験しながらやっていました。
2011年当時のプロフィールページ
引用:http://japan.cnet.com/news/commentary/20425059/
大久保:試行錯誤されていると思いますが、今はどのような投稿を心がけていますか?
Annie:コンテンツの中身で言うと、主流のマンガ、アニメなど、誰でもわかりやすいものにしています。というのも当時は投稿数が多く、それがFacebook的にあまりよくない、スパムとみなされてしまう傾向があったんです。ですので今は投稿数を控えて、かつターゲットが比較的広い内容に、という風にしています。
大久保:なにか新しい取り組みはありますでしょうか?
Annie:新しい取り組みとして、他のFacebookページのコンテンツをTokyo Otaku Modeでシェアしています。Facebookは基本的に交流するためのコミュニティなので、他のページのシェアは有効な施策なのではないかと考えています。あまり知られていないけれど才能のあるクリエイターさんの作品をシェアすると、こちらのエンケージも高くなり、そのクリエイターさんも一気にフォロワーが増える。日本のサブカルチャーを海外でも日本でも応援したいという共通の思いもありますし、認知してもらえるメリットもありますし、多くのクリエイターさんが協力してくれます。
注目しているライブ配信機能
大久保:今後のFacebookの動きについて、御社としてどう見ているのか教えてください。
Annie氏:Facebookの方向性を考えたうえで、今Tokyo Otaku Modeとして注目しているのはライブ動画です。Facebookは動画を配信するプラットフォームとしても、ものすごい勢いで伸びたわけですが、ライブ動画の領域はまだどこが勝つかわからない状況ですよね。でもユーザーからは人気が出てきていて、これから市場として伸びるのは確実。Facebookもきっと強化してくるはずです。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部