【4‐6月編】今日は何の日? 年中行事カレンダーに合ったSNS投稿事例まとめ
2017/03/13
店舗のショーウインドウに自然と季節感が感じられてくるように、SNSの企業広告でも季節のイベントや記念日のネタがふんだんに盛り込まれています。
たとえば、日記系のものもあれば、独自のキャラクターにイベントにちなんだ格好をさせたかわいい系や豆知識系、お役立ち情報系、イベントに合わせた商品紹介系など、見せ方も多彩です。本記事ではそういった事例の中から、特に注目度の高かった事例を季節ごとにピックアップしていきます。
第1回目は「春」のネタ。4月から6月までの「華やかな春」を感じさせる事例を見ていきましょう。
各月では、代表的で基本的な記念日(「基本編」)と、一見知らないような「珍しい記念日」の両方の投稿事例をご紹介します。
- ■目次
- 4月【基本編:エイプリルフール】【珍しい記念日】
- 5月【基本編:母の日】【珍しい記念日】
- 6月【基本編:父の日】【珍しい記念日】
- まとめ
4月
4月は始まりの季節。
入学式や入社式、花見に「昭和の日」と、心躍るイベントが盛りだくさんです。また、それに加えて「アンパンの日」、「ガッツポーズの日」、「インゲン豆の日」、「ゾウの日」など、「何で?」と思うような不思議な記念日もあります。
まずは、嘘をついても許されるエイプリルフールにちなんだ投稿例を見ていきます。やはり、楽しい「嘘」を狙ったものが多く見受けられました。
【基本編:エイプリルフール】
事例1:モスバーガー(Facebook)
言わずとしれた日本発のハンバーガーショップ「モスバーガー」の投稿です。名前の「モス」になぞらえた、「マンモスバーガー登場!」というクスッと笑えるジョーク投稿に1万回の「いいね!」が押されました。
精巧に作られたバーガーの画像もさることながら、添付されたURL先を見てみると本当に存在しているかのような緻密な「偽」の宣伝が用意されており、ついつい笑ってしまいます。この自社HPへの誘導もとても自然で誘導広告の良い事例だといえます。
事例2:日産自動車(Twitter)
【速報】NISSANと
NISSINが開発した飛行物体
NISSENに不時着【動画】https://t.co/oAfnVh6WzD@Nissin_U_F_O@Nissen@NissanJP#エイプリルフール pic.twitter.com/ZUyzczoK09
— 日産自動車株式会社 (@NissanJP) 2016年3月31日
昨年のネットニュースでも話題になった投稿。名前の似ている「日産・日清・Nissen」の異業種による三社合同のコラボ企画であり、「エイプリールフール」限定とはいえCM動画まで制作する徹底さゆえに、フォロワー数は急成長し133,984人にまで達しました。
遊び心に加えて、本物の「USO(うそ)」焼きそばを作りプレゼント配布するなど、CMに連動したキャンペーンにも多くの反響がありました。ただのダジャレではなく、ダジャレから派生した楽しいストーリー展開もあり、これが三社合同のキャンペーンが成功した秘訣だといえます。
事例3:日清チキンラーメン(İnstagram)
チキンラーメン ひよこちゃんさん(@chikinramen_hiyoko)がシェアした投稿 –
こちらは、企業というよりは商品に特化した公式アカウントです。商品のキャラクター「ひよこちゃん」が、季節によって楽しい写真を見せてくれています。
「エイプリルフール」の日は、ひよこちゃんがどの顔をつけようか迷っているという写真です。少し笑えるような投稿が多いひよこちゃんのフォロワー数は約176,000人で、その多くが女性です。かわいらしいキャラクターを採用し、多くの人々の心をつかむことに成功した代表例といえます。
【珍しい記念日編】
事例4:ヨコハマおもしろ水族館(Facebook)
4月24日は、「日本ダービー記念日」。馬と水族館、何の関係があるのかというと、その日は、馬の顔に似ている「ウマヅラハギ」という魚を紹介しています。
こちらの水族館は、記念日にちなんだ魚を紹介していて海の生き物に対して新しい角度から興味を持ってもらえるような構成となっています。反応数は少ないものの、コアなファンの気持ちを捉え、フォロワー数を確実に伸ばしているアカウントです。
事例5:鹿島アントラーズ(Twitter)
今日って、#ガッツポーズの日 らしいです。Jリーグ(@J_League)さんに教えていただきました。ということで、昨日の試合から。こんな喜んでいる岳さん見たの、初めてかも。こっちも嬉しいです。#antlers #ともにMSM pic.twitter.com/hoaUvpXznZ
— 鹿島アントラーズ 公式 (@atlrs_official) 2016年4月11日
4月11日は、「ガッツポーズの日」。それにちなんで、ツイッターの企業投稿には、スポーツ団体の投稿が目立ちました。その中で一番、反応が高かったのが、鹿島アントラーズ。選手たちの素顔も見える素晴らしい写真が目を引きます。普段は見られない、選手の自然な姿を見せることでユーザーやサポーターは親近感を持つことができます。現在のフォロワー数は約226,000人。毎日の選手の表情が身近に感じられると、毎回たくさんのコメントが寄せられています。
事例6:ドクターシーラボ(Instagram)
4月14日の「オレンジデー」にちなみ、ビタミンC配合化粧水のキャンペーンイベントである「嬉しさ100倍・胸キュンプロポーズ」が行われ、その時の模様をInstagramでアップしています。記念日と絡めた、商品のキャンペーン展開という手法は、広告業界でよくある手法ですが、有名芸能人を起用し、女性の心をときめかせる「プロポーズ」を扱ったイベントということで、フォロー数の反応率は7.36%と良好な結果が出ました。
5月
ゴールデンウィークがあることで知られる5月は、1年で一番イベントの多い月ともいえます。5月5日の「こどもの日」、5月第2週の「母の日」などのメジャーな記念日から、中には「アイスクリームの日」「世界電気通信記念日」などの珍しい記念日もありました。基本編では、定番の「母の日」の投稿事例から紹介していきます。
【基本編:母の日】
事例7:ユニ・チャーム ムーニー(Facebook)
「自分と自分の赤ちゃん」をかつての「母親と赤ちゃんの自分」に重ね合わせてた「親になってはじめてわかる親の気持ち」がテーマの投稿です。自分でやってみてはじめて子育ての大変さがわかり、同じように大変な思いをしながら育ててくれた母親への感謝の気持ちを感じているという内容になっています。
初めて子供を持ち、泣き続けるわが子に途方にくれる「私」。その瞬間、自分の母親への感謝とわが子への愛おしさを感じられる詩に、ママたちからの共感が多く寄せられました。広告色を全面に出さず、ターゲットの「心」に直接的に訴える手法も企業へのプラスイメージを大きく向上させています。
事例8:スターバックス コーヒー(Twitter)
今日は母の日ですね。大切なお母さんに心をこめて、メッセージとドリンクを贈りませんか。Starbucks eGiftの母の日限定デザインカードで、ちょっとサプライズな「ありがとう」を。 https://t.co/GjGoTdW5cS pic.twitter.com/GzklmOegOF
— スターバックス コーヒー (@Starbucks_J) 2016年5月8日
日ごろお世話になっているお母さんに、感謝のカードとともに好きなコーヒーと引き換えられるコーヒーチケットのプレゼント。業界大手のスターバックスが提供する新しい形のサービスで、昨年のこのツイートでいいね!やリツイートなどのアクションが約5000件を超えるものとなりました。
普段なかなか伝えられない感謝の気持ちを、携帯に送られてくるコーヒーチケットで伝えるという新発想の商品展開も話題になりました。
事例9:カメラのキタムラ(Instagram)
カメラのキタムラさん(@camera_kitamura)がシェアした投稿 –
花の鉢をもらって、満面の笑顔を浮かべるおばあちゃんに、心がほっとほころぶ1枚です。
カメラ屋さんということで定期的に写真コンテストを行っており、時節テーマに応じた写真をInstagramでアップしています。思わずポチッと押してみたくなるような魅力のある写真を活用し、企業HPへの誘因力も高いものとなりました。写真が主体のInstagramでは、このようなユーザーの目を引き付ける写真を選択することも重要なポイントです。
【珍しい記念日編】
事例10:じゃらんnet (Facebook)
5月16日は「旅の日」。旅行サイト大手じゃらんは、旅の記念日に向けて、「新・記念日」と題し、プレママ(妊婦さん)に向けた、妊婦さんや赤ちゃんに優しい旅のプログラムを紹介しています。
このようにじゃらんnetでは、時節テーマに合わせた独自の企画を提案し、SNSメディアおよび紙媒体を使って広める手法を多用しています。
事例11:ケンタッキーフライドチキン(Twitter)
\ #今日は何の日?/#東名高速道路 全通記念日!1969年の今日、全線が開通したんだそう。
全長364km…チキンだと何個分でしょうね??
チキンを測って確かめよう♪
➡https://t.co/jHcvAVs6AY pic.twitter.com/BZqorYqpqL
— ケンタッキーフライドチキン (@KFC_jp) 2016年5月26日
5月26日は「東名高速道路開通記念日」であり、それとケンタッキーにどんな関係があるのかと考えてしまいますが、「東名高速道路は全長364m…チキンだと何個分でしょうかね?」という意表をつかれる内容の投稿でした。
思いもよらない展開に、「えっ?いくつかなぁ」とふと考えてしまい、コメントをするというケースも多く見られました。関係ないものを組み合わせて、意外な問いかけをするという手法も興味と笑いをかき立てるという点で成功した例だといえます。
事例12:ハーゲンダッツ (Instagram)
5月9日は「アイスの日」。アイスといえば、ハーゲンダッツが有名ですね。アイス記念日に合わせて、ハーゲンダッツ製品を用いたおいしい食べ方を動画で紹介する内容の投稿です。
ただ飾るのではなく、アイスカップをそのまま半分に切って盛り付けるという斬新な発想で、「思いつきもしなかった」「斬新」というコメントが寄せられました。商品紹介だけではなく、新しい食べ方の提案をするという手法もユーザーからの効果が高いことがわかります。
6月
過ごしやすい季節から雨の季節に変わる月。この月の主な記念日といえば、第3日曜日にある「父の日」。また、もうすぐ夏を近づいていることを知らせる「夏至」などがあります。珍しいところでは、「ネッシーの日」や「UFOの日」などの不思議な記念日もあります。
【基本編:父の日】
事例13:ワコール(Facebook)
ワコールときくと女性下着のイメージが強いですが、「父の日」にはいつもと違う切り口のCМが話題となりました。「父の日」に向けて公開された特別映像は、忙しいパパのため男の子が自分の貯金をはたいて、パンツを送るというもの。セリフはないのですが、“健気な男の子”と“意外なプレゼントに大泣きするパパ”という感動的な描写がユーザーの中で話題になり、400,000回以上の再生数となっています。「母の日」同様、心情に訴えるCMはとても効果的なようです。
事例14:ニッカウヰスキー(Twitter)
(……きこえるかの… きこえるかの… わしは今… 皆の心に… 直接… 呼びかけとるぞい… 今日は… ちちのひ… #父の日 じゃ …お父さんが喜ぶのは… ウ・イ・ス・キー… ウイスキーを… 贈るんじゃよ……)#きこえますか pic.twitter.com/g6oX7In6rF
— ニッカウヰスキー【公式】 (@nikka_jp) 2016年6月18日
心情に訴える手法が多い中、意外な見せ方で注目を浴びたのがニッカウヰスキー。
パッケージのキャラクターが「きこえるかの… きこえるかの…」と問いかけながら、「お父さんが喜ぶのは…ウイスキー」と囁きかけるというもの。単純ではありますが、こちらも発想の斬新さで一歩先を行くツイートです。これにつられるように、コメント欄で似たような面白いツイートを返す人も見られ、「斬新→笑い→好印象」と上手にイメージ転化を図れた事例だといえます。
事例15:IKEA(Instagram)
IKEA JAPANさん(@ikeajapan)がシェアした投稿 –
おしゃれで低価格の家具ショップとして、今や全国展開しているIKEA。この投稿では「おうちレストランにパパを招待しよう」ということで、オムレツの作り方を紹介しています。IKEA制のスタイリッシュで使い勝手の良さそうな調理器具を使い、パパの顔が描かれたかわいらしいオムレツを仕上げていきます。
季節ごとに自社製品をうまく活用しながら、同時にオシャレな生活スタイルも提案しているという点で、若い世代のママたちから評価を得ています。
【珍しい記念日編】
事例16:トヨタ自動車(Facebook)
6月24日は初めてUFOが目撃された日ということで、「UFOの日」。それを絡ませたトヨタ自動車の一風変わった広告が話題となりました。
エスティマの宇宙人用カタログ。「エスティマを回すとUFOに見える?!」という突拍子もない発想で、「何ゆえに」という思いから、思わず投稿記事にあるURLを押してしまいたくなります。商品紹介のページもユーモアたっぷりで、商品紹介は一割ほど。自社製品を強調しすぎない点も見る側に好印象を与えます。
事例17:山芳製菓(Twitter)
U(うすくて)
F(フライされている)
O(おいしいもの) pic.twitter.com/BKdGDNNWX4
— 山芳製菓株式会社(わさビーフ) (@yamayoshiseika) 2016年6月24日
こちらも「UFOの日」にちなんだ投稿です。トヨタほどは大々的ではありませんが、地味におもしろいところが魅力の記事です。
「U(うすくて)F(フライされている)O(おいしいもの)」とこじつけのキャッチコピーもユーモアがあり、ユーザーの興味を引きます。こういった地味に笑える記事も人気があり、後からじわじわとユーザーに反応されるという点が特徴です。大げさではない地味な笑いを求める人たちから人気があるようです。
事例18:Gap Japan(Instagram)
世界的衣料ブランドGapの公式アカウントでは、毎日、「今日は何の日?」というテーマで雑学になりそうな知識とポップなイラストで記事を投稿しています。
なかには、6月4日は「猫をハグする日」、6月23日は「誰もがピンクを着る日」など、ユーモア要素の強いものもあり、おもしろカレンダーのような感覚でフォローしている人も多いようで、定期的にコメントを寄せるフォロワーも見られます。こういったカレンダー系の記事では、継続することで結果が出てくるということがわかります。
まとめ
ここまで、月別に大反響のあったものやじわじわと反響のあったものなどをピックアップしてきました。
これらすべてに共通していえることが企業広告といっても広告を全面に出すのではなく、季節感や行事というスパイスと、商品やサービスをうまく絡めて投稿していることです。自社の商材と時節テーマの相性を見極め、ユーザーにより大きなインパクトを与える投稿をすることが重要なポイントです。
次回は、7~9月までの夏編をお送りします。
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部