ツイート”0”の佐々木希さんのTwitterから考える、企業がSNSアカウントを持つ意義
2017/04/14
ツイートがゼロにもかかわらず、16万人にフォローされている佐々木希さんの公式アカウントをご存知でしょうか?先日ニュースでも話題になりました。
Instagramやブログには積極的に投稿している彼女ですが、2012年に開設されて以来5年間のツイート数は0。「いいね」をジャスティンビーバーのツイートに1回するのみになっており、他の動きは一切見られません。
https://twitter.com/nozomi_ssk0208
これではアカウントはほぼ使っていないも同然……。なぜツイートしないアカウントを5年も維持しているのでしょうか?
その理由とは「なりすましアカウント」への対策。
開設した当初、多くのなりすましのアカウントが開設され、それを知らないたくさんの人がフォローしてしまっていました。その状況を受け、公式のアカウントを作成し、公式アカウント以外はなりすましであることを示すようにしていたのです。
この例以外でも、芸能界では「なりすまし」によって根も葉もない噂を立てれてしまったケースが少なくありません。こうした状況に対処するために、たとえ使わなかったとしてもSNSアカウントを開設するようなケースが出てきているのです。
今回はこのような諸問題に対する対策や気を付けることなどを詳しくご紹介します。
- ■目次
- 別人になりきるのは簡単?なりすましがはびこるSNS
- ソーシャルメディアの2つの特徴
- 中小企業こそ危険!企業が公式アカウントを持つべき理由とは
- 「SNSアカウントを作ると炎上が怖い……」そんな時に考えたい3つのポイント
- 明日から始められる企業の対応とは?
- まとめ
1. 別人になりきるのは簡単?なりすましがはびこるSNS
芸能界だけでなく、なりすましは私たちの身近にひそんでいます。
その状況をアメリカの『Catfish』というドキュメンタリー番組が上手に描いています。
番組の内容を要約すると、「ネット上で恋愛関係になった人がいるけど、なかなか相手が会ってくれない」、そんな人を一般人から募集して、実際に相手を番組スタッフが見つけ出し、その2人を会わせるといった内容です。
お決まりのパターンは、いざ相手を見つけ出して会ってみると、聞いていた情報とはまったくの別人だったというオチ。綺麗な若い女性だと思ってたら、じつはその母親だった…、モデルの仕事をしているイケメンだと思って会ったら、男性ですらなく50代の主婦だった……というような衝撃的な話が次々とでてきます。
この番組で興味深いのは、騙す側は大概「ふざけ半分でやっていた」という人が多い一方で、騙された側の人は、ネットの情報を本気で信じ、人によっては婚約の約束までしてしまっていることです。
恋や恋愛という面で若干盲目になってしまうところもあるのでしょうが、たとえ本当に姿が見えなくともネットの情報を本物だと簡単に信じてしまっているのです。
ソーシャルメディアの特性を活用すれば完全にその人に成り代われるということを、このテレビ番組からうかがい知ることができます。
2. ソーシャルメディアの2つの特徴
では、どうして人はSNS上の情報を本物だと信じてしまうのでしょうか?
それを考えるうえで重要なポイントとなる、ソーシャルメディアの2つの特徴があります。
ソーシャルメディアでは「その人らしさ」が重要視される
その人が本物かどうかの証拠がなくても、その人ならこう言うだろう・こういう写真を投稿するだろう、というイメージが合致すれば、本人だと認識されることがあります。
例えば佐々木希さんのアカウントでその時期に出演するドラマやCMのツイートがされれば、そのアカウントが本物か偽物か判断することは難しくなります。
その人のキャラクターや環境に合ってさえいれば、SNS上でのなりすましも簡単にできてしまうのです。
じつは人のイメージは曖昧
一つ目の「ソーシャルメディアでは『その人らしさ』が重要視される」と逆説的ではありますが、そもそも「その人らしさ」というのは曖昧な概念であり、SNSでの発言だけで本人かどうかを判断するのは難しいのです。
例えば、メールやチャットではちょっと怖いと思ってた人が、実際に会って話してみるとすごくフレンドリーな印象だったということはよくあること。つまりその人のイメージと合致しなくても、「あ、こういう面もあるんだなぁ」程度に自然に受け入れてしまうのです。
同様のことがSNS上のコメントなどでも言えるため、その人であるかをコメントから判断することは難しくなっています。
3. 中小企業こそ危険!企業が公式アカウントを持つべき理由とは
「なりすまし」が簡単にできてしまうのは、企業でも同じです。とくに世間的に名の知られていない企業であれば、なりすましの危険性はより高まります。
なぜなら、ある程度有名な企業であれば何かしらのイメージを消費者が持っていますが、名の知れていない企業だとそもそもイメージがまったくないため、どのような発言であっても消費者に受け入れられてしまう可能性が高いからです。
なりすましをされやすい中小企業こそ、公式アカウントを作成して対処していく必要があるのです。
4. SNSアカウントを作ると炎上が怖い……」そんな時に考えたい3つのポイント
ただ現状では、あるリスクを恐れて公式アカウント開設を避ける企業が多く存在します。
そのリスクとは「炎上」です。
一部の悪意のあるユーザーが意図的にアカウントを炎上させる可能性があるため、公式アカウントを作りたくない、といった声をよく耳にします。
ただ、炎上のリスクを恐れて公式アカウントの開設をためらう前に、企業は以下の3つのポイントを理解しておく必要があります。
炎上が起きるかどうかはSNSのアカウントがあるかどうかに関係ない
仮に不祥事が発生したとして、その話題性が大きければ、アカウントの有無にかかわらず炎上します。アカウントを持たないから炎上が発生しづらくなる、ということはないのです。
公式アカウントがあれば炎上の現状把握がしやすい
公式アカウントがあれば、ひとまずソーシャルメディア上で発生する批判の宛先となるので、炎上の状況は把握しやすくなります。また、デマや偏った見解に基づく批判にも対処しやすくなります。
偽アカウントが勝手に炎上の対応をしてしまう可能性もある
もし公式アカウント以外の場所で炎上した場合、その対応が外部で勝手に行われる可能性があります。消費者としては、そのアカウントが公式かどうかは判断できないため、外部の対応によっては炎上がさらに加速してしまう可能性があります。
炎上が起こった後に公式アカウントを作っても、消費者の信頼は簡単には取り戻せません。そうした状況を防ぐためにも公式アカウントを前もって作成しておく必要があるのです。
5. 明日から始められる企業の対応とは?
では企業は対策のために何ができるのか?下記の2つを実施してなりすましを防いでいきましょう。
公式アカウントを持つ
偽アカウントが公式アカウントを持つことはできません。たとえ偽アカウントの投稿数のほうが多かったとしても、公式アカウントさえ持てば、本物と偽物の入れ替えは防げます。偽アカウントに無用な炎上を起こされてしまう前に、公式アカウントを持つようにしましょう。
Twitterは認証バッチの申請をする
認証バッジとは、Twitter側から声がかかる、もしくは企業や個人アカウントから申請することで付与される、なりすまし防止機能です。「多くの方々に影響を与える可能性がある音楽、演劇、ファッション、政府、政治、宗教、ジャーナリズム、メディア、スポーツ、ビジネス、その他の注目分野で著名な方々を対象」とした本物のアカウントであることを証明するライセンスであると定義されています。
この認証バッジを得ることで、偽造アカウント対策に加えて、企業アカウントや個人アカウントのブランド価値を高める効果があります。
しかし、Twitter側に認証バッジを申請しても認められない場合もあります。そのような場合は、アカウント名に【公式】と付けるなどの工夫が必要です。
https://twitter.com/mutenkurasushi
参考記事:再申請でも大丈夫!Twitterの認証バッジ(青いチェックマーク)の申請方法・ポイント
無理のない範囲で投稿する
企業の公式アカウントを開設したら、投稿をまったくしないということは流石にできないかと思います。投稿し続けるほどの工数をさけない場合、手間をかけない方法で運用することが重要です。
例えば、プレスリリースの内容を投稿するようにしたり、ブログがあればその更新情報を発信したりするなど、長期的に続けられるような内容を投稿するようにしましょう。
6. まとめ
Facebook、LINE、Instagramなど、SNSはこれからもどんどん広がっていくと言われています。それに応じて、なりすましをされてしまった際の被害も大きくなってしまいます。準備不足により大きなトラブルが発生してしまう前に、なりすまし対策はしっかり済ませておきましょう。
この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部