売れる配信者は100人もいない。ライブコマース事業者3社によるイベントレポート【TechCrunch Tokyo 2017】

2017/11/16


11月16日、ラボ編集部はTechCrunch Tokyo 2017にうかがい、パネルディスカッションのひとつ「胎動する日本のライブコマース、その勝算を先駆者に聞く」を取材してきました。


配信者と視聴者がリアルタイムでやり取りし商品を売買するライブコマース領域。今回は日本を代表する3社が発表する貴重な機会でした。ライブ配信やインフルエンサー分野に関心のあるマーケターの方は特に必見です。


text / ソーシャルメディアラボ副編集長 小東真人


    ■目次


  1. 登壇者の紹介

  2. 各社ライブ配信サービスについて

  3. ライブ配信にアクションする視聴者の商品購入率は高い

  4. 配信者やコンテンツが動機となって売れる

  5. 売れる配信者、売れない配信者に分かれる

  6. 売れる配信者が少ない日本では、育成も重要

  7. まとめ


1. 登壇者の紹介


伊豫健夫 氏:株式会社メルカリ 執行役員



新井拓郎 氏:株式会社Candee 代表取締役副社長 CCO



鶴岡裕太 氏:BASE株式会社 代表取締役CEO



2. 各社ライブ配信サービスについて


最初に、各社のライブ配信サービスの特徴が簡潔に紹介されました。メルカリは「メルカリチャンネル」、Candeeは「Live Shop!」、BASEは「BASEライブ」をそれぞれ展開しています。


メルカリチャンネルではバラエティに富んだライブ動画が楽しめ、ハンドメイド作家さんが作りながら配信したり、農家の方が収穫や料理しつつ配信したりするそうです。今では1日800人が配信するそうです。


またLive Shop!は「ソーシャルビデオ革命」を起こすという目的で作られたサービスであり、スマホだからこそ楽しめるコンテンツやユーザー参加型の機能を充実させています。これまでに同社が手掛けた動画本数は1300本、ライブ配信が9800本にのぼります。


次にBASEライブは同社Eコマースアプリ内のブログや商品ページでは伝えられない詳細な部分をライブ配信で補ってもらう意図で今年9月にローンチされたサービスです。「とっておきが見つかるライブショッピング」と謳っています。


3. ライブ配信にアクションする視聴者の商品購入率は高い



Candeeの新井氏は「ユーザーボリュームをゼロから増やすことと、ビジネスモデルの確立させることの両方をやるのは大変だった」といいつつも、手ごたえについて振り返りました。


中国で売れているライブコマースが日本でも売れるのか、どうやったら売れるのかという検証を続けていき、視聴者にウケる配信者の特性なども見えてきたそうです。


そうした検証で分かったことは、ライブに参加してくれるユーザーが多ければ売れる率が高まるということ。ライブ配信中にハートやコメントを残してくれた視聴者とただ見ていた人を1ヶ月間比べてみると、商品を購入してくれた人のうちアクションをした視聴者は、ただ見ていた人を2倍上回っていたといいます。


4. 配信者やコンテンツが動機となって売れる



続いて新井氏は、買いたい商品をあらかじめ思い描いて比較検討していく従来のコマースに対して、ライブコマースは配信コンテンツに参加するなかで配信者との共感が生まれ購買に至るから「コンテンツファースト」であるといっていました。


それを受け、メルカリの伊豫氏も配信者にファンができていくことを紹介していました。メルカリにあるフォロー機能を使って、ライブコマース経由で購入する人も多い。だから購入導線が従来と異なるそうです。


これにはBASEの鶴岡氏も同調しており、「(好きな配信者を)常連さんが見ている」と語っていました。


5. 売れる配信者、売れない配信者に分かれる


伊豫氏は「良い面とも悪い面とも言えますが」とことわった上で、配信者は商品をよく売れる人、売れない人で二分化できる現状を紹介しました。


売れる人はメルカリチャンネルのなかで、いわば「インフルエンサー」になって一度売れればずっと売れ続けているそうです。先に紹介した農家の配信者の方はライブ配信で注目を集め、上手く販売できたことで収入が20倍近くになり「人生が変わった」と語っているといいます。


一方で、やはりライブ配信が上手くいかない人の方が大多数を占めているそうです。「生放送でモノの説明をしても、普通の人はどうしても商品のスペックの話くらいしか広げられない」といった、ストーリー性をもって視聴者の心をつかむ難しさを指摘していました。


それを受けて、鶴岡氏も「お金儲けが先行してしまっているのか、(商品を)本当に作りたくて作って(配信して)いるのか」は視聴者の盛り上がりに大きく影響すると言い、下記のように語っていました。



  • (視聴者からの)質問に対する答え方が全然違います

  • (モノ作りが好きな人は)「どこの漆なんですか?」という質問に、永遠に答えられる

  • 普通なら「~~産です」で終わるところを、「日本の漆はもう無くて…」「このつくりは…」と続けられる


6. 売れる配信者が少ない日本では、育成も重要



モデレーターである岩本氏が「中国のように、今後日本でも稼げるのでしょうか?」という質問をすると、登壇者三名は今後のライブコマースの展望を話しました。


伊豫氏は企業と配信者との連携について語りました。現状メルカリは個人が自宅にあるものを販売しているものの、ストーリー性がより加わるのであれば企業が個人(配信者)と連携して、販売できる商品の種類や在庫を増やせるといった可能性を明かしました。


一方で、新井氏は国内で売れている配信者が「100人もいないのでは」と少なさについて言及していました。


また同氏は、配信者個人が影響力を持っているだけで良いなら売り場所(配信場所)はどこでもよくなってしまう点を懸念しており、プラットフォームとして付加価値が必要だといい、コンテンツのバリューアップはもちろん、新しく売れる人を育てる環境作りもしていくべきだとも語っていました。


7. まとめ



日本ではまだ始まったばかりのライブコマースについて今回は取材してきました。


ユーザー数の拡大からコンテンツの質の向上、配信者の育成など課題は残るものの各社それぞれが着実にノウハウを貯めており、今後の発展に向けてこれからもチャレンジしていくものと思います。以上、「売れる配信者は100人もいない。ライブコマース事業者3社によるイベントレポート【TechCrunch Tokyo 2017】」でした!


この記事を書いた人:小東真人

ソーシャルメディアラボ編集長。地方や中小ビジネス向けセミナーなどを担当。
17年ガイアックス入社のデジタルネイティブ世代。靴磨きが大好きで、休日はInstagramで関連アカウントばかり見ている。

Twitterアカウントはこちら。