自粛? 通常運転? 自然災害発生時のSNSアカウントはどう振る舞うべきなのか
2019/07/04

- ■目次
- 世間はどのように受け取るか?
- 緊急事態発生時のSNSアカウント、対応方法の判断軸
- 企業事例から見る、緊急事態発生時のSNSアカウントの具体的な対応方法
- ガイアックス 重枝義樹の過去記事
1. 世間はどのように受け取るか?

2. 緊急事態発生時のSNSアカウント、対応方法の判断軸

①当事者性
まず当事者性ですが、起こった災害に対して「一義的、あるいは直接的な責任を負っているか」という判断軸です。この答えが「YES」の場合は、通常運転の発信は控えるべきでしょう。 たとえば、災害に対しては当事者あるいは周辺自治体、規模によっては政府や国会議員という話になります。企業では、当該地域に根ざしたサービスを展開しているところで、たとえばホテルや遊園地などです。 では、その地域でも商品やサービスを展開しているが、それ以外でも提供しているという場合はどうすればいいのでしょうか。たとえば、旅行関連業界だったら、ほかの地域についての投稿はしてもいいですが、災害地域の観光情報は控えるべきでしょう。 また、不要不急の広告などは、その地域での配信は控えた方がいいこともあるでしょう。不要不急というのがなかなか難しいところではありますが、その地域の人々にとって、災害時に必要な情報、あるいは災害をおしてでも必要な情報であるかどうかという判断になります。 一方で、当事者から遠いのに、下手に「自分は分かっている」というようなポーズを示す、あるいは当事者に成り代わったような代弁的情報発信も逆効果です。「マイノリティ憑依」というのは逆に不謹慎であるという考え方もあるからです。 参考:http://lite.blogos.com/article/35299/ もちろん、一義的に当事者ではないからといって、配慮が不要になるわけではありません。しかし、通常運転を止めてしまうというのはやり過ぎなことが多いと考えます。例外はもちろんあるので都度検討は必要ですが、適切な距離感での配慮ができている状態であれば大抵は大丈夫でしょう。②緊急性
②の緊急性ですが、これは地域に関わらずほとんどの企業があてはまることです。今はグローバル時代なので世界にスコープを広げたら事情は変わってきますが、今回はとりあえず日本国内の話です。 たとえば、2018年6月の大阪の震災(https://ja.wikipedia.org/wiki/大阪府北部地震)の直後ですが、都市部で震度6弱ということもあり、被害の状況はもしかすると阪神淡路や東日本の時のような展開になるのでは?という不安がリアルでした。 2019年6月に新潟で震度6強を記録した山形県沖地震(https://ja.wikipedia.org/wiki/山形県沖地震)に関しても同じでしょうな状況がありました。 そのような時は被害状況が明らかになるまで、発信を控えるというのが賢明です。それは、あとで大変だったということが分かった時に非難を受けるからではありません。みなが、必死で正確な情報を集めている時だからです。 そのような時に通常運転の「もうすぐ海の日ですね!」という平時だからこそ楽しい投稿や「弊社は本日で創立100年を迎えました」というようなお祝い発信は心象が悪いでしょう。 しかし、たとえば病気にも、急性期、回復期、慢性期とあるように、災害直後で緊急事態の状況が過ぎれば、通常運転に戻してもいいものがあります。 回復期、慢性期の患者に対してずっと心肺蘇生を試みたり、ICUで絶対安静の手厚い加療はしません。そんなことをしたら、不必要に体力も落ちてしまうでしょう。状況に応じ、日常食に戻したり、仕事を始めることもあるように、情報発信も徐々に日常に戻していきます。 また、2018年の豪雨被害(https://ja.wikipedia.org/wiki/平成30年7月豪雨)に関しては、地震のように一瞬で明らかに大きいものだと分かるわけではなく、ジワジワと被害が広がるということがありました。 これも、病気に例えられます。車にはねられて集中治療が必要だという状況でなければ、進行性の重病でも日常との折り合いを考えながら治療は行われます。状況を逐一確認しながら、通常運転の中でもさらに是々非々で、発信を行なったり、行わなかったりするということが正解になります。 この当事者性と緊急性という2つの軸を中心に考えていけば、不謹慎と非難されることを過度に怖れる理由はないでしょう。次は当事者性と緊急性の観点から、自粛すべきと判断した時、実際にどうするか見ていきましょう。3. 企業事例から見る、緊急事態発生時のSNSアカウントの具体的な対応方法

- A. 非常時の運用に切り替える
- B. 投稿を中止する
緊急事態発生時の企業SNSアカウントの投稿例
先ほどご紹介した「A」にあたる、非常時の運用をしている企業アカウントの投稿例をご紹介します。シャープ
なお念のため、災害時の家電の取り扱い注意点です
・破損した太陽光パネルには触らない ・冠水した製品には通電しない ・停電時は家電のコンセントを抜く https://t.co/IykwUICsBl — SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2018年6月18日
タニタ
ニュース映像が視聴できます。余震にお気をつけください。
大阪で震度6弱の地震|NHK NEWS WEB https://t.co/t1Jzoe8kSi — 株式会社タニタ(涼しい) (@TANITAofficial) 2018年6月18日
au
災害用伝言板・災害用音声お届けサービスの提供を実施しております。下記のURLよりご確認、ご利用ください。 災害用伝言板 → https://t.co/4S1hwvKU2w 災害用音声お届けサービス → https://t.co/10z3uReREq
— au (@au_official) 2018年6月17日
NTTドコモ
災害用音声お届けサービスと災害用伝言板を提供中です。 PC/スマホ⇒https://t.co/JvXmTewDqr iモード⇒https://t.co/cawFJwesVt
— NTTドコモ (@docomo) 2018年6月17日
ソフトバンク
自社の商品・サービスにまつわる震災時の注意喚起を行うというのは、とても真摯な態度です。ウェブサイトに載せている場合もあるでしょうから、そのリンクシェアでもいいでしょう。 また、自社と直接関係なくても、有益と思われる情報をRTしていることもあります。 このような姿勢こそが多くの企業で打ち出している社会貢献という価値を体現していると言えるでしょう(デマを拡散しないように、オーソライズされた情報をシェアするように気をつけましょう)。大阪府北部を震源とする地震に伴い、災害用伝言板/災害用音声お届けサービスを提供しています。https://t.co/x2OEhdB04h
— SoftBank (@SoftBank) 2018年6月18日
4. ガイアックス 重枝義樹の過去記事
・ビジネスチャンスは今。進行するダークソーシャル化と対応の仕方 ・5分でわかるソーシャルメディアマーケティング ・重枝のコラムが毎週読める限定Facebookページのご案内この記事を書いた人:重枝義樹
