8/29出版『僕らはSNSでモノを買う』の10章「ULSSASを回すポイント① スモール・ストロング・タイの法則」公開  #ウルサス本

2019/08/28


はじめまして。8/29に‪『僕らはSNSでモノを買う』‬を出版します、飯髙悠太(@yutaiitaka)です。‬


実はガイアックスソーシャルメディアラボには3度インタビューを受けています。



  1. SNSは個人で使い倒す!ferret編集長飯髙氏に学ぶソーシャル活用術

  2. 【マーケター対談】手法論ではない。思想・哲学ありきのソーシャルメディア活用法とは

  3. 「SNSマーケティングの可能性を感じて」、ホットリンク飯髙氏が語る支援会社の役目


3のインタビューで企業のSNS活用の可能性と課題をお話しいていますが、まだまだ本質的なSNS活用の事例が少ないと感じています。


それはなぜでしょうか?


シンプルに、SNSマーケティングをしよう!ということが目的になっているからです。本来マーケティングといえば多くの手法があります。それは全て手段であり、目的ではないのです。


今の消費者はgoogleで検索をして物を買う人もいれば、Twitterで商品を知って、Instagramで購入者の感想を見て、Webで購入する又は店頭で購入するなど様々なのです。


つまり、手段一つ一つだけで最適化をしていいのでしょうか?


本著ではSNS活用でしっかり売上をあげていこう。そしてSNSの考えかたなどをお伝えしたいと思っています。今回は10章「ULSSASを回すポイント① スモール・ストロング・タイの法則」の全文を公開します。


※編集部注:本記事は飯髙悠太 氏より寄稿いただいています※


【寄稿】10章 ULSSASを回すポイント① スモール・ストロング・タイの法則



登場人物



本文


飯髙

さっき話したULSSASだけど、このサイクルを回すポイントは2つあるんだよね


浅野

聞きたいです


飯髙

ひとつめは、フォロワーの質を変えること。つまり、質の高いフォロワーを確保すること


木下

質の高いフォロワーって、どんなフォロワーですか?


飯髙

ちょっと想像してみて。2人は、どんなフォロワーがいたら、UGCが増えると思う?


浅野

……インフルエンサー、とか?


飯髙

おー。インフルエンサー! これがいわゆる、芸能人やその道のプロとかのフォロワーが多いインフルエンサーという意味なら、不正解。でも、〝企業にとってのインフルエンサー〟という意味なら、大正解


木下

企業にとってのインフルエンサー……?


飯髙

そう。じゃあ、ここでひとつ、浅野くんに質問。浅野くんが、ツイッターの公式アカウントを運用しはじめたら、次のページの図のどのアカウントにフォロワーになってもらいたい?



①は、フォローしている人数よりもフォロワーが多いアカウント。②は、フォロワーよりもフォローが多いアカウント。そして、③はフォローもフォロワーも少ないけれど、ツイートが多いアカウント。さあ、企業アカウントが集めるべきフォロワーは、どのアカウントでしょう?


浅野

えっと、①はフォロワーが1万人もいるので、いわゆるインフルエンサーに近い、拡散力のある人ですよね


飯髙

そうだね。インフルエンサーの定義はいろいろだけど、有名芸能人のように何十万人もフォロワーがいる人は稀だから、この場合インフルエンサー(もしくはマイクロインフルエンサー)と呼んでいいと思う


浅野

でも、さっきの飯髙さんの口ぶりだと、①は不正解ってことですよね。どうしてだろう。フォロワーが多いほうが、情報がいろんな人に伝わるんじゃないかと思うんだけど……


飯髙

フォロワーが多い、いわゆるインフルエンサーは、浅野くんの会社の商品のUGCを増やしてくれる人だろうか?


浅野

……あ!


飯髙

気づいた?


浅野

飯髙さん、先ほど〝企業にとってのインフルエンサー〟と言いましたよね?


飯髙

お、いい線きたー


浅野

企業にとってのインフルエンサーとは……。つまり、うちの商品のUGCを増やしてくれる人だ!


飯髙

ということは?


浅野

ひょっとして……


「どのアカウントが企業にとってのインフルエンサーか」


浅野くんへの質問に答えるためには、まずツイッターのユーザー同士が、どんな関係でつながっているSNSなのかを知る必要があります。


SNSには、


① プライベートグラフで使われやすいSNS

② ソーシャルグラフで使われやすいSNS

③ インタレストグラフで使われやすいSNS


があります。


①のプライベートグラフというのは、LINEのような、家族やごく親しい友人などのプライベートなつながり。


②のソーシャルグラフは、フェイスブックなど、学校や職場、サークルなどの人間関係のようなつながり。


そして、③のインタレストグラフは趣味や興味でつながる関係です。


ツイッターは一見、興味関心でつながるインタレストグラフのアカウントが多いと思われがちですが、実際には、フォロー30人、フォロワー30人のような、プライベートグラフでつながっているアカウントが圧倒的に多いのが特徴です。


次に多いのがソーシャルグラフ。ツイッターのユーザーの9割が、だいたいこのどちらかに分類されます。


だいたい、フォローしている人数が150人くらいまでであればプライベートグラフとして利用していて、500人くらいまでであればソーシャルグラフとして利用しているという目安になります。これは、ご自身のプライベートな友人の人数、仕事相手の人数を想像するとイメージしやすいと思います。


フォロワーの数のほうに目を向けてみましょう。フォロワーが300人以上いる人は、わずか10パーセント程度。芸能人などが典型的ですが、300人以上のフォロワーがいるユーザーは、リアルな場で面識のない人にフォローされていると考えられます。つまり、趣味や興味関心(インタレストグラフ)でフォローされている人たちです。



飯髙

では、今度は木下さんに質問です。木下さんは、友達からLINEにメッセージがきたとき、既読スルーしますか


木下

まず、しないですね


飯髙

ですよね。それは、LINEをプライベートグラフで使っているからです。ほとんどのメンバーが、家族や仲のよい友人だとしたら、基本的には、返事をしますよね。これは、主にプライベートグラフで利用されているツイッターでも同様なんです。仲のいい友人同士で使っているとしたら、「いいね!」や「リツイート」が多くなるはずですよね


ツイッターが、ほぼプライベートグラフで使われていることを裏付けるもうひとつの資料を紹介しましょう。


左の表(編集部注:下の表)は、ツイッターのユーザーがどんな人にメンション(コメント)を送っているかを分析したものです。



北海道の人は北海道の人に、岩手県の人は岩手県の人にコメントを送っている回数が一番多いことがわかります。


都道府県をまたいだとしても、隣の県、近隣の県が上位にくることが顕著ですよね。


このデータが示す事実は、ツイッターは物理的に近い距離の人同士がつながっている。つまり、プライベートグラフやソーシャルグラフでつながっている人が圧倒的に多いということです。


多くの人は、ツイッターでの大きな拡散やバズは、インフルエンサーによって生まれていると思っています。1万リツイートされたツイートには、必ずインフルエンサーがからんでいると思っているかもしれません。



けれども、実際のところ、情報は鎖のようにつながって拡散されます。


これは、たとえるならば、ある学校で噂が広まるときの広まり方とほぼ同じです。まずは●●学校の3年A組からB組、C組に噂が広まり、その中の誰かが別の学校である▲▲学校の人と友達で、噂が▲▲学校にも広がっていくのと同じです。


ネットの情報は時間と距離を超えるといわれますが、ツイッターに関しては、そのほとんどが、距離の近いリアルな知り合いに連鎖していくことで情報が伝播していくといえます。



このような、リアルな関係に近い濃密なつながりのことを、僕は「スモール・ストロング・タイ(小さくて強いつながり)」と名付けました。


このスモール・ストロング・タイで拡散される情報は、ほかの情報よりも優先度が高く、信頼度も高いといえます。


つまり、このスモール・ストロング・タイの連鎖でUGCが広まると、それはほかの情報よりもずっと信頼され、購買につながる率も高くなります。


飯髙

では、ここでもう一度質問します。企業にとっての、いいフォロワーとはどんなフォロワーでしょうか?


浅野

決して、有名人や影響力のあるインフルエンサーではない!


木下

届けたい情報を、強い絆がある相手に届けてくれるユーザーです!


飯髙

そのとおり!


***


そして、そういうユーザーは、

・プライベートグラフかソーシャルグラフでツイッターをつかっている人

・ツイート数の多い人

になります。


飯髙

先ほどの、どの人がフォロワーになってくれたらいいかという質問の答えは、もうわかりましたよね


浅野

おそらく、プライベートグラフでツイッターを使っていると思われる③の人ですね。しかも、ツイート数が多いということは、躊躇なくリツイートをしてくれる人だと思われます


飯髙

正解です



この3人のユーザーの場合、①は企業アカウントをフォローしてこないでしょうし、情報を拡散してもくれないでしょう。


②はフォローしている人が多すぎて、仮にフォローしてくれたとしても、企業の情報は一瞬でタイムラインから流れてしまいます。


③のユーザーは、スモール・ストロング・タイの関係のフォロワーを抱えているユーザーと考えられます。しかも、ツイート数が多いから、情報拡散もしてくれそうです。


もし、自分のアカウントでつぶやいたツイートを③の人がリツイートしてくれたのを見かけたり、③の人が自分の会社の商品について触れてくれたりしたら、すぐに公式アカウントでリツイートして、フォローしましょう。


フォロワー数が少ないユーザーが企業アカウントにフォローされたり、リツイートされたりする経験は少ないはずです。


フォローをすれば多くの場合はフォロー返ししてくれますし、そのユーザーが自社商品について書いてくれたツイートを公式アカウントでリツイートすれば、今後もその商品についてのツイートを増やそうというモチベーションを上げることになります。


まとめると、企業の公式アカウントは、

① プライベートグラフかソーシャルグラフでツイッターをつかっている人 (具体的にはフォロー数が30人から300人台)

② ツイート数の多い人 (具体的には1万ツイート以上)


を優先的にフォローして相互関係を築くといいといえます。


これは余談ですが、ある記者さんが実際にバズったツイートについて、分析して報告してくれたことがありました。


その方が分析してくれたのは、そのときたまたま1・9万リツイートされていたバズツイートです。


このツイートをリツイートしたアカウントをランダムに100個選んで分析したところ、①のパターン(フォロー数が30〜399人)に該当するアカウントは49、②のパターン(ツイートが1万以上)に該当するアカウントは74あり、どちらかに該当するアカウントは実に100個中94個だったそうです。


公式アカウントの運用において、本当に大事なユーザーがどんなユーザーか、おわかりいただけたでしょうか。


10章 まとめ



  • ULSSASを回すためには質のいいフォロワーを獲得するとよい。

  • 一般的なインフルエンサー(リツイートされやすい人)と、企業にとってのインフルエンサー(リツイートしてくれる人)は別物。

  • バズはインフルエンサーによってではなく、スモール・ストロング・タイによって生まれる。

  • 企業にとってのインフルエンサー(よいフォロワー)とは、

    • ① プライベートグラフかソーシャルグラフでツイッターを使っている人か、

    • ② ツイート数の多い人。




 


終わりに


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