知らないとヤバい「バズ」と「バイラル」の違い。マーケターが押さえておきたい概念をプロが徹底解説。【書き起こし】

2020/04/24


株式会社ガイアックスの重枝です。今回は「バズ」と「バイラル」の意味の違いについてお話しします。


「バズる」と「バイラルする」という言葉は、日本語だとほぼ同義で使われています。どちらも一気に話題化して拡散して炎上する、というような状態を指しますが、ポジティブな炎上のことを「バズる」と言うことが多いようです。多くの人は「バイラル」も「バズる」と同じような意味で使っています。


しかし、バズバイラルはもともと全然違う意味の言葉です。この「バズ」と「バイラル」の違いを峻別できれば、マーケティングにも役に立ちます。


※本記事は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルで配信した内容を書き起こしてまとめたものです。


1. 「バズマーケティング」と「バイラルマーケティング」の違い


日本語では語感が似ているから混同されている



「バズ」と「バイラル」、つまりバズマーケティングとバイラルマーケティングは、英語でははっきりと違うものとして使い分けられています。


まず「バイラル(Viral)は英語ではもともとVirus、つまりウイルスです。ウイルスが感染するように、話題が広がっていく様子を表します。


一方で「バズ(Buzz)というのは、ハチがブーンというような虫の羽音のことを指しています。


日本語だとバイラルバズで両方「」から始まり、語感が似ているため混同されがちですが、英語では「V」と「B」から始まる言葉なので、まったく違って聞こえます。


バイラルは、ウイルスのように一気に感染して広がり、すぐに収束するというイメージで分かりやすいと思います。対してバズという言葉は、皆が集まってワイワイガヤガヤと話している感じを、ミツバチが集まって羽音がブーンと鳴っている様子になぞらえて生まれた言葉です。


バズという言葉には一気に拡散するという意味は抜けていて、ただ多くの人の間で話題になっている、という意味で使われます。


話題が継続することがマーケティングでは重要



この「バズ」と「バイラル」の違いは重要です。バズの場合はバイラルと異なり、皆が話題にして長く継続する場合があります。ウイルスのように感染して広がってシューッと収束していくのではなく、話題が継続するということです。


この継続するということが、マーケティングでは重要になります。人々が新しい認知を獲得する、つまり新しい商品の名前を知ったりブランドの名前を知ったり、サービスの名前を知ってそれを消費したりという状態になるためには、何回もその情報に接触することが重要です。


いわゆる単純接触効果とかザイアンス効果などと呼ばれるようなものです。一度だけ会ったものは覚えない、二度会ったものはちょっと覚える、三度会ったものはちゃんと覚える、四度あったら確実に覚える、という感じで、複数回接触するものを人間は記憶します。


記憶したものに関して、人間は初めてちゃんと認識できるようになります。人間は自分の記憶にないものはきちんと認識できませんが、記憶にあると認識できるのです。


記憶に残すためには何度も情報に接触させる必要がある



たとえばコンビニへ行って店内を見渡すと、商品点数は1店舗あたり3,000点ほどあるといわれています。これは商品の個数ではなく銘柄だけで3,000点です。


しかし普通はその3,000点を認識せず、自分が目的とするものや、自分が知っているもの、知っているブランドしか見ません。それはせいぜい10ブランドくらいで、残りは目に入りません。


お店へ行った時に目に入るようにするためには記憶に残ることが重要で、「これ知ってる!」と思わないと見てもらえないということになります。記憶に残すためには何度も同じ情報に接触させる必要があるのです。


それに関してはバイラルは一瞬で拡散して一瞬で終わりがちなので、接触回数が非常に少なくなってしまいます。




たとえば、Twitterに「みんなの忘れたニュースbot」というアカウントがあり、1ヶ月前にバイラルした話題が収束してから約30日後に「こんな話題ありましたね」というようなことをTweetしています。これで最近の投稿を見てみると、「世間が第三次世界大戦について話さなくなって31日が経ちました」という投稿があります。


これがどういうことかというと、ちょうど今2020年2月20日ですが、約1ヶ月前にイランの軍事組織の司令官がアメリカによって暗殺されたというニュースが出回りました。それに対してイランが報復するという話があり、世間で「うわ、まるで第三次世界大戦が始まる前夜のようだ」という感じで話題となりました。


この配信が始まる頃はなおさらでしょうが、イランで何が起こったかというのはもう1ヶ月経ったら忘れているわけです。第三次世界大戦が始まるかもしれない、怖いと思っていたことすら、忘れてしまっています。


人間の記憶はそんなものなので、どんなに一時的に拡散して大盛り上がりした話題でも、一回しか接触してないと覚えていないのです。


継続的に話題になるバズこそ、購買につながる


その一方で、たとえば私の仲間内では今「のど飴」についての話題が流行っていて、とあるのど飴のブランドが頻繁に話題に上がってきています。私はそれを知らなかったのですが、何回も聞くうちにそのブランド名を覚えて、つい買ってしまいました。


このように広く拡散するわけではなくても、自分の所属するクラスタやコミュニティで話題にされていることに何回も接触すると記憶するわけです。


また、テレビやTwitterで知らない人が言っていたわけではなく、自分の知ってる周りの人が言っていて、しかも何回も口にしている話題というのは、自分にとって重要な情報のようにも思えてきます。


まさにこの点が、バイラルはマーケティングにはあまり役立ちませんが、バズ継続的に話題になって何回も接触するから購買に繋がるような情報発信になり得るということになります。


2. 「バイラル」よりも「バズ」を作ることを意識する


所属するクラスタやコミュニティごとのバズが重要



ポイントとなるのは、バズというのはバイラルのように世間一般に拡散する話題にはなりにくいということです。


とあるクラスタで継続的に話すような話題で、その盛り上がりが3ヶ月、4ヶ月と続いているのに、別のクラスタではそのバズはないという状態が起こります。つまり、自分の所属する各コミュニティで流行っている話題、継続的に流行っている話題というのがバズということになります。


各クラスタや各コミュニティごとにバズってもらうということが、実はソーシャルメディアマーケティングでは非常に重要です。


そうしないと、モノというのはなかなか売れません。一時的に拡散するバイラルで売れることもありますが、「みんなの忘れたニュースbot」で流す話題のように一瞬で忘れられてしまうのです。


商品を売りたいターゲットのなかで話題にしてもらう


バイラルを起こそう、一気に拡散させよう、バズらせよう、とよく言いますが、そのようなマーケティングはあまり効果がありません。


それよりは、自分の商品を売りたいターゲットが存在するクラスタで話題になりやすいような情報を作ります。そしてそれをクラスタに流して、ブーンと羽音が鳴っているように継続的に話題にしてもらうことが重要になってきています。


これがバイラルマーケティングとバズマーケティングの違いです。話題にしてもらうとは言っても一筋縄ではなく、バイラルとバズの2つの方法があり、どちらかというとバイラルよりはバズを作っていった方がいいというお話でした。


3. 最後に



本記事の内容は「ガイアックス ソーシャルメディアラボ」の公式YouTubeチャンネルでも配信しています。


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