2015年は匿名・クローズド型ソーシャルメディアに注目!?「SNS疲れ」のユーザーをどれだけ囲い込めるか。
2015/01/09
みなさま、明けましておめでとうございます。
ソーシャルメディアラボの渕上です。
今年もソーシャルメディアにまつわる様々な幅広い情報にアンテナを張り、わかりやすく有益な情報を発信していきますので、何卒よろしくお願いいたします。
- ■目次
匿名型&クローズド型SNS、Webサービス
1.2015年のトレンド予測を深堀り
2.実名制に疲れたユーザーが向かう先は、匿名性?
3.匿名+クローズド型ソーシャルメディア
4.匿名+オープン型ソーシャルメディア
5.実名+クローズド型ソーシャルメディア
6.総括
2015年のトレンド予測を深堀り
さてソーシャルメディアラボでは、昨年最後にアップした以下の記事で、2015年のソーシャルメディア界隈トレンド予測を試みました。
2014年のソーシャルメディアに関する20のニュースまとめ。今年の振り返り&来年のキーワードを分析!
具体的にはこの5つですね。
- 1.SNS経由の「決済」
2.引き続き重要になる「動画コンテンツ」
3.「一点特化型」の新興SNSの登場
4.「Instagram」の躍進
5.「コミュニティ」の重要性
トレンド予測に先駆けて、一点特化型メディアのひとつの形である「バーティカルメディア」についての記事はすでにお届けしています。
2015年躍進するメディアは『特化型』か!?「iemo」「クックパッド」などから見るバーティカルメディア成功の鍵
そこで今回は、じわじわと人気となってきた「匿名」「クローズド」タイプのソーシャルメディア・Webサービスについてまとめてみました。こちらもそれぞれ「一点特化型」のひとつの形ですね。
実名制に疲れたユーザーが向かう先は、匿名性?
実名制SNSの代表といえばFacebookですが、そもそも日本に浸透したSNSは、匿名性を活かしたmixiが最初でした。
実は両サービス共に設立されたのは2004年2月。といってもFacebookの日本語版が発表されたのが2008年5月なので、日本におけるSNSの流行は「匿名」からスタートしたと言えるでしょう。
実名制が馴染まないと言われていた日本でもFacebookが普及し、2014年には日本でのMAUは2100万人にまで増えました。mixiの衰退と併せて考えると、匿名性→実名制へのスライドが起こったと考えるのが自然かもしれません。
しかしその一方で「SNS疲れ」という言葉を頻繁に耳にするようにもなりました。語義としては、
SNSを日常的に利用することにより、発信した情報に対する反応に過敏になりすぎたり、友人の発言に返信することに義務感を感じたりすることで疲れを誘発すること
となるでしょうか。
まさに現代病のひとつと言っても過言ではないでしょう。
必ずしも実名制SNSだからというわけではなく、例えば「mixi疲れ」という言葉も存在するとはいえ、実名制であることが過剰に疲れを誘発しているのは確か。
そのためか、アンチFacebookを謳うソーシャルメディアやWebサービスに関心が集まってきているんですね。
疲れの原因とされているのは主に2つ、「実名制」と「オープン性」です。つまり、
- ・実名制→匿名性への移行(逆行、回帰)
・オープン→クローズドへの移行
・その両方
といった匿名型の、もしくはつながる人を限定したソーシャルメディア・Webサービスがじわじわと伸びてくるのではないかと、ソーシャルメディアラボでは予測します。
ソーシャルメディアを全く使わないわけにもいかない程に利用が一般的となった現在、これらのサービスはいわゆるSNS疲れに効果がありそうですよね。
それぞれの代表的なサービスを元に紹介します。
匿名+クローズド型ソーシャルメディア
Rumor(ルーマー)
公開日:2014年9月8日
運営者:DeNA
完全匿名で投稿やコメントができるメッセージアプリですが、面白いのはすでにFacebookやTwitterでつながっている人同士が匿名でつながるところ。
つまり、友だちの誰かが発信した情報なのは確実だけどそれが誰かはわからないんですね。だから安心して本音がつぶやけますし、Facebook上では上下関係があっても、立場を気にしないで発信することが可能です。
この塩梅が実名制での発信に疲れた人たちにマッチしたのか、勢いよくユーザーを増やしているようです。
主な利用法としては、Facebookには書き込めない取引先に対する愚痴や、口にだすと引かれるような本音をぶちまける他に、あえて飲み会や合コンなどで同じハッシュタグを使い、本音暴露をするのも面白そうです(投稿にハッシュタグをつけることで、誰が発信したかはわからないままにリアルなコメントを集積することができます)。
rumorを利用しての街コンも実際に開催されるので、2015年はrumorに要注目かもしれません!
週刊プレイボーイ × Rumor × 街コンジャパン ホンネで本気の出会い!?匿名投稿アプリ「Rumor(ルーマー)」を利用した街コンイベントを開催
匿名+オープン型ソーシャルメディア
Ello(エロー)
公開日:2014年3月
運営者:Ello.co(公益法人)
アンチFacebookの旗手として産声をあげたSNS・Ello。昨年3月にリリースされた際は大して話題にならなかったものの、9月頃から爆発的にユーザーを増やしています。
実名制を柱とするFacebookは、日常的に二つ名や複数のペルソナを使って生活している人にも実名登録を迫っていることや、LGBTユーザーの性別登録の厳しさもあって、それらのユーザーが一気にElloへと流れ込んでいるのではという話も出ているようですね。
Facebook Targeting Drag Queens, Forcing Them To Use Their Legal Names
Elloは匿名利用可能で広告も一切なく、ユーザー情報は商業利用しないことを強く謳っています。それに信憑性を持たせるためか事業登記を「公益法人」で行なっています。
果たしてFacebookの牙城を崩し得る存在となれるのか?こちらも要注目ですね。
匿名+オープン型Webサービス
ブラッガーツ
公開日:2014年11月10日
運営者:ブラッガーツ運営チーム
braggart(ブラッガーツ)とは英語で「自慢する」という意味を持ちます。その名の通り、どうしてもつぶやきたい自慢を匿名で思いっきり吐き出すSNSですね。
アカウント登録も必要なく、完全に匿名で自慢ができます。Facebookなどの実名SNSで自慢しても反感を買うだけですし、どうしても言いたい自慢があるならこういった場を借りるのはありかもしれません。
愚痴や自慢の発露には匿名が向いていますね。
doyo(どーよ?)
公開日:2014年12月16日
運営者:SODA.inc
言うならば、スマホ世代向けに特化した2ちゃんねるですね。SNSというより匿名掲示板と呼んだ方がしっくりきます。
完全匿名にすることも可能ですし、ハンドルネーム・年齢・性別を設定することも可能。基本的には「つながらないコミュニティ」をコンセプトにしているため、他ユーザーとつながる機能もありません。
アプリ版の2ちゃんねるが目指す先のdoyo。長らく2ちゃんねるが廃れずに続いているのは、匿名でつながらずに発信できるこういった場の需要があるからなのでしょうね。
実名+クローズド型ソーシャルメディア
Picsee(ピクシー)
公開日:2014年12月24日
運営者:ディヴィデュアル
一言で説明するなら写真共有アプリなんですが、共有する写真を選んでいくのではなく、撮った写真が次々と共有したフォルダに保存されていく仕組み。
なので今この瞬間、何に心を動かされたかまで共有することができます。しかもその写真にコメントをつけることもできるので、その想い出はさらに深くなります。
一緒に旅行に行く仲間同士で、同じライブを観に行く人同士で、家族だけが見ることのできるフォルダをつくって…使い方は様々。これは共有の考え方を、ひとつ上のレベルに引き上げるアプリとなるかもしれません。
ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里さんが1年ほどモニタしていたくらいなので、かなり有望なコンセプトを持ったSNSなんじゃないでしょうか。
参考:写真でコミュニケーションする新感覚のアプリ「Picsee」が面白くて楽しそうだよ
実名+クローズド型Webサービス
SENSEI NOTE
公開日:2014年3月24日
運営者:株式会社LOUPE
小中高の先生専用Webサービス・SENSEI NOTE。全国の小中高の先生および教員志望の学生のみが登録可能な、限りなくクローズドなWebサービスですね。
元々は「先生同士が互いの知恵を持ち寄り共有すること」を目的にしていましたが、次第に「先生同士がつながること」に意味が出てきて、先生が集まるコミュニティのような存在となりました。教師という職業柄なかなか気軽に悩み相談ができず、一般の目を気にしないで遠慮なく質問できるというのは、かなり強いコンセプトですよね。
こういった職種・ジャンル別に特化したSNSが2015年はどんどん出てくるんじゃないかなと予測します。
MedPeer(メドピア)
公開日:2003年
運営者:メドピア株式会社
上記のsensei noteと同様、こちらは医師専用のクローズドなWebサービスですね。運営者は現役の臨床医で、症例や薬剤ごとに医師同士による活発な情報共有が行われています。
利用登録者は7万人。これは日本の医師の4分の1が登録していることになりますね。こちらもますますユーザーを増やしていきそうです。
総括
いかがでしたでしょうか。
匿名性やクローズド性を持ったいろんなサービスが次々と産まれていることがわかるかと思います。
2015年は、いかに「SNS疲れ」に悩まされているユーザーを拾うことのできるサービスを産み出せるかがポイントになってくるのではないでしょうか。
果たしてFacebookが持つ実名制のパワーがいつまで持つのか。そしてElloなどの匿名性を活かしたサービスの勇躍が、Facebookの牙城を揺るがす試金石となるのか。2015年の動きが楽しみですね。
以上、『2015年は匿名・クローズド型ソーシャルメディアに注目!?「SNS疲れ」のユーザーをどれだけ囲い込めるか。』でした。
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この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部