「どんなアプリ使ってる?」 米・デューク大学に通う、現役大学生17人に聞いてみた

2015/12/21

samune


ミレニアル世代」と呼ばれる1980年代から2000年代初頭に生まれた米国の10代、20代がトレンドの牽引役として企業から熱い視線を浴びている。


ミレニアル世代に注目しているのは、アプリなどを開発するIT企業なども同様だ。こうした関心を受け、近年幾多もの企業からミレニアルのモバイル利用に関する調査が発表されてきた。


しかし、ミレニアル世代のアプリ利用に関する量的データは多数発表されているものの、実際に彼らがアプリをどのように利用しているかなどといった、「生の声」はあまり世に出ていない


そんな「生の声」を集めるべく、今回は米国東海岸に位置するデューク大学(※1)にて、自身も「ミレニアル世代」にあたる筆者が同校生徒17人に取材を実施した。取材では、「もっとも頻繁に使うアプリ」を5つほど挙げてもらい、各アプリの利用方法について詳しく話を聞いてみた。


※1…デューク大学は、ノースカロライナ州ダーラムに本部を置くアメリカ合衆国の私立大学で、USNewsのランキングの2015年版では、大学部門で全米第8位、ビジネススクール部門で全米13位、ロースクール部門で全米8位、メディカルスクール部門で全米8位、バイオ工学部門で全米4位にランキングされている。



■目次


1.「若者のFacebook離れ」と報道されるも、堂々一位のFacebook


2.二位のSnapchatは、スタンダードな機能が人気


3.三位は更新の心理的ハードルが低いInstagram


4.四位は政治との相性が良いTwitter


5.メッセージアプリや音楽アプリに見る、プリインストールの強さ


6.ニュースを読むツールとして、意外にも健在のパソコン



■調査結果


言及の頻度


1位 Facebook 13人


2位 Snapchat 10人


3位 Instagram 7人


4位 Twitter 6人


5位 GroupMe、Spotify 5人


他のアプリ……Yik Yak(4人)、Facebookメッセンジャー(3人)、Uber(2人)、SoundCloud(2人)、Tumblr(1人)、ESPN(1人)、Buzzfeed(1人)、2048(1人)など


1.「若者のFacebook離れ」と報道されるも、堂々一位のFacebook利用


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取材した17人のうち、13人が「よく使う」と言及したのはFacebookアプリ。昨年、10代が「Facebook離れ」を起こしていると発表した各社の市場調査結果が話題になったが、大学生のあいだではいまだに日常的に使われているようだ。


しかし、Facebookに「投稿する」としたのは約半数(13人中6人)。Instagramなど、他のSNSよりも投稿の心理的ハードルが高い、との声が聞かれた。


「投稿する」と答えた生徒のほとんどが写真の投稿や、記事の共有を投稿することが多いと話した。Facebookを利用する目的には、友人とつながること以外にも、「校内のイベントのチェック(Facebookを通じて通知が来る)」「人気アカウントのコンテンツをフォローするため」「友人が共有する記事を読むためにFacebookを使用するため」などの声が多かった。


生徒の声


”友だちの近況と、時事をチェックすることが主な用途かな…(中略)…他の大学で起こっている出来事をチェックするのにも重宝してる。あとは、ときどき流れてくるおもしろい投稿を見ている”


”投稿はまったくしない。他の人の投稿を読んだり、タグ付け(他の人の投稿に紐付けされること)されたときに通知をチェックするくらい”


”高校ではFacebookが廃れちゃったから、大学に入ってからもっと投稿するようになった…(中略)…自分の所属している生徒団体について投稿している。ほとんどの生徒がFacebookを持っているからね”


”Facebookは写真を全部載せることができるので役に立つ。あとになって、「そういえば、Facebookでアルバム作ったな」って写真が探しやすい。…(中略)…Instagramはどちらかというと日常についての投稿。Facebookはどちらかというと「旅行に行ってきました、これがその写真です」という感じ”


2.二位のSnapchatは、スタンダードな機能が人気


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Facebookに続き、言及が多かったのは写真共有アプリのSnapchat。スマホで撮った写真にキャプションや書き込みを加えて友人に送る機能で若年層に人気のアプリだ。写真を送る際にタイマーを設定するため、受け手が写真を開封してから10秒以内に写真が削除されてしまうことを特徴としている。


ここ数年でSnapchatの機能は多様化してきており、写真や動画を友人全員に公開する機能である「マイストーリー」機能や、大手ニュースサイトのコンテンツを広告も交えて配信する「ディスカバー」機能などが加えられている。


実際に生徒たちにSnapchatの利用方法を聞いてみると、通常の写真送信機能は全員使っており、ほとんどがマイストーリーを投稿するとのことだった(10人中7人)。


マイストーリーの投稿はしないが、他の人のマイストーリーを閲覧すると答える学生も多く、Facebookほどではないにしろ、大人数に向けて投稿することに対する心理的ハードルが見てとれた。


生徒の声


”通常の機能とマイストーリー機能は半分ずつくらいの割合で使う”


”彼氏や姉妹、学校の友だちに写真を送るときに使う。マイストーリーは投稿しないけど、他の人が投稿したものをよく見ているよ”


(ストーリー機能を使うか聞かれて)”めちゃくちゃ酔ってるときくらいかな”


”Snapchatの美点はユーモアだと思うんだよね。その場のノリでくだらない、おもしろいことをして(投稿することができる)。YouTubeのビデオをクリックするのとは違って、制作物を観るというより、短いビデオをクリックすると再生して、あっという間に終わるって感じ”


3.三位は更新の心理的ハードルが低いInstagram


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FacebookやInstagramに続き、言及が多かったのは画像・動画共有SNSのInstagram。友人とつながることが目的だと答えた生徒が多い点は、Facebookなどと共通している。


言及の回数はFacebookなどよりも少なかったものの、言及した生徒からは「Facebookより頻繁に投稿する」との声が挙がった。


さらに、Facebookなど他のSNSに比べると「芸能人をフォローしている」と答える人が多かった点、Instagramを言及した女子生徒が男子生徒より明白に多かった点などが特徴的だった。


生徒の声


”Instagramに一番投稿してる”


”Instagramは、フィルターや画像加工機能が優秀だから投稿している”


(誰をフォローしているかという質問に対し)”『アメリカズ・ネクスト・トップモデル』(人気オーディション番組)に出演している男性が聴覚障害者を支援していて、彼のように興味深いミッションを持っている人はフォローするようにしている”


”たくさん投稿する時期もあるし、全然しない時期もある”


4.四位は政治との相性が良いTwitter


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Twitterに言及したのは17人中6人。友人とつながることを目的に使う人が多い点は他のSNSと共通していたが、政治や時事に関連する情報を得るためにTwitterを利用すると答える頻度が他のSNSよりも多かった。


昨年、アフリカ系アメリカ人に対する警官の暴力に抗議するハッシュタグ「#blacklivesmatter」がTwitter上で若年層を中心に流行したことなどから、Twitterが学生の政治活動のプラットフォームになることは知られていた。今回の取材結果は、その洞察を裏付けるものであると言えそうだ。


生徒の声


”政治、時事、エンタメやスポーツに関連する情報を一つのニュースフィード上で得ることができるから、それが好き”


”投稿はしない。他の人のツイートを見ている…(中略)…(誰をフォローしているかという質問に対し)友だちをフォローしている”


(Twitterで何を見るか聞かれて)”社会正義に関する政治運動や、美術、政治についてかな。あとは国際ニュース全般だね”


”政治活動に参加していて、SNS上のプレゼンスを、社会をよりよくするために使っているような人や、活動家をたくさんフォローしているよ…(中略)…団体によるTwitterカウントもたくさんフォローしているけれど、そのほとんどが政治活動関連だよ”


5.メッセージアプリや音楽アプリに見る、プリインストールの強さ


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一般的に、メッセージアプリはユーザーの使用頻度が他のアプリに比べ高いと言われる。しかし、今回の取材でメッセージアプリを「頻繁に使うアプリ」として挙げる生徒はほとんどいなかった。


17人中5人が「頻繁に使う」とした「GroupMe」は、複数人でのメッセージのやり取りに特化したアプリだ。しかし、GroupMeを「メーリングリストの代替のようなもの」とする声があったように、GroupMeを一対一のコミュニケーションに利用することは稀らしい。


そこで、一対一のコミュニケーションに何を使うか詳しく聞いてみたところ、テキストメールやiMessageなど、スマートフォンの通信機能やプリインストールアプリを利用するという生徒が多かった。


Facebookメッセンジャーを頻繁に使うと答えた生徒も、「海外の友人との連絡に使う」「(自身がiPhoneユーザーであるため)Androidユーザーに連絡するときに使う」などと、テキストメールやiMessageを補完するように使うことが多いという。


音楽アプリについての言及も少なかったために詳しく聞いてみたところ、こちらもプリインストールされているものを使うと話す生徒が多かった。唯一外部のアプリで健闘しているのがストリーミングサービスのSpotifyで、17人中5人が頻繁に使うアプリとして挙げている。


こうしたメッセージアプリや音楽アプリの使用傾向から読み取れるのは、「やはりプリインストールは有利」ということなのかもしれない。


6.ニュースを読むツールとして、意外にも健在のパソコン


様々なメディア団体の調査から、若年層はモバイルやSNSを通じてニュースを読むことが明らかになっているという。事実、スマートフォン上でニュースを読む生徒の多くがSNSで共有された記事を読むと答えたが、モバイル上でニュースを読むと答えた生徒は、今回取材した生徒のうち約半数のみだった。


スマートフォン上でニュースを読む生徒の場合でも、ニュースアプリを日常的に使う傾向はほとんどの生徒にないようだった。特定の媒体のニュースアプリを使っている生徒は3人。


「アプリをダウンロードすると、それだけで余計なものが増える」と話す生徒もいたように、どうしても必要なアプリでない限り、ダウンロードしたくない、という心理がはたらくのかもしれない。


ここまで紹介した学生たちのスマートフォンアプリ利用の傾向は、大手団体の調査結果で明らかになるものと異なるものも少なくない。両者が異なる原因は、取材対象の数が限られていることのほかにも、大学固有の文化などが関係していることも考えられる。


しかし、アプリを利用する目的や、「アプリの何がウケているのか」について聞き出すことができるのは対面の取材だからこそ。こうした「生の声」を、SNS戦略を練る際に参考にしてみるのはいかがだろうか。


(文=ケイヒル・エミ)


この記事を書いた人:ソーシャルメディアラボ編集部

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