台湾発ベンチャー「Pinkoi」のFacebookを活用したグローバルマーケティング戦略とは?
2016/03/29
近年、SNSでマーケティングを行う企業は、日本をふくめ世界中で増えてきています。とくに、Facebookは2015年に、全世界のアクティブな中小企業のページ数が4,000万を超えていると発表しています。
本記事では、そんなFacebookを利用したマーケティングで成果を出している、台湾発のデザイナーズマーケット「Pinkoi」さんを取材しました。
- ■目次
- Pinkoiとは?
- Pinkoiのマーケティング戦略
- Facebook運用における工夫
- 今後の展開について
- まとめ
1. Pinkoiとは?
ピンクと鯉をかけて「ピンコイ」と読むPinkoiは、世界中のデザイナーやクリエイターによるオリジナル商品を販売するサービスを2011年に開始。台湾で設立後、中国、香港、マカオなどアジア市場を中心に拡大し、2014年末から日本市場へも参入しているアジア最大級のオンラインマーケットプレイスです。
ハンドメイドのオンラインショップは、ニューヨーク発の「Etsy」や日本では「Creema」「minne」などが知られていますが、Pinkoiがほかと異なる点は、
・デザイナー本人が作った商品だけでなく、本人がデザインさえ手がけていればほかのクリエイターが制作したものでも売ることができること
・商品を販売するために、運営会社の審査を通る必要があること
などです。そのため、出品者にプロ志向のデザイナーが多いことも魅力の1つとなっています。会員登録数は世界で60万人以上、取り扱っている商品はアクセサリーやインテリア、ファッション小物など、32万点にのぼります。
売上も年々増加。2012年の66万米ドルから2013年には250万米ドル、2015年には33.7億米ドル規模にまで成長することが見込まれています。
2014年末には日本でのサービスも開始し、現在も成長し続けているサイトです。
2. Pinkoiのマーケティング戦略
Facebookは低コストで多くのユーザーにアプローチでき、プロモに最適!
ソーシャルメディアラボ編集部(以下、編):マーケティングの予算配分は、どの手段・メディアにどれくらい使われていますか?
Pinkoiプロモーション担当者様(以下、P):予算はほぼすべてをオンラインマーケティングに使用しています。とくに、SNSのなかでもFacebookに力を入れています。
編: Facebookに注力されているんですね! 海外のプロモーションをする上で、Facebookの利点とはなんでしょうか?
P: やっぱり、SNSのなかでも、アクティブユーザーが多いところです。Facebookなら興味や年齢など、簡単にターゲットをしぼることができますし、低コストでより多くのユーザーにアプローチできるところが魅力ですね。
編: Pinkoiさんのマーケティング施策のなかで、Facebookの立ち位置はどうでしょうか?
P: 弊社では、Facebookを全プロモーションの中でもっとも中心的な位置づけとしていますが、地域によって多少差があります。たとえば台湾では、Facebookはもっとも普及率の高いSNSなので、Facebookを通じてファンとつながります。日本では、FacebookのほかにもTwitterやInstagramが有効ですので、それらでメッセージ発信なども行っています。
Facebook運用における工夫
グローバルページの運用について:各国ファンの食いつき方には違いが
編: グローバルFacebookページの運用方法はどのようにされていますか?
P: グローバルFacebookページは各国ごとに担当者を配置しています。コンテンツについては担当者が内容を考えて企画していますね。作成は本社のプロダクトチームがおこない、ファンページにアップしています。
編: 現在のFacebookページには50万人以上のファンがいらっしゃいますが、各国のファン数の割合はどのくらいですか?
P: 台湾発のサービスなので、やはり台湾や香港、マカオのファンが一番多いです。
編: やっぱり、そうなんですね! Facebook投稿に関して、各国のリアクションの違いはありますか?
P: 台湾の場合、ファンの平均年齢は20代です。トレンドにはすごく敏感なので、その時話となっていることに関する投稿が人気ですね。一方で、商品紹介にはあまり興味はなさそうです。
編: 日本のファンはどうでしょうか?
P: 日本の場合、ファンの平均年齢は30代です。メンバーはほぼ女性で、キラキラ系のアクセサリーや職人の作品、繊細で斬新なデザインに興味があるようです。
日本に人気なキラキラ系のアクセサリー
日本に人気な職人系の作品
ほかの国だと、たとえばタイの場合、ファンの多くは旅行と台湾文化に興味をもっているみたいです。最近流行している台湾カルチャーのポストカードなども人気ですよ。
また、香港の場合は、繊細さを感じるアクセサリーやかわいいアクセサリーが人気です。そして、台湾と同じく、ホットな話題の投稿にはいい反応が見られますね。
香港で人気なかわいいアクセサリー
Facebook広告について:セグメントやクリエイティブ、訴求文言の工夫は
編: Facebook広告はどのような目的で出稿しましたか?
P: 地域によって異なりますが、おもにアプリのインストールや商品の販売、Facebookの「いいね!」、投稿のエンゲージメント率向上などを目的としています。
編:ほかのweb広告に比べて、どのくらい効果が出ましたか? 数値もあわせて教えてください!
P: 2014年9月から2015年5月におこなったキャンペーンでは、Webサイトへ訪問した人の約半数はFacebookからで、そのうち53%は海外ユーザーでした。また、Facebookのアプリインストール広告は、ほかのWeb広告と比べて50%のコストダウンとなっています。
引用元:https://www.facebook.com/business/success/pinkoi
編: かなりの成果があったんですね! Facebook広告を出稿するにあたり、セグメントやクリエイティブ、訴求文言など、どのような工夫をされましたか?
P: Facebook広告に出稿する画像については、ブランドやFacebookファンページのイメージと一致させるようにしています。また、サイト利用者の興味や年齢を把握した正しいターゲティングセグメントづくりや、相手に語りかけるような親しみのある言葉づかいも意識しています。
cost per likeが日本の3分の1近くの台湾
編: それぞれ効果検証などは、どうされていますか?
P: やっぱり、同じ広告でも異なる結果がでるため、すべての広告をテストしています。ABテストを行ったり、新機能が出れば試してみたりして、意外な発見もありますよ。ちなみに、その国でリーチが高かった投稿を、広告として使用する場合もあります。
編: そうなんですね。次に、各国のFacebook広告成果の違いがあったら教えてください。
P: 日本の方が、台湾よりもcost per likeが2.5~3倍ほど高くなっています。また、香港の方が、台湾に比べてcost per likeが1.5~2倍ほど高い傾向にあります。
4.今後の展開について
編: 今後のグローバルマーケティング戦略で考えていることは何ですか?
P: 今後はとくに、日本と英語圏のマーケティングに力を注いでいきたいと考えています。これからもSNSとアプリを中心とした宣伝をおこなっていきたいと思っています。
編: 今後、SNSを使用してのマーケティングで、実施したいことは?
P: SNSを通じて弊社サービスを利用してくださるデザイナーとお客様をつなげる場所を作りたいと考えております。そして、今後も世界のデザインを皆さまの毎日の生活に届けていきたいと考えております。
編: では、日本のFacebookページで実施したいことは何ですか?
P: 日本のデザイナーの方たちと楽しいコラボイベントをやりたいですね! 単に商品を紹介するだけでなく、見ている人の心があたたかくなるようなFacebookページを作っていきたいです。
編: 最後に、御社でアピールしたいことがございましたらご共有ください!
P: Pinkoiのアプリがございますので、ぜひこちらからダウンロードしてみてください!
引用元:https://www.pinkoi.com/app
また、弊社ではwebマガジンも発行しています。日々の暮らしに密着したデザインやアートに関する情報はもちろん、デザイナーやクリエイターへのインタビューなど、月ごとに異なるテーマの特集記事なども配信していますので、チェックしてみてください。
5.まとめ
SNSは世界共通のオンラインツールのため、企業のグローバル展開に対応するためにもオンラインマーケティングは欠かせないものとなっています。
しかしながら、今回の事例にもあった通り各国に対して”同じモノ”を”同じように”伝えても、伝わらない場合があります。すこし大変ですが、国や地域によって表現方法やコンテンツを変えながら試行錯誤して運用することが求められるのです。今後グローバル展開する企業も増えてくるかと思いますが、お困りの際は是非お声がけいただければと思います!
以上、「台湾発ベンチャー『Pinkoi』のFacebookグローバルマーケティング戦略とは?」 でした!